日本伝統の麹の“うまみ”を最大限に表現した本格麦焼酎『iichiko彩天(さいてん)』が6月17日に発売された。価格は3,080円。三和酒類の関係者は「和酒と洋酒の垣根を越えた、新たな世界基準となるスピリッツを目指します」とアピールしている。
■どんな麦焼酎に?
『iichiko彩天』は、日本伝統の麹文化から生まれた本格麦焼酎。米国のトップバーテンダーの協力を得ながら開発を進めた。米国のBARシーンにて2019年4月より先行販売が始まると、蒸留酒の愛好家にも「新しいスピリッツが出てきた」「面白い」と支持が広まった。
2020年にはBAR業界のアカデミー賞と称されるTales of the Cocktailでアジアの伝統的蒸留酒として初となるトップ10入りを果たし、世界最大の蒸留酒品評会San Francisco World Spirits Competition(SFWSC)では2023年、2024年、2025年と3年連続で最高金賞を獲得。現在では、世界中のBARシーンで提供される機会が増えているという。
三和酒類 代表取締役社長の西和紀氏は「世界の蒸留酒には、ウイスキー、ブランデー、ラム、ウオッカ、ジン、テキーラがあります。私たちは、ここに焼酎のポジションをつくるべく約40年前から輸出事業に取り組んできました。『iichiko彩天』には、充分にその資格があると考えています」と自信をみせる。
一般的に、焼酎のアルコール度数といえば25%程度。しかしスピリッツの本流であるウオッカ、ジン、テキーラなどは40%前後ある。これに対抗するため、アルコール度数が40%を超える焼酎が考案された。三和酒類のプロジェクトチームは日米間を何度も往復しながら海外のトップバーテンダーとミーティングを重ね、2年の歳月をかけて『iichiko彩天』を完成させたという。
原料、技術、酒質については三和酒類の宮崎哲郎氏が解説した。大麦麹だけで醸されている『iichiko彩天』。その大麦麹の原料となる二条大麦は、厳密な検査や醸造適性の確認を何度も繰り返し、安全性と品質規格を満たしたものだけを厳選している。
そして、日本の「伝統的酒造り」に欠かせないのが麹。麹の持つ“うまみ”を最大限に表現するため、三和酒類では大麦麹のみを使用した「全麹仕込み」を採用した。「ブレンド用の各原酒に適した選りすぐりの酵母を使用しています。こうして生まれた、個性際立つ原酒を巧みにブレンドすることで、奥行きのある豊かな香味を実現しています」と宮崎氏。
酒質については、常圧蒸留由来のチョコレートやクリーム、豊かな大麦の香りが感じられ、口に含むと大麦の芳醇な香りやフルーティーな香りなど、様々なフレーバーが広がると説明。味わいについては「麹由来のうまみから始まり、時間の経過とともにほのかな甘みや苦みが現れ、長い余韻をお楽しみいただけます」としている。
この日、世界的バーテンダーのケヴィン・ディードリッヒ氏、レオ・ロビスチェック氏もゲストとして招かれた。世界で最も影響力のあるバーテンダー100人に2年連続で選出されたケヴィン氏は、経営する店舗でも『iichiko彩天』を積極的に使っていきたい、と笑顔を見せる。
また、レオ氏は「人が世界中を自由に往来できるようになった現在、個人的にも『地球は小さくなった』と感じています。そして人々は、新しい食文化、アルコール文化に触れることに大きな興味を抱いています。“焼酎”についてですが、まだ海外ではそこまで親しまれておりません。今後、『iichiko彩天』をカクテルに使う機会が増えることに、私自身とてもワクワクしています」とした。
このあと質疑応答の時間がもうけられた。焼酎を「世界の酒」にするという理念のもと、iichikoブランドの世界展開を進めている三和酒類。メディアから「掲げた目標は何割まで達成できたか」と問われると、西社長は「まだスタートしたばかり、という気持ちです。この7~8年で海外の、特にアメリカ、ロンドン、シンガポールあたりには、少しではありますがiichikoブランドの評判を作ってこれたと感じています。ようやく日本でも『iichiko彩天』を発売できました。これから焼酎という飲み物の再定義をしていければ。今後、世界の蒸留酒と同じように焼酎が取り扱われるようになったときが、目標が100%達成できたときです」と話した。