世界的なインフレが続く現在、資産運用として注目されている「アンティークコイン」。富裕層の間では古くから資産保全の手段で人気を集めており、数百万円から数千万円の価格で取引されることも珍しくありません。そんなアンティークコインも、発行して間もない時期は多くのコインが高価なものではありませんでした。
本記事では、コレクター需要が高く、希少性の高さから価値の成長が期待されるアンティークコインを全5回にわたり解説します。
第1回は、アンティークコインの世界で最も有名で代表的な銘柄である、1839年に発行された「ウナとライオン 5ポンド金貨」です。
世界で最も美しい金貨といわれる「ウナとライオン 5ポンド金貨」
ウナとライオンは、1839年に英国の造幣局(ロイヤルミント)から発行された世界で最も美しいといわれる金貨です。イングランドの詩人エドマンド・スペンサーの長編叙事詩『妖精の女王』に登場するエピソードに由来します。
コインのデザインは、ロイヤルミントの主任彫刻師であるウィリアム・ワイオンが手掛けました。ウィリアム・ワイオンは『妖精の女王』のエピソードをもとにウナを当時の英国のヴィクトリア女王に見立て、ライオンを導く様子を描いています。
ライオンは英国を象徴する動物であり、イギリスの君主であるヴィクトリア女王が最盛期を迎えた大英帝国を導くことを意味します。国家の発展を祈るメッセージが込められているといえるでしょう。
裏面に描かれているのは、若き日のヴィクトリア女王の肖像です。コレクターの間ではヤングヘッドと呼ばれるデザインですが、複数あるヴィクトリア女王の肖像の中でも高い人気を誇ります。
コレクター向けに400枚のみ発行
ヴィクトリア女王は、1837年に即位し、63年にわたって在位した大英帝国の母と呼ばれる国民から絶大な人気を誇った女王です。ヴィクトリア女王の治世下の英国は、産業革命により大国として発展を遂げました。
ウナとライオンの金貨は、ヴィクトリア女王が即位した2年後の1839年に、コレクター向けに400枚のみ発行されたプルーフ貨幣です。制作された当時から現在に至るまでコレクターの間で高く評価されています。アンティークコインコレクターは古くから男性の割合が多いことから、今回のウナとライオンの金貨のように女性が描かれたコインの人気が高まりやすい傾向にあります。
近年のアンティークコインショップの利用者では女性の割合も増えていますが、次回以降に紹介する人気のコインも女性が描かれているため、古くからこの傾向に変化はありません。
5ポンド(950円)から1億5,480万円の価値に成長
アンティークコインは、同じコインであっても、状態(摩耗や傷の量、保存状態)によって価値が変わるため、すべてのウナとライオンが同じ価格で取引されるわけではないことを理解しておきましょう。
ウナとライオンの歴代最高落札額は、グレーディング団体であるNGCにおいてPF66のグレードを記録したコインであり、1億5,480万円の価格で落札されました。1ポンド=190円のレートで換算すると5ポンドは950円です。
1839年当時の5ポンドと現在の5ポンドでは貨幣価値が異なりますが、額面のみで考えるのであれば、1839年から2025年までの186年間を経て81万4,736倍の価値に成長したといえます。
世界的にインフレを実感しやすい現状がありますが、100年単位で考えるなら貨幣の歴史はインフレの歴史です。今持っているお金の価値が100年後には大きく下がる可能性が高いことは歴史が証明しています。
しかし、所有している現金の一部をアンティークコインに換えれば、100年以上に渡って資産を保全し、後世においても成長させることができるのです。
アンティークコインの世界を知り人生を豊かに
以上が英国貨幣史を代表するウナとライオン 5ポンド金貨のご紹介でした。コレクターを惹きつける魅力的なデザイン、限られた発行枚数で、ほとんど現存していない希少性、コインの状態やグレード、これらの要素がアンティークコインの価値を決定します。
ウナとライオンをはじめとする美しいコインを手元に置き、世界的なインフレに備え、人生を豊かにしていきましょう。
監修:クレア・ライフ・パートナーズ
主力事業は、国内最大級となる115種類の商品ジャンルによる個人/法人向け資産運用コンサルティング事業で、生命保険、不動産、証券などはもちろん、アンティークコインや、ウイスキーカスク(樽)など、ユニークなラインナップで一人ひとりにカスタマイズしたプランをご提案している。ミッションの「生き抜く力を共に創る」により、企業の福利厚生サポートや、人財紹介事業、不動産賃貸業、Webコンサル事業、飲食事業など、多岐にわたり人々のライフプラン、マネープランを支えている。
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