マンションリサーチは5月16日、「2025年5月住宅ローン金利と中古マンション市場」に関する調査結果を発表した。調査は、ホームローンドクター代表取締役 淡河範明氏への聞き取り、および同社保有データ(2023年1月〜2025年5月)を用いて行われた。
東京都23区における一般向け中古マンションの「販売日数」と「値下げの回数」の推移を見ると、中古マンションの販売期間は横ばいだったものの、「値下げ回数」は減少している。DH住宅ローン指数の推移を見ると、変動金利は先月よりもやや増加したものの、10年固定及び全期間固定金利は減少しており、相対的に需要が高まったことが「値下げ回数」の減少につながったよう。
また、DH住宅ローン指数の推移をみると、2025年5月の変動金利は0.855%で、先月の0.828%からわずかに上昇。1年前の0.487%と比較すると、依然として上昇局面が続いている。今月、金利を引き上げたのは「SBI新生銀行」と「ソニー銀行」の2社で、「SBI新生銀行」は前月トップの金利水準にあったが予想外の利上げを行ったため、ランキングで一気に5位にダウン。同様に「ソニー銀行」も7位から11位に順位を落とし、競争から完全に撤退したとみられる。なお、「楽天銀行」のみが金利を引き下げた。
変動金利の今後の動向については、トランプ大統領による関税政策の影響が世界に波紋を広げており、これに加えて円安を抑制するための追加利上げの必要性も薄れてきたため、日銀による利上げは当面見送られるという見方が広がっている。もっとも、利下げに転じる兆しもなく、今後もしばらくは日銀が様子を見る姿勢を継続するとの見方が一般的。こうした状況を踏まえると今後の変動金利はしばらくの間、比較的狭い範囲で推移するという。
かつて主力とされていた10年固定金利の存在感は、徐々に低下している。特に全期間固定型ローンを扱っている銀行では、10年固定型の積極的な推進にはあまり意欲が見られず。ただし、10年が最長期間である銀行については、依然として10年固定が中心となっています。
10年固定金利は、日本の10年国債の金利を参考に設定されるとされているが、2025年4月はトランプ関税ショックの影響で金利が一転して下落。月初1.497%だった10年国債の利回りは、月末には1.1%台にまで下がり、最終的には1.33%で引けた。この影響を受けて、DH住宅ローン指数における10年固定金利は、先月の1.722%から1.615%へと大幅下落に。とはいえ、1年前の1.259%と比較すると高い水準にあり、依然として上昇トレンドの中にあるという。
変動金利に比べて割高感があることから、これまで敬遠される傾向にあった全期間固定金利は、変動金利が本格的に上昇し始めたことで、全期間固定を選ぶ人が少しずつ増えているよう。それでもなお、変動金利を選択する人の方が多数派である状況は変わっておらず、今後は、変動と固定を組み合わせた「ミックスプラン」を選ぶ人も増えていくと予想される。
今月のDH住宅ローン指数によると、全期間固定金利は2.193%となり前月(2.316%)より下がったが、1年前の1.940%と比べると依然として高い水準で上昇傾向が続いている。
また、対象となっている14の銀行のうち7社とフラット35が金利を下げ、1社は金利を変更せず。0.1%以上の大幅な引き下げを実施した銀行が多く、これは先月に金利を上げすぎたことへの調整とみられる。唯一、金利を変更しなかった「SBI新生銀行」は、やはり金利競争から一歩退いたと見られているが、依然として金利水準は低めに設定されており、完全に競争から撤退したわけではないよう。
中でも注目されるのが「フラット35」で、今月は買取型の基準金利を1.82%に引き下げ、他の選択肢に比べてより魅力的な水準に。ただし、「フラット35」を除く全期間固定金利はすべて2%を超えており、金利上昇の傾向はかなり進行している。 今後は、10年固定金利と同様に、金利の方向性がはっきりしない状態が続くと予想され、少なくとも数カ月間は、大きな変動のないレンジ内での推移が続くと考えられるという。