現代アートギャラリーを運営するTRiCERAは、総資産を1億円以上持つ30歳以上の男女385名に、2024年12月13日から12月16日の間、現代アートによる資産形成に関してインターネット調査を実施。富裕層を対象にした、現代アートを使った資産形成の認知度やメリットなどの実態を公表した。
調査によると、回答者の約75%が現代アートが投資対象であることを「知らない、捉えていない」と回答。現代アート投資が資産運用の手段になることを、「知っていて、すでに運用している」のは9.4%とわずかで、「知っており、情報収集をしている」が16.9%、「投資対象と捉えていない」が49.1%と全体の約半数を占めた。また、そもそも現代アートが資産運用の手段になることを知らないと回答した人は、24.7%に上った。
さらに上記の回答者のうち、「知っており情報収集をしている」「投資対象と捉えていない」と回答した254名に、「なぜ資産形成のためにアートを購入しないのか」と聞いたところ、「価値の妥当性が分からない」(46.5%)と「アートに関する知識がない」(44.5%)という理由が上位を占めた。以降アートを購入しない理由は、「保管が面倒である」「贋作のリスクがある」(ともに28.3%)、「将来が読みにくい」(25.2%)、「流動性が低い」(24,0%)、「経年劣化や盗難のリスク」(24.0%)、「今の投資ポートフォリオに満足している」(11.8%)、「マーケットが小さい」(7.9%)、「短期のリターンが期待できない」(7.1%)、「原資がない」(5.9%)、その他(3.1%)という結果になった。アート投資に踏み切れない障壁として、「価格の妥当性がわからない」「アートに関する知識がない」といった要因があることがわかる。
一方で、美術館やアートギャラリーなどの関連施設に訪問する頻度を尋ねたところ、美術館に年一回以上行くと回答した人は、全体の過半数以上になることが判明。4つの関連施設のうち、「年一回以上行く」と回答した人は、アートギャラリーでは35.6%、アートフェアで31.7%、アートオークションで26.2%となった。同社は、「アート関連施設への訪問頻度が比較的高いにもかかわらず、実際の投資・購入行動にはつながっていないことから、興味関心と実際の投資・購入行動の間に大きなギャップがあることが推察される」と発表している。
「すでに現代アートを使った資産運用をしている」と回答した36名に、「資産形成の手段としての現代アートのメリット」を調査したところ、一番の理由は「ポートフォリオの分散ができている」(72.2%)であることが明らかとなった。その他のメリットには、「投資リターンが大きい」(52.8%)、「実物資産のため値崩れしにくい」(47.2%)、「アートの魅力を楽しめる」(33.3%)、「(家族や社員の)教育に役立っている」「アーティストを支援できている」(ともに22.2%)、「ビジネスにおいて有効」(16.7%)、「節税効果がある」(11.1%)、「作品を起点に人間関係の輪が広がった」(8.3%)といった回答を得ている。