第一種低層住居専用地域の土地用途って?具体的な制限や活用方法を解説!

一般にはあまり知られていませんが、実は都市計画法により土地の用途に制限が定められている地域があります。その中でも「第一種低層住宅地域」というのは、特に厳しい制限が設けられている地域です。

端的に言いますと、「第一種低層住宅地域」は低層住宅の良好な環境を守るための地域として定められた用途地域のことを指します。では、「第一種低層住宅地域」には具体的にどのような決まりがあり、どのように活用することができるのでしょうか?

この記事では、都市計画法や用途地域とはどのような地域のを指しているのかといった基本情報から、第一種低層住居専用地域の土地の活用方法についてまでまとめました。

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目次

都市計画法に関する基礎知識

国土の発展と公共福祉の増進を目指して制定された法律が都市計画法です。都市計画法とは具体的にどのような法律なのか、都市計画における区域区分についてまとめました。

都市計画法とは

都市計画法は、都市の健全な発展と調和や、文化的な都市生活と機能的な都市生活を目指すために、昭和43年6月15日に制定され昭和44年に施工されました。

都市計画法は建築基準法と密接な関係があり、都市での建築を規制しています。住宅があらゆる場所に点在し、土地が無秩序に開発されてしまうと、福祉やサービスを行き渡らせることができなくなってしまうからです。

都市計画事業の認可や施工や、一定規模以上の建築物を建築するには、各都道府県の知事の許可が必要となります。

都市計画における区域区分

都市計画区域内は、以下の3つのエリアに区分されています。

  • 市街化区域
  • 市街化調整区域
  • 非線引き区域

都市計画における区域区分について詳しく見ていきましょう。

市街化区域

市街化区域とは、すでに市街化が完了した区域や、今後10年以内は優先的に市街化を進めていく都市計画区域のことです。

指定の要件を満たすことで住宅を建設することが可能で、市街化区域には必ず用途地域が定められています。

自治体による公共施設の整備や、道路、水道などの整備も積極的に進められます。

市街化調整区域

市街化調整区域とは、森林などの優れた自然環境を守るため、市街化を抑える必要がある都市計画区域のことです。

自治体が公共設備や都市開発をしないことが原則となっていて、新たに住宅を建設するためには、都道府県知事から許可を得る必要があり厳しい制限が設けられています。

非線引き区域

非線引き区域とは、市街化区域と市街化調整区域以外の都市計画区域のことです。

土地利用の規制が緩いので建物を建設することができます。市街化区域のように必ず用途地域が定められているわけでありませんが、定めることも可能です。

地方都市の郊外にある市街化が進んでいる住宅街でも、非線引き区域に定められていることがあります。

用途地域に関する基礎知識

市街地化を推進している市街化区域には用途地域が定められています。ここでは、用途地域にはどのような役割があるのか、用途地域の種類、用途地域と建築基準法の関係について解説していきます。

用途地域とは

用途地域とは、住居や工場施設が建設できるエリアを明確に規制している地域のことです。用途地域は、住民が住みやすいと思える環境と、商工業に従事している人が働きやすいと思える環境を保護するために定められています。

全ての土地に用途地域が定められているわけではありません。基本的には都市部などの人口が密集している土地に定められています。用途地域の決定には、都市計画審議会と市民の承認が必要になるため、政府が勝手に決めることはできません。

用途地域によって土地の価値が変わってくるため、自分の所有している土地を活用する場合は、どの用途地域に定められているのか調べることが重要です。

用途地域の種類

都市家計画法により市街化区域は用途地域として、以下の13種類の地域に区分されています。

種類 用途地域
住居系
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域
商業系
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
工業系
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

用途地域の種類は、住居系、商業系、工業系の3つに分類することができます。用途地域の中でも工業専用地域には住居を建設することができません。

用途地域と建築基準法の関係

用途地域では、適切な都市形成と建築物の安全を確保するため、建築基準法に基づいた容積率や建ぺい率を定めています。

容積率

容積率は、敷地全体の面積に対する建物全体の延床面積の割合のことです。容積率は以下の計算式で求めることができます。

容積率=敷地面積/建物の延床面積×100%

容積率は高い建物ほど大きくなるので、容積率と用途地域には密接な関係があります。容積率が高く設定されている場合は高い建物が建てられるため、賃貸面積が広くなりより多くの賃貸収入を得ることができるようになります。

建ぺい率

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建ぺい率は以下の計算式で求めることができます。

建ぺい率=建築面積/敷地面積×100

要件は市区町村によって異なりますが、角地の場合前面道路の幅員や道路の角度や長さなど、一定の条件を満たすことで建ぺい率を10%上乗せすることが可能です。

その他関係しているもの

用途地域には、その他にも道路に関する規制の接道規制やセットバック、高さに関する規制の斜線制限や日影制限が定められています。

また、準防火地域や防火地域に指定されている場合は建物を準耐火構造や耐火構造にしなければなりません。廊下の構造や避難経路についても、建物の規模に応じた規制が定められています。

自治体によっては、用途地域や建築基準法以外の規制を定めているところもあるので注意が必要です。

第一種低層住居専用地域に関する基礎知識

用途地域の1つとして都市計画法により定められているのが第一種低層住居専用地域です。ここでは、第一種低層住居地域とはどのような土地なのか、第一種低層住居専用地域で建てられない建物について解説していきます。

第一種低層住居専用地域とは

第一種低層住宅専用地域は、良好な住環境を最優先に保護することを目的とし、低層住宅に特化した地域です。低層住宅以外で建てられる建物は、以下の通りです。

  • 下宿や共同住宅
  • 保育所・幼稚園・小学校・中学校・高等学校
  • 派出所や一定規模以下の郵便局
  • 図書館
  • 神社・寺院・教会
  • 公衆浴場
  • 老人ホーム・老人福祉施設

事務所などの兼用住宅を建てる場合は、住宅でない部分が1/2未満かつ延床面積が50平方メートル以下であることが条件です。

建ぺい率は30%~60%、容積率は50%・60%・80%・100%・150%・200%の中から、自治体が都市計画で定める値を指定することができます。その他にも、道路斜線制限や北側傾斜制限、絶対高さ制限、日影規制、外壁後退などの用途制限が定められています。

第一種低層住居専用地域で建てられない建物

第一種低層住宅専用地域で建てられない建物は、以下の通りです。

  • 高層マンション
  • 兼業住宅の特定用途を除く店舗や事務所
  • 遊戯施設
  • 風俗施設
  • 高等専門学校や専修学校等
  • ホテルや旅館
  • 病院
  • 自動車教習所
  • 建築物付属以外の車庫や倉庫
  • 工場

このように、第一種低層住宅専用地域には低層住宅しか建設できません。スーパーやコンビニなど、建物の高さが低い建物であっても、兼業住宅の特定用途を除く店舗は建設できないので、建設することは不可能となります。

第一種低層住居専用地域の土地活用方法

第一種低層住宅専用地域の土地を活用するには、以下のような方法があります。

  • 賃貸住宅として活用
  • 駐車場経営
  • 寮やシェアハウスとして活用
  • 老人ホームとして活用
  • 保育園として活用
  • 貸店舗として活用
  • 太陽光発電を設置

それぞれのメリットやリスクを理解し、自分の土地に合う活用方法を見つけましょう。

賃貸住宅として活用

賃貸住宅として活用したい場合は、戸建て住宅を建築し、そのまま賃貸として貸し出したり、アパートを建設し、アパート経営を行うという方法があります。

大規模なマンションを建てることはできませんが、小規模な住宅やアパートであれば問題なく建設することができます。賃貸住宅として活用すれば、賃貸収入という利益を得ることが可能です。

駐車場経営

第一種低層住宅専用地域に更地を所有していて、建物を建てたくない場合は、駐車場を経営することで利益を得ることができます。

駐車場はコンクリートを敷いて車の停車位置を示すラインを引けば完成するので、他の土地活用と比較しても初期費用を少なく抑えることが可能です。工事の期間も短く済むので、経営をスピーディに開始することができます。

利用者がいれば安定した収入を得ることができますが、立地が悪い場合は失敗するリスクもあります。その場合は更地にして売却することもできるので、汎用性の高い活用法と言えます。

寮やシェアハウスとして活用

土地が広くて容積率を高くできる場合は、大企業の社員寮にしたり、都市部ならシェアハウスとして活用することができます。

寮は一時期需要が落ちていましたが、社員間のコミュニケーション向上のために導入する企業が増えてきています。賃料はオフィスビルよりも安くなってしまいますが、長期的な収入を見込むことができるのが魅力です。

シェアハウスは賃貸経営の中でも収益性が高く、信頼できる管理会社を見つけることができれば、手間をかけずに運営していくことが可能です。

老人ホームとして活用

広い土地を所有している場合は、老人ホームとして活用するのが有効です。戸建て程度の広さでも、住宅街の中であればデイサービスの施設の需要があります。

老人ホームは平屋または2階建てのタイプが多く、高さも10m以下で済むので、第一種低層住宅専用地域でも問題なく建設することができます。

基本的に一棟管理となるため、手間があまりかかりません。少子高齢化により老人ホームの需要が高まっているので、社会貢献ができる上に撤退リスクも低いのが魅力です。

保育園として活用

広大な土地があり、周辺に同じような施設がなければ保育園として土地活用することもできます。

保育園は基本的に一棟貸となりますが、立地が悪くても保育園事業者が出店してくれば、撤退リスクを低くすることが可能です。

同じ教育機関でも高校は建設が難しいですが、保育園は建物の高さも必要ないので、周辺住民の理解を得ることができれば第一種低層住宅専用地域でも建てることができます。

貸店舗として活用

第一種低層住宅専用地域では兼業住宅の特定用途を除く店舗を建てることはできませんが、建設した住宅を貸店舗として貸し出すことは可能です。

住宅街に美容室や花屋などの店舗があると便利なので、平屋や2階建ての住居でも特に地方都市の場合は店舗としての需要が高くなります。

カラオケボックスや居酒屋が出店することもあるため、ターミナル駅の周辺であれば、安定した賃貸経営を目指すことができます。

太陽光発電を設置

土地の立地が悪くて利便性がない場合は、太陽光パネルを設置し、太陽光で発電した電気を売電するという土地活用ができます。

太陽光パネルは定期的なメンテナンスの必要がなく、自治体によっては補助金を出しているところもあります。また、電力自由化により、電力会社だけでなく他の第三者に販売できるようになりました。

昔と比べて太陽光パネルの性能が向上しているのに導入費用が安くなっているので、初心者でも比較的参入しやすい土地活用の方法となっています。

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土地活用するための6つのポイント

土地活用を成功させるためには、以下のような知識を事前に知っておくことが重要です。

  • 規制に合わせた活用であること
  • 地域の需要があること
  • 土地の広さに合わせた活用法を選ぶ
  • 用途地域がまたがっている場合は広くかかっている方が適用される
  • 付加価値を高めるような活用をする

ここでは、土地を活用するための5つのポイントについて詳しく紹介していきます。

規制に合わせた活用であること

都市計画法の用途地域に定められている土地では、建物を自由に建設することができません。住居系の用途地域には店舗は建設できず、住居や共同住宅しか建設できないことになっています。

やりたいと考えている土地活用の方法と法律で定められた用途が合っていない場合は、建てたい建物を建てることができる用途地域に場所を変更する必要があります。

土地を所有している場合は、その土地がどの用途地域に属していて、どのような規制があるのか理解することが大切です。

地域の需要があること

用途地域の規制に従った建物を建設しても、土地活用の方法がその地域に合っていなければ収益を上げることはできません。

たとえばアパートを建設したいと考えている場合、その地域で賃貸需要がなければ、土地活用が失敗に終わる可能性が高まります。

需要がない建物を無理に建設しても、投資資金が無駄になるだけです。規制に沿った建物を建設し、地域での需要がある土地の活用方法を選ぶことが土地活用成功の鍵となります。

土地の広さに合わせた活用方法を選ぶ

土地の活用方法を選択するときは、土地の広さも考慮しなければなりません。

たとえばホテルを建てることができる用途地域に土地を持っていても、40坪程度の広さでは法規制に触れてしまうため、ホテルの建設が不可能となります。

土地活用を検討するときは、土地の広さも含めて土地活用の方法を考えることが重要です。

用途地域がまたがっている場合は広くかかっている方が適用される

土地が用途地域の境目にある場合は、1つの土地に2つの用途地域が定められているように見えますが、土地全体の面積に対して、用途地域の占める割合が大きい方の建築規制が適用されます。

用途地域によって建築できる建物に規制があり、土地活用の幅が狭まってしまうため、用途地域のルールをしっかり把握しておきましょう。

付加価値を高めるような活用をする

賃貸物件を建設するときは、入居者となるターゲットを明確にし、需要を満たす間取りや設備を家作りに反映させることが大切です。

その地域で求められているものを理解し、かつ供給が不足している物件を供給できれば、競合と差別化できるので、より多くの収益を上げることができます。

土地活用で建物を建設するときは、建物の付加価値を高めるようなプランニングを心がけましょう。

まとめ

第一種低層住宅専用地域は、快適な住環境を守るために地域のため、低層住宅であれば自由に建てることができますが、事業用の施設に関しては、他の用途地域よりも厳しい制限が設けられています。

第一種低層住宅専用地域の土地を活用する場合は、建てられる建物と建てられない建物を把握することが大事です。容積率や建ぺい率だけでなく、道路や高さに関する用途制限にも注意しなければなりません。

土地の活用方法ごとにメリットやリスクがあるので、自分の土地に適した活用法を選択し、第一種低層住宅専用地域の土地活用を成功させましょう。


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