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4月から住宅ローンの変動金利が上昇、返済中の人・これから借りる人がとるべき対策

APR. 05, 2025 07:00
Text : 石倉博子
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3月31日、大手銀行5行は、変動型の基準金利を0.25%引き上げることを決めました。日銀の追加利上げを受けて、変動型の指標となる短期プライムレートが3月に引き上げられたことを踏まえての決定です。これによって、実際に適用される金利も引き上げられることになります。

現在、変動金利で借りている人は、どのような対策をしたらいいのか、また、これから住宅ローンを組む予定の人は、どのような選択をしたらいいのか、金利上昇局面の住宅ローンの借り方と対策をまとめました。

住宅ローンの金利の仕組み

住宅ローンの金利には大きく分けて「固定金利」と「変動金利」があります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

金利が決まる仕組み

固定金利は、「新発10年国債」の利回りに連動する長期金利を指標とし、変動金利は、銀行が優良企業に貸し出す際の最優遇金利である「短期プライムレート」を指標としています。

金利が上昇する局面では、まずは10年国債の利回りに連動する長期金利が上昇し始め、そのあとで、短期プライムレートの基となる政策金利が追従する形で上昇するのが一般的です。 長期金利は市場の金利変動を先取りする形で上がる傾向があるため、固定金利が先に上がり、政策金利は経済への影響を考慮して慎重に調整する必要があるため、変動金利は遅れて上がります。

そのため、変動金利が上昇したタイミングでは、すでに固定金利は上がっている可能性が高いので、その時点で変動金利から固定金利に借り換えても効果は期待できません。これが、金利上昇時の変動から固定への借り換えが難しいといわれる所以です。

「基準金利」-「引き下げ幅」=「適用金利」

変動金利の基準金利は、いわゆる「定価」であり、そこから各銀行の集客戦略や顧客の信用力に応じて決定される引き下げ幅(優遇幅)を差し引いて、実際に適用される金利が「適用金利」です。

激化する住宅ローンの獲得競争に勝つために、金利の引き下げ幅を大きくして、適用金利を低くしている金融機関が多かったため、これまで0.3%~0.5%程度に保っていましたが、4月からの基準金利の引き上げを受けて大手銀行5行は適用金利も引き上げています。

金利の見直しルール

変動金利には、急激な返済負担増を抑えるためのルールがあります。代表的なものは「5年ルール」と「125%ルール」です。5年ルールは、金利が変わっても5年間は返済額が変わらない仕組みです。125%ルールは、金利上昇時でも前回の返済額の1.25倍までしか増えない決まりです。しかし、このルールによって支払いきれなかった利息が「未払利息」となり、ローン残高がなかなか減らないリスクもあります。これらのルールは急激な返済額の増加を抑えるためのもので、金利上昇分が免除されるわけではないことを理解しておきましょう。

変動金利で借りている人の対策

すでに変動金利で借りている人は、金利上昇によってどのような対策をとったらいいのか、これからできる3つの対策をお伝えします。

より優遇幅の大きい銀行に借り換える

各銀行は、優遇幅によって差別化を図っているため、基準金利は一緒でも適用金利はさまざまです。4月からの大手銀行5行の変動型の新規借り入れの最優遇金利をみると0.5%~0.9%と幅があります。今後、金利が上がることで、返済額の増加が心配であるならば、より低い金利の住宅ローンに借り換えることで利息負担を抑えられます。

この場合、借り換えの諸費用を差し引いてもメリットがあるかを考えましょう。また、「金利差が大きい」、「ローン残高が多い」、「残りの返済期間が長い」ほど、借り換えのメリットは大きくなります。各銀行のWebサイトで提供されている「借り換えシミュレーション」で、諸費用も含めたシミュレーションをして借り換え効果を確認してみるといいでしょう。

固定金利に借り換える

変動金利から固定金利への借り換えは、先述したように、変動金利が上がり始めてからでは遅い面があります。現在、フラット35の最頻金利は1.94%となっています。この先、これを超えるような金利上昇があれば、固定金利への借り換えは有効ですが、今後、金利がどのように動くのかは誰にもわかりません。

今後の金利上昇を心配したくない人、ローン残高が多い、残りの期間が長い人は検討してみる価値はあるでしょう。

繰り上げ返済をする

繰り上げ返済をして利息を軽減するのも金利上昇時には有効です。ただし、住宅ローン控除期間は繰り上げ返済は待った方がいいでしょう。住宅ローン控除は借入時期によって、1.0%と0.7%と違いがありますが、金利が控除率よりも低い場合は、住宅ローン控除を優先し、金利が控除率を上回った場合は、控除期間中でも繰り上げ返済をした方がよいといえます。

しかしこれは理論上の話で、実際は、手元資金に余裕がないのに、繰り上げ返済をするのはおすすめしません。金利が上がったとしても、すぐに返済額が上がるわけではないので、まずは生活資金を確保して、当面使う予定のない資金ができた時に繰り上げ返済を検討しましょう。

これから住宅ローンを組む人の選択

これから住宅ローンを組む予定の人は、どの金利タイプを選択したらいいのか迷うと思います。金利の動向が不透明である以上、現時点でどちらが有利かは判断できません。そこで、その人の状況や今後のライフプラン、性格なども考えて、変動金利が向いている人、固定金利が向いている人を示しました。

変動金利が向いている人

借入額が少ない、返済期間が短い人

借入額が少なく返済期間も短い場合は、変動金利で借りても、金利が大きく上がる前に返済を終えられる可能性が高いでしょう。

貯蓄がある人

貯蓄があれば、金利上昇に対処できるため、変動金利を選択できます。

対策を考えられる人

今回のような金利上昇のタイミングで対策を考えられるタイプなら変動金利でも問題ないでしょう。

固定金利が向いている人

借入額が多い、返済期間が長い人

返済期間が35年など、長期にわたって返済していく場合は金利変動リスクが高くなります。金利変動リスクに対処できる見込みがない場合は、返済プランが確定している固定金利を選ぶといいでしょう。

家計に余裕がない人

子育て世帯など、養育費や教育費がかかり家計に余裕がない場合は、金利上昇による返済額の増加は大きなリスクとなります。この場合、月々の返済額を抑えて返済期間を長くする長期住宅ローンを固定金利で組む方法は有効です。返済期間が長くなれば、団体信用生命保険(団信)の保障期間も長くなるので、家族の安心につながります。

金利上昇の心配をしたくない人

金利上昇が心配な人、返済額が変わらない安心感を求める人は固定金利が向いています。

ミックスローンという選択も

変動と固定どちらにするか決められない人や、リスクを軽減したい人は「ミックスローン」という選択があります。ミックスローンは、1件の申し込みで「変動金利」と「固定金利」など異なる金利タイプを組み合わせることができる住宅ローンです。「固定金利に比べて、低金利のメリットが得られる」、「変動金利に比べて、金利上昇リスクを軽減できる」ので、迷った時の選択肢になります。

ミックスローンは返済期間や借入金額も自由に設定できます(※)。たとえば、2000万円を「固定金利型30年」、1000万円を「変動金利型10年」で組むということができます。この場合、変動金利型の返済が終わる10年後は月々の返済額が減るので、教育費などの支出が多くなる時期に合わせれば、最適な返済プランを立てられます。

※金融機関によっては返済期間はミックスできない場合があります。

リスクを分散できる一方で、固定金利、変動金利のそれぞれのメリットも半分となるので、「ミドルリスク・ミドルリターン」の商品といえるでしょう。

まとめ

今後の金利上昇リスクに対して、現在、変動金利で借りている人は、より低金利の銀行への借り換え、固定金利への変更、繰り上げ返済といった対策が考えられます。

一方、これから住宅ローンを借りる人は、借入額や返済期間、リスク許容度に応じて金利タイプを選ぶことが重要になります。変動と固定を組み合わせた「ミックスローン」も選択肢として有効です。

いずれにしても、ご自身の状況が分かっていないと適切な選択はできません。まずは、現在の家計状況と今後のライフプランによる資金ニーズを把握するところから始めてみましょう。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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