長期積立の資産運用の魅力を伝えている、「つみたて王子」こと中野晴啓氏が、今後さらにインフレが進んだときに必要な投資法を伝授する書籍『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓 著/宝島社/1,650円)から、一部を抜粋して紹介します。今回のテーマは『世界最強の米国株はずっと上昇し続けるという根拠のない予測』。
世界最強の米国株はずっと上昇し続けるという根拠のない予測
長く相場を見てきた人にとっては極めて当たり前のことですが、新NISAで投資を始めた人がイメージしづらい現実があります。それは、株価が下がり続ける局面も訪れるということです。
特に米国株に対しては、「下がったとしても一時的な現象にすぎないはず」と思い込んでいる人は少なくなさそうです。しかし、株式市場は必ず上がったり下がったりを繰り返すというのが歴史的事実であり、米国株もその例外ではありえません。
例えば、過去10年間における米国株(S&P500)の推移を見てみると、2022年はほぼ一貫して下降基調が続いていることがわかります。
さらに遡っていけば、2000年にITバブルが崩壊した後は、2006年に入るまで低迷が続きました。2023年以降、米国株はほぼ一貫してかなり割高な水準に達しているのも事実で、いつ流れが反転しても不思議はありません。
しかも、こうした米国株の独り勝ち状態を牽引したのが半導体メーカーのエヌビディアを筆頭とする生成AI関連や一部のテック企業だったことも気になります。あまりにも期待感が高まったことで、そういった企業の株価が極端な上昇を遂げてきました。
くしくも、米国株がかなり割高な水準に達したタイミングで、再びトランプ政権が誕生したことも懸念材料です。公約通りに高い関税をかければ輸入物価が急上昇してインフレが深刻化する恐れがありますし、前政権を完全否定する方向に動いているわけですから、これまでの流れをそのまま引き継ぐような株価の推移は考えがたいでしょう。
『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓 著/宝島社/1,650円)
本書では、長期積立の資産運用の魅力を伝えている、「つみたて王子」こと中野晴啓氏が、今後さらにインフレが進んだときに必要な投資法を伝授します。新NISAスタートから1年、銀行に預金を預けたままにしたり、数年前に買った株や金融商品をそのままにしている「ほったらかし投資」のリスクに加え、「長期・積立・分散」のメリット、投資信託のインデックス運用よりアクティブ運用を奨める理由など、いまの時代に合った投資法をわかりやすく解説しています。巻末には中野氏オススメの24銘柄も掲載。インフレ時代のいま、自分の資産を守りたい、また、増やしていきたい人は必見の一冊です。