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トヨタのクラウンエステートはワゴン? SUV? どんなクルマか試乗で確認

JUL. 11, 2025 11:30
Text : 室井大和
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トヨタ自動車の現行型「クラウン」は、「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」の4種類だ。ラインアップのトリとして2025年3月に発売となった「エステート」はワゴンなのか、SUVなのか。一見すると判断に迷うが、実際に乗ってどんなクルマなのかを探ってきた。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    現行型「クラウン」シリーズの大トリを飾る「クラウンエステート」に試乗!

クラウン誕生から70周年の節目に登場

1955年に初代が発売となった「クラウン」は今年で70周年。そんな節目の年に登場したのがクラウンエステートだ。

「エステート」は「ステーションワゴン」タイプを意味する。「クラウンエステート」というクルマは、過去にもあった。1999年に登場したクラウンエステートの初代モデルは、2007年で生産を終えている。その18年後に2代目クラウンエステート(クラウンとしては16代目)が復活を果たした格好だ。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    こちらが1999年発売の「クラウンエステート」

  • トヨタ「クラウンエステート」

    こちらが今回試乗した現行型「クラウン」(16代目)の「エステート」。ボディカラーは「マッシブグレー」、ルーフ部分が「プレシャスメタル」の2トーンカラーだ

初代クラウンエステートには何度か乗ったことがあるが、乗り心地もよく、ステーションワゴンならではの使い勝手の良さがあった。しかし、そのデザインはあまり受け入れられなかったようだ。

当時、筆者はトヨタのセダンかワゴンを購入しようと思い、中古車をいろいろと探しまわっていた。クラウンエステートは実際、同時期に中古車で販売されていたセダンタイプのクラウンと比較しても、明らかに安価で、低走行車であっても叩き売りのような状況だったことを覚えている(結果として「チェイサー」を買った)。クラウンといえばセダンというイメージが強いので、ステーションワゴンはあまり望まれていなかったのかもしれない。

しかし、それから18年が経過し、クルマに求められるものは変化してきた。もちろんスタイリングは大事なのだが、ライフスタイルに合った使い勝手を求める消費者も増えてきた。現行型クラウンが4つのボディタイプを用意したのも、多様化する自動車ユーザーのニーズを考慮してのことに違いない。

  • トヨタ「クラウン」シリーズ

    クラウンシリーズは「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」の4モデルから選べる

エステートとはいいながら、トヨタはこのクルマをSUVのカテゴリーに分類している。前後から眺めてみると、確かにスタイリングは昨今のSUVとしてのツボを押さえている。だが、見る角度を変えて真横から眺めてみると、伸びやかでいかにもステーションワゴンらしいクルマだと思えてくる。他メーカーのSUVと比較しても、(実際の数値は別として)全高は低く、ホイールベースは長く見え、リアに向かって流れるようなデザインに新鮮味がある。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    トヨタはSUVにカテゴリーしているが、真横から見るとステーションワゴンに見える。デザインバランスが絶妙だ

運転席に座るとSUVほど視界は高くなく、かといってセダンほど低くもなく、ポジションは絶妙。車内はシンプルにまとめられていて、シフトレバーやエアコン、ナビ周りの操作感もわかりやすい。スマホを立てて収納できる「おくだけ充電」もユニークでおもしろい。

大人2人で車中泊も余裕?

ステーションワゴンの魅力といえば、やはり広くて大きい荷室だ。もちろん、クラウンエステートも広大な荷室を有している。荷室容量は後席を倒さなくても約507Lを確保。9.5インチのゴルフバッグを3つ、81cmのスーツケースを2つ収納できるという。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    外からは想像ができないほど広大な荷室を備える

さらに、後席を倒して拡張ボードを展開すれば、ほぼフルフラットで広大な空間が出現。荷室の長さは約2,000mmに拡大する。身長約180cmの筆者が実際に横たわってみたが、足元にも頭上にも余裕があった。大人2人が横になれるスペースが簡単に作り出せてしまうのは嬉しいポイントだ。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    拡張ボードでほぼフルフラットで広大なスペースを作り出せる

走りはクラウン! 心配なし

走りはどうかというと、車重の重さは感じるもののアクセルのレスポンスがよく、踏み込んだときの加速力は申し分ない。高速道路の合流も急な坂道での定速走行も問題なしだ。乗り心地は若干硬く感じたが、走行中のロードノイズは小さく、長距離走行でも疲れにくいだろう。

  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • インテリアはシンプルだが、使い勝手を重視した設計だ

  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • シートは肉厚で身体を優しくホールドしてくれる。長時間の運転でも疲れにくい。後席も十分な広さで快適に過ごせる

クラウンエステートはハイブリッド(HEV)の「エステート Z」(635万円)とプラグインハイブリッド(PHEV)の「エステート RS」(810万円)の2グレードから選べる。カタログ燃費はZが20.3km/L、RSが20.0km/Lで互角。175万円の価格差を考えるとHEVを選びたくなるが、PHEVなら電気だけで約89km走行できるし、国や自治体の補助金も期待できる。長距離に出かける機会が多いのならHEV、あまり遠出をせず街乗り中心なら、ガソリンを使わずにそれなりの距離を走れるPHEVという選択がいいかもしれない。

2022年に発売となり、エステートの登場でラインアップが出そろった現行型「クラウン」は、どれも現代的で魅力的なパッケージだが、クラウンらしさをあまり感じられないのは少し残念だ。8代目や11代目のような大型グリルを現代的にアップデートして迫力(威厳?)を与えるなど、誰が見てもクラウンだと思える部分があってもよかった。現状は、王冠のエンブレムでクラウンだとわかる程度だ。さらにいえば、800万円(PHEV)を超える高級車であるなら、もう少し車内に高級感もほしい。

  • トヨタ「8代目クラウン」

    歴代クラウンの中で最も売れた8代目クラウン(1987年登場)。7代目クラウンとともに「いつかはクラウン」のキャッチコピーで大ヒットした。誰が見てもクラウンと思える(?)代表モデルではないだろうか

とはいえ、クラウンエステートの満足度は高いし、クラウンシリーズならどれを買っても大正解。自分のライフスタイルにあった1台を選べるのは、充実のラインアップがあってこそだ。クラウンシリーズの中でどれを選ぶか、嬉しい悩みは尽きない。

  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • ステーションワゴンとSUVが見事に融合したクラウンエステート。特に真横からのスタイリングが好みだ


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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