有意義な時間の基準は十人十色。なので、これから綴る話が「有意義?」と思われる方もいらっしゃると思うが、静かに葉巻に火をつけ、その香りを楽しむ時間は何物にも代えがたい。気楽に葉巻デビューをしてみるのも一興だ。
蘊蓄は必要なし! 銘柄を知るのは後からでOK
はじめに言っておくと、葉巻に難しい蘊蓄はいらない。キューバに代表される産地や「ダビドフ」「コイーバ」といった銘柄にこだわるのは後からで十分。知っておくのは火の付け方と燻らせ方。そして何より、その時間を楽しもうという気持ちが大切だ。
というのも、葉巻はサイズや巻き方によって燻らせる時間が異なる。紙タバコのように、街角の喫煙所で5回、6回口をつけて肺に吸い込むものとは別物だ。一度火をつけたら、最低30分はその一本と過ごすこととなる。もちろん、途中で火を消して中に溜まった煙を吹き出し、新たに火をつけることもあるが、それは例外といえよう。葉巻ははじめから、燻らせるための時間をつくり、そこに身を任せるのが前提となる。
なので、葉巻は「時間」を基準に選択できる。シガーショップやシガーバーへ行き、「一時間くらい楽しめるものを一本ください」なんて注文ができるのだ。もちろん、「軽め」や「重いもの」といった嗜好の話がその後に続くだろうが、そこは「まだあまりよくわからなくて……」なんて返せば、お店の方がきっと見合った葉巻を選んで渡してくれるだろう。そして、その名前を覚えておけば、次回は指名買いをすることができる。
ちなみに、ここでいう葉巻(プレミアムシガー)の価格は小売り定価制になっている。つまり紙タバコ同様、国が値段を決めているのだ。よって、「ホテルのバーで葉巻を買うと高い」というのは都市伝説。葉巻に触れたことのない人のセリフだ。現在、原産国でのプレミアムシガーの仕入れ額が高騰しているので、それが近い将来、どんな影響を及ぼすのかはわからない。が、日本国内で正規販売される葉巻は同一価格である。
葉巻と一緒に何を飲む? 別にルールはありません
それはともかく、葉巻を一時間、バーで燻らせることが決まったら、相棒となるお酒をオーダーすることになる。「葉巻と合わせるならスコッチでしょ」なんて声が聞こえてきそうだ。一般的にはスコッチやコニャック、バーボン、ラムなんかが相性がいいと言われる。確かに左手に葉巻、右手にロックグラスで氷をカランコロン響かせながら過ごすのは悪くない。映画のワンシーンのような気分に浸れることだろう。
とはいえ、現実には右手のグラスの中身はなんでもかまわない。飲み慣れたビールもそうだし、赤ワインなんかもいいだろう。なんなら日本酒との組み合わせも期待できる。新たな発見があるかもしれない。セオリー通りスコッチと合わせる経験も必要だが、時間を過ごすのはあくまでも自分。なので好きなお酒が一番である。
ということで、有意義な時間を過ごす相棒として葉巻を取り入れることを提案する。忙しない日々を送る人には特におすすめしたいツールだ。葉巻の良さをさらに付け加えると、この葉っぱで巻かれた物体はオール天然素材でできている。紙タバコのように着火剤もなければフィルターもない。よって、すべて土に還る素材で形成されているのだ。どう、興味持ちました? 葉巻はSDGsでもあるんですよね。