まわりに振り回されず「淡々と」「粛々と」「黙々と」、自分のやりたいことをし続ける――大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太といった現代のスターをはじめ、優秀な若者の共通点は"隠れて努力できる人"であること。
「意識高い系」でも「冷笑主義」でもない、令和時代の新しい生き方を考察した1冊『ゆるストイック』(佐藤航陽 著/ダイヤモンド社)から一部を抜粋してご紹介します。
天才を打ち負かす凡才の存在
この世界では、「天才を打ち負かす凡才」は、珍しいことではありません。あなたの周りにもいませんか。
- 素晴らしい才能を持ちながら評価されない人
- そこまで優れているわけではないのに大成功している人
そんな人たちを見て、不思議に思ったことがあるかもしれません。その理由は、シンプルです。
- 「優れた才能」を持つこと
- それが世の中で「独自性」を発揮できること
- そして何かにタダ乗りして「運」を味方につけること
これら3つの要素は、それぞれまったく別のことだからです。
この3つの要素を積極的につなげる努力をしなければ、優れた才能も宝の持ち腐れにな ってしまいます。
才能があるだけでは不十分で、それを独自性に変える努力が必要です。
また、その独自性を発揮するには、適切な舞台に立つことも求められます。
そして、特に「運」が支配する世界では、意外にも才能が豊かな人ほど不利に働くこと さえあるのです。
才能に恵まれた人は、しばしば高い目標を掲げ、強力なライバルと競うことを厭いとわず、競争に巻き込まれやすい傾向があります。
なぜなら、自分が勝てるという「自信」があるからです。
その結果、強者の中に埋もれ、独自性を発揮できずに終わることも少なくありません。
一方で、自分のことを「天才ではない」と自覚している人は、徹底して強者との競争を避ける努力をします。
わずかな強みを分析し、その強みを最大限に発揮できる「環境」を探し、すでに存在す る基盤をフル活用することにも躊躇しません。
こうした人は、タダ乗り戦略にも自然とたどり着きやすいのです。
つまり、優れた才能がある人は、競争に巻き込まれて「独自性」を発揮できなかった り、「タダ乗り」を避けて自力で切り開こうとするために「運」を味方にできないといった戦略的なミスを犯しやすいのです。
また、多くの人は、「自分が面白いと思うものは他人も面白いと思うはず」という 認識を持っています。
しかし、特殊な才能を持つ人はその感性が人々とズレていることも多く、独自性を発揮 する際に苦労することでしょう。
たとえば、白亜紀に生息していたティラノサウルスには天敵がいなかったと考えられています。しかし、その後の氷河期を生き抜いたのは、環境に適応した小さなネズミやゴキブリでした。
つまり、圧倒的な才能が、環境適応において必ずしもプラスに働くわけではなく、むしろ邪魔になることすらあるということです。
運が支配するこの世界では、「才能に頼る者」よりも「環境を味方につける者」のほう が成功に有利です。
ほんの少し他人より優れた特徴があれば、それだけで十分にチャンスを掴むことができるのです。
『ゆるストイック』(佐藤航陽 著/ダイヤモンド社/1,760円)
稀代の起業家が語る、次の世代の生活スタイルとは----。優秀な若者は、「淡々と」「粛々と」「黙々と」自分のやりたいことをし続けることができる。まさに、「ゆるストイック」を体現している。この生活スタイルを身につけるために、「運・努力・才能」を学び直し、生き方を変えよう。