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2 AIで防ぐ、カスハラ最新対策

クレーム分析やボイスボット、企業ができるAIカスハラ対策は何がある?

MAR. 31, 2025 17:00
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前回の記事では、カスタマー・ハラスメント(以下、カスハラ)が増加する社会的要因と企業にとってのリスクについて紹介しました。今回は企業がとるべきカスハラ対策とAI活用の可能性について紹介します。

カスハラ対策の第一歩はガイドラインの作成

企業におけるカスハラ対策として、ガイドラインの導入、従業員研修、相談窓口の設置などが進んでいます。その中でも、特にカスハラのガイドラインを公表する企業が増えています。

ガイドラインは、企業のカスハラの対応方針を明文化し、従業員が適切に対応できるよう指針を示すものです。企業として一貫性のある対応を行うことで、顧客満足度の向上だけでなく、従業員の保護にもつながります。

カスハラ対策の第一歩として、企業は「どのような顧客を対象とし、どのような行為を許容しないのか」を明確にすることが重要です。これまでの「すべての顧客に平等に対応する」という考え方から、企業の価値観やサービスの適正利用を尊重する顧客との関係を築く方向へシフトすることが、持続可能な経営のためにも不可欠です。

具体的には、以下のような方針を決めることが有効です。

  • 企業が提供するサービスや商品を適切に利用する顧客を対象とする
  • 暴言や過度な要求を行う顧客には、適切な範囲で対応を制限する
  • 一定のルールを守れない顧客には、サービス提供を見直す選択肢を持つ

こうした指針を明確にすることで、従業員が迷うことなく対応でき、不要なストレスや業務負担を軽減できます。企業としては、すべての顧客に無条件で対応するのではなく、適切な関係性を築ける顧客と健全なビジネスを行うことが、持続可能な経営において重要な視点となるでしょう。

しかし、カスハラの定義は業種や提供する商品・サービス、顧客対応の状況によって異なり、一律に策定することが難しいという課題もあります。

業態別に見るカスハラの特徴と対策

当社では約1万5,000件の通話データをもとにクレーム分析を行い、BtoCとBtoBの観点からカスハラの特徴を整理しました。

BtoCのカスハラの特徴:その場での即時対応が鍵

BtoC業態では、不特定多数の顧客からの問い合わせがあり、カスハラに発展するタイミングを事前に予測するのが難しい傾向があります。典型的なカスハラ行為には、暴言や攻撃的な表現、長時間の拘束などがあげられます。そのため、管理者が即座に対応を引き継げるよう、リアルタイムでカスハラを検知する仕組みが求められます。

BtoBのカスハラの特徴:適切な報告フローの整備

BtoC業態ほど目立たないものの、BtoBの取引でもカスハラは発生します。暴言や攻撃的な表現は少ないが、取引相手の立場を利用した過度な要求が問題となるケースが多く、現場での即時対応よりも、カスハラの基準を明確にし、報告の漏れを防ぐ仕組みの整備が重要です。特に、担当者が管理者へ報告する際の業務効率化が求められます。

また、管理者と接客担当の「受け取り方のギャップ」にも注意が必要です。クレーム対応に慣れている担当者ほど、カスハラを「許容範囲」として捉え、報告しないケースがあるため、適切な報告基準を設定することが重要です。

このように、企業は自社の業態に合わせたクレーム分析を行い、「自社におけるカスハラの定義」を決める必要があります。

AIを活用したカスハラ対策の可能性

近年、AI技術を活用したカスハラ対策が注目されています。主な活用例として、クレーム分析とボイスボットを紹介します。

1.クレーム分析

AIを活用したクレーム分析により、企業は顧客対応の品質向上やカスハラの未然防止が可能になります。具体的には、以下のような技術があります。

  • データ分析による傾向把握と予防策の策定

過去のクレームデータを分析することで、「どのような状況でクレームが発生しやすいか」を可視化できます。このデータをもとに、企業はクレームが発生しやすい時間帯や曜日を特定して体制を強化したり、よくある苦情のパターンを分析し、FAQの充実や対応マニュアルを改善したりといった対策を講じられます。

  • 感情認識技術によるリアルタイム分析

AIが声のトーンや話し方の変化、文字起こしデータを分析し、「この顧客は不満を募らせている」「カスハラに発展する可能性がある」といった兆候を検知し、適切な対応を促します。

  • エスカレーション機能との連携

クレーム分析によって「カスハラになりかけている」と判断された場合、対応を速やかに管理職や専門チームにエスカレーションする仕組みも導入されはじめています。これにより、担当者が一人で抱え込むリスクを軽減できます。

2.ボイスボットの活用による負担軽減

AIを活用したもう一つの取り組みが、ボイスボットの導入です。例えば、簡単な質問や手続きに関する自動応答、クレーム内容に応じた適切な窓口への誘導などをボイスボットが担うことで、顧客対応の負担軽減を実現できます。

クレーム分析による対応は、接客担当者の負担軽減につながる有効な対策ですが、一方で管理者の負担が増える可能性があります。そのため、組織全体で考えるとボイスボットの導入もセットで進めるのが望ましいでしょう。

次回以降は、カスハラを未然に防ぐために従業員に求められるスキルについて紹介します。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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