ハイブランドは、多くの人に愛される名品を持っています。それぞれのブランドのこだわりや技術、センスが詰まった奥深い世界には魅力がたっぷりです。本連載では、『教養としてのハイブランド』(彩図社)で話題のとあるショップのてんちょう氏が、毎月選りすぐりのアイテムを語っていきます。
第四回の名品語り、今回紹介するのはアシックス×キココスタディノフのスニーカーです。
第四回となったこの名品語りですが、ここまで意外とモードというか、THEデザイナーズという感じのブランドを紹介していなかったので入れてみました。
という訳で今回紹介するのが、アシックス×キココスタディノフの「GEL-DELVA(ゲル デルヴァ)」です。
まずは簡単にブランドの説明をしましょう。
キココスタディノフは2016年に立ち上がったロンドンを拠点とするブランド。
デザイナーはブランド名と同じ、キココスタディノフという人物で、ブルガリア出身のファッションデザイナーです。
彼はロンドンのファッション名門校として知られるセントラル・セント・マーチンズに在籍していた頃から多くの注目を集めていました。2015AWのまだ学生だった際に、卒業コレクションにて、ストリートブランド「STUSSY(ステューシー)」とのカプセルコレクションを行ったことは特に有名。若くからモードの世界で注目を集めた新進気鋭デザイナーです。
ブランド設立後も「マッキントッシュ」や「アシックス」といった老舗ブランドとのコラボレーションを行っています。
今回紹介するのはアシックス×キココスタディノフの「GEL-DELVAゲル デルヴァ」です。 前述したとおり、日本の老舗スポーツブランド、アシックスとのコラボレーションで登場したスニーカーで、その中でも第三弾めのアイテムとなります。時系列的には2018年に販売されたモデルですね。
デザイン的には、トレイルランニング用途「GEL-FUJI TRABUCO 7ゲルフジトラブーコ7」というモデルのアッパーと、ランニングシューズ「GEL KAYANO 24 ゲルカヤノ24」のソールを組み合わせたアイテムとなっています。
画像のような感じでアシックスストライプをメッシュで覆ったデザインが特徴的。ソール裏の色もブリックレッドになっていて目を引きます。
キコとアシックスのコラボは2018年に始まって以来、現在でも協業して精力的に新作シューズが提案されています。
そんな中あえて昔の、それも初弾のスペシャルなものではなく、第三弾めというある種中途半端な立ち位置の靴をなぜこの場で紹介したかというと、理由は簡単。純粋にこのルックスが好きで今でも履いているからです。
スニーカーは限定モデルのレア品、つまる所の希少性という、単純なデザインや機能とは別ベクトルの付加価値がつきやすい界隈です。
今でこそ、以前と比べその流れは落ち着いたものの、こういう公の場や記事で紹介するとなると、やっぱりみんなレアなものをこれ見よがしにみせがち。だからこそちょっと違うものを見せたいなと。ちょっと逆張り的ですが、そう思った訳です。
「レアとかプレミアとかそういうのも勿論良いけれど、純粋に自分が好きだと思うものを、自信をもって履けばいいじゃない。」
あなたもそう思いませんか?