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銀行でNISA口座を開設するのは避けたほうがいい理由

MAY. 21, 2025 07:00
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長期積立の資産運用の魅力を伝えている、「つみたて王子」こと中野晴啓氏が、今後さらにインフレが進んだときに必要な投資法を伝授する書籍『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓 著/宝島社/1,650円)から、一部を抜粋して紹介します。今回のテーマは『銀行でNISA口座を開設するのは避けたほうがいい』。

銀行でNISA口座を開設するのは避けたほうがいい

銀行では投資信託を取り扱っていますし、NISA口座を開設することも可能で、特典付きキャンペーンを実施して熱心に勧誘しているケースも見受けられます。

しかし、結論からいえば、キャンペーンなどにうっかり惑わされず、NISA口座は銀行で開設しないのが賢明です。現行の制度では1つの金融機関でしかNISA口座を開設できず、うかつに銀行を選ぶと後悔しかねません。

もともと投資信託は、証券会社が独占的に取り扱っていました(一部の運用会社は直販も実施)。金融業界に対する規制緩和の一環で、1998年から銀行の窓口でも販売することが可能となったのです。

それまで銀行では、顧客(預金者)の資産(預金)を運用して(融資に回して)利益(利ザヤ)を得るというストックビジネスが中核となってきました。投資信託の販売はまったく毛色が異なり、販売手数料で稼ぐというコミッションビジネスです。

この新たなビジネスモデルが入ってきたことによって、手数料収益の達成目標(ノルマ)が掲げられ、言葉巧みに預金から投資信託へ、更には投資信託から別の投資信託へと乗り換えさせる勧誘も横行しました。しかも、投資信託の販売手数料は個別に設定されていますが、銀行の取り扱いではこれらが相対的に高めに設定されているものが目立ち、手数料稼ぎの魂胆が見え見えでした。

実際、「おすすめ」として紹介されている投資信託の商品内容について、問題視されるケースが多々あったのも確かです。「通貨選択型ファンド」と呼ばれるものがその一例で、高金利通貨の為替取引による収益も期待できそうなことが興味をそそったものの、価格変動のメカニズムが非常にわかりにくく、すべての顧客が本当に理解したうえで購入を決めたのかが大いに疑問です。

また、本来ならオプション取引をはじめとするデリバティブ(金融派生商品)はシロウトが手を出すべきものではありませんが、銀行はそれらを駆使したタイプの投資信託を積極的に販売していたこともありました。言わば「ギャンブルファンド」で、その実態は「投資」ではなく「投機」だったのです。

ただ、昨今では、皮肉にもNISA口座の獲得を巡り、これまでとは真逆の低コストな商品を取り扱わざるを得なくなっています。詳しくは第5章で触れますが、NISAの「つみたて投資枠」でもっぱら人気を集めているのは、米国の主要な株価指数であるS&P500や、グローバルな株式市場の全体的な推移を反映する全世界株式(オールカントリー=略称:オルカン)に運用実績が連動する仕組みになっているインデックスファンドです。

NISAの「つみたて投資枠」で選択できる投資信託はすべて販売手数料がゼロであるうえ、S&P500やオルカンに連動するタイプの中でも突出した人気を誇っているのは、信託報酬の料率が最も低いもの。つまり、銀行にとってはまったく儲からない商品です。

上司からはできるだけ高い手数料の投資信託を販売するように指導されるものの、実際に窓口で対応する行員としては、顧客のほうから飛びついてくれるS&P500やオルカンのインデックスファンドを販売するほうがはるかに楽。NISA口座の獲得数や投資信託の残高といった目標(ノルマ)の達成にはつながるので、現場は儲けなど気にせずにとにかく楽にさばけるファンドを販売しているのが現状です。

当然ながらその販売姿勢には、顧客にNISAの非課税枠を活用した長期の資産形成を成就してもらうというフィロソフィー(哲学)が欠落しています。一方で、S&P500やオルカンのインデックスファンドしか売れない状況を放置していると、銀行はどんどんジリ貧になってしまいます。

投資信託の販売で儲けられなくなった事態を打開するために、必ずや何らかのアプローチで収益の拡大を図ることを模索するはず。銀行の顧客にとっては、その動きを最も警戒すべきで、たとえば窓口で手数料収益性が高いといわれる変額保険への加入を勧誘された聞く耳を持たないのが賢明でしょう。

  • ※画像はイメージ

『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓 著/宝島社/1,650円)

本書では、長期積立の資産運用の魅力を伝えている、「つみたて王子」こと中野晴啓氏が、今後さらにインフレが進んだときに必要な投資法を伝授します。新NISAスタートから1年、銀行に預金を預けたままにしたり、数年前に買った株や金融商品をそのままにしている「ほったらかし投資」のリスクに加え、「長期・積立・分散」のメリット、投資信託のインデックス運用よりアクティブ運用を奨める理由など、いまの時代に合った投資法をわかりやすく解説しています。巻末には中野氏オススメの24銘柄も掲載。インフレ時代のいま、自分の資産を守りたい、また、増やしていきたい人は必見の一冊です。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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