この記事では、部下のやる気を引き出し、主体的に動けるようになる指導法を解説した書籍『教え方の一流、二流、三流』(北宏志 著/明日香出版社)より、「教え方の最適解」を抜粋して紹介します。今回のテーマは「三流は、仕事と関係のないことをほめ、二流は、仕事での行動をほめ、一流は、何をほめる?」
三流は、仕事と関係のないことをほめ、二流は、仕事での行動をほめ、一流は、何をほめる?
ほめられて、嫌な気持ちになる人は少ないでしょう。上司と部下も、いい関係性を築くために、「ほめ」は重要です。
ほめ方には細心の注意を払う必要があります。
「素敵なスーツだね」「今日の髪型、かっこいいね」
このようなほめ言葉もダメではありませんが、上司が部下に伝えるメッセージとしてふさわしいかと言うと、少し疑問です。
「この提案書はうまくできているね」「さっきのアポの話の進め方、とてもよかったよ」 このような言葉は、上司が部下に伝えるメッセージとしては、適しています。
でも、これだけでは"今どき"の若者たちを満足させることはできません。
今の若い世代は「承認欲求」が強い世代だと言われます。若者と関係性を築くうえでは、1つのキーワードであることは間違いないでしょう。
「さっきのアポの話の進め方、とてもよかったよ」は、あくまでも部下の仕事での行動 をほめています。
そこから一歩踏み込んで、「さっきのアポは、あなたがいてくれて助かったよ」「あなたがいたからこそ、アポがうまくいったんだよ」というように、部下の存在を認める言葉選びができれば、なおよいでしょう。
彼らの存在を認める言葉をかけることが、承認欲求を満たすヒントなのです。ほめる時は一つひとつの行動ではなく、彼らの存在そのものを認めて、ほめる。このことを意識するだけで、上司側の視点も大きく変わるはずです。
とは言え、ここにも注意点があります。何でもかんでも部下の存在を認めて、ほめればよいというわけではありません。
最近の若者は、非常に現実的な考え方を持っています。ほめ方が不自然だったり、明らかにとってつけたようなほめ言葉だったりしては、彼らの気持ちが冷めていくことは容易に想像できるでしょう。
本当は読んでもいない資料を「よくできていたね」とほめたところで、「どこがよかっ たですか」と聞かれて、墓穴を掘るのは目に見えています。
ほめるためには、相手をよく知り、よく見ることが重要です。上司のほめ言葉が適切かどうかは、上司が部下をどれくらいしっかりと見ているかを示すバロメーターにもなるのです。
一流は、存在を認める