スイスの時計メーカー「スウォッチ」(swatch)が創業したのは1983年のこと。日本製クォーツ時計からのシェア奪還が当初の目標だったそうです。カラフルでカジュアルな腕時計を数多くラインアップしていて、数千円から購入できる価格設定もあり、手軽なファッションアイテムとして人気を博しています。
そんなスウォッチの腕時計が近年、日本で社会現象を巻き起こしました。一体どんな腕時計だったのでしょうか。2本の時計を振り返ってみましょう。
警察が出動する大騒動に!
日本でスウォッチなどの販売を手がけるスウォッチ グループ ジャパンは2022年3月、高級時計ブランド「オメガ」とのコラボウォッチ「バイオセラミック ムーンスウォッチ」コレクションを発売しました。同じスウォッチグループに属するスウォッチとオメガですが、コラボしたのは同モデルが初めて。安くても80万円前後はするオメガの名を冠した時計が4万円弱で買えることなども相まって、発売前から大きな話題となりました。
原宿や渋谷などにあるスウォッチの正規販売店では、購入を希望する客が長い列を作りました。一部の店舗では警察が出動するほどの大騒動となり、安全確保を最優先にしてほしいという警察の指導により、発売が延期となるほどの事態となりました。
バイオセラミック ムーンスウォッチは限定販売ではなく、入荷すれば購入できる通常販売商品であるにも関わらず、この騒動は収まりませんでした。その後は転売が相次ぎ、二次流通市場では定価4万円ほどのものが10万円で売られる異常事態が続きました。購入するためには実店舗に直接行って、在庫があれば購入できるという販売形態をとっていて、予約は不可、オンラインでも購入できません。頻繁に店舗へ行けない遠方の人にとっては、交通費を考えると、二次流通市場で購入したほうが手っ取り早いということだったのかもしれません。定価より高くてもバンバン売れていきました。
もう1本はブランパンとのコラボ
2023年9月には、同じスウォッチグループに属する1735年創業の高級時計ブランド「ブランパン」とコラボした「バイオセラミック スキューバ フィフティファゾムス」コレクションが発売となり、こちらもオメガとのコラボウォッチ同様、入手困難なモデルとなりました。
狙い目は雨の日の翌日?
バイオセラミック ムーンスウォッチの発売からは2年以上が経過しましたが、今なら購入できるのか、実店舗の担当者に話を聞きました。2024年末時点での情報です。
「ムーンスウォッチはカラーバリエーションが多いため、店舗に在庫があるモデルであれば、その場で購入できます。ただ、一部の人気カラーは購入できないこともあります。また、1日に1人1本という購入制限を設けさせていただいています」
では、希望のモデルを購入するコツはあるのでしょうか? こちらも聞いてみました。
「確約はできませんが、平日の開店直後は狙い目かもしれません。また、雨の日は客足が鈍るので、その翌日は比較的在庫が残っていることも多く、希望のモデルを買えるかもしれません」
時計としてはオメガコラボ(クォーツ式)で4万円台、ブランパンコラボ(機械式)で6万円台と、有名ブランドの名を冠したモデルとしては比較的、手ごろな価格となっています。本格的な腕時計デビューというよりは、手軽に身につけられるファッションアイテムとして買ってみるのもおすすめです。