トヨタ自動車が発表した新型「RAV4」のプラグインハイブリッド車(PHEV)は、条件にもよるが、ほぼガソリンを使わずに乗れる電気自動車(EV)のようなクルマだと言えるかもしれない。将来的にBEVに乗り換えることになりそうな現代の自動車ユーザーにとってみれば、BEV移行への予行演習に最適なクルマとなるだろう。
バッテリー容量が大幅に増加
トヨタが2025年度中に日本で発売する新型「RAV4」にはハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)がある。PHEVはHEVよりも大きなバッテリーを積んでいて、外部からプラグを差して充電しておけば、バッテリーに貯めた電力でEVのように走れるクルマだ。新型RAV4はトヨタ初となる新しいプラグインハイブリッドシステムを搭載している。
新型RAV4のPHEVは、先代(現行型)RAV4のPHEVに比べバッテリーの容量が3割ほど増えているそうだ。具体的な数字は現時点で非公表だが、現行型RAV4のPHEVはバッテリー容量が18.1kWhなので、23kWh強くらいになっているものと思われる。
現行型RAV4のPHEVはフル充電で95kmの「EV走行」(バッテリーに貯めた電気だけで走ること)が可能だが、新型RAV4のPHEVは、その距離が150kmまで伸びる。さらには、現行型では対応していないDC急速充電にも対応するそうなので、出先(サービスエリアなど)での充電(経路充電)も可能になる。
ちなみに、国産のPHEVとして有名な三菱自動車工業「アウトランダーPHEV」のEV走行距離は105km。輸入車勢もたくさんのPHEVをラインアップしているが、150kmも電気で走れるクルマというのは聞いたことがない。新型RAV4のPHEVをフル充電かつガソリン満タンの状態にしておけば、全部でなんと1,350kmも走れるという。
EVユーザーの生活を疑似体験?
素朴な疑問として、バッテリー容量の増量分が30%なのに、なぜEV走行距離を50%も伸ばすことができたのかが気になったのだが、トヨタの技術説明員によれば、「ひとつひとつの部品の抵抗をしっかりと突き詰めて、より電費がよくなるようなさまざまな工夫を施し」て、バッテリーの電力を効率よく使えるような仕組みとしたそうだ。ちなみに、新型RAV4のボディサイズは現行型とほぼ同じとのことだが、空力が向上していることも、EV走行距離の増加に寄与しているという。
いきなりEVに乗るのは敷居が高いと思っている人でも、ガソリンでも走れるPHEVであれば買いやすいはず。自宅でクルマを充電できる人であれば、普段の移動はほぼガソリンを使わずにこなせるはずだ。充電しながらクルマに乗るというEVユーザーのライフスタイルを、「電欠」の不安なしに体験してみるのにぴったりの1台だと思う。