高級車の日本代表を選ぶとしたら、筆頭候補に挙がりそうなのがトヨタ自動車の「センチュリー」だ。VIPの送迎で大活躍するセンチュリーはシックで大人なたたずまいがシブいのだが、カスタマイズを施すとどんな雰囲気になるのか。実物に遭遇したのでレポートしたい。
センチュリーのカスタムってあり? なし?
「東京オートサロン2025」の会場で異彩を放っていたのが、ドレスアップカーを手掛けるアレス(ALESS)/ロゼル(ROZEL)が出展していた「センチュリー(セダン)」のカスタム車だ。そもそも、センチュリー(セダン)の純正ボディカラーには白がラインアップされていない。そんな理由もあって、このクルマには目を奪われた。
トヨタのセンチュリーは1967年に初代が誕生した伝統の1台。現行型は3世代目に当たり、2023年にSUVライクな新タイプが登場した。現在はSUVライクなセンチュリーが「センチュリー」、伝統のセダンタイプが「センチュリー(セダン)」を名乗っている。
アレス/ロゼルは2018年式センチュリー(DAA-UWG60)をベースとするカスタム車を作成した。カスタム内容としては「ロゼル」ブランドの4点エアロキット(フロントバンパー、サイドマッドガード、リアバンパー、リアウィング)を装着し、フェンダー加工とエアサスペンション装備でネガティブキャンバーにも対応。フロントガラスと両ドアガラスには駐車時の車内プライバシーを守るサンシェード(脱着可能)を装着している。
アレス/ロゼルのブースで取材に対応してくれた代表取締役の上山峰功さんに聞いたところ、今回のカスタム車は「センチュリーをスポーティーな仕様にして、海外のカスタムテイストも取り入れるとどうなるのか」というテーマで作成したという。「賛否両論あると思いますが、提案型のカスタムです」とのことだった。
コンテストで最優秀賞を獲得!
実物に遭遇した感想としては、足回りからは「攻めの姿勢」を感じたのだが、全体としてはギラついているわけでもオラついているわけでもなく、どちらかといえばシックな仕上がりだった。クロームメッキを使ってピカピカ・ギラギラさせるカスタムを採用せず、むしろ真逆で、ヘッドライトの内部も含め、あえてメッキの光る部分をつぶすことにより、スポーティーでありながら落ち着いた雰囲気を狙ったそうだ。
そんなカスタムが高い評価を受けた結果、「ALESS CENTURY COMPLETE WL」はこのほど、「東京国際カスタムカーコンテスト2025」の「ドレスアップ・セダン部門」で最優秀賞を獲得した。
上山さんによると、センチュリーのカスタム車は「海外受けがいいんです」とのこと。アレスでも、これまでに何度か海外向けの注文(先代センチュリーがベースのクルマ)を受けたことがあるという。日本ではVIP送迎用のショーファーカーとして活躍していることが多いセンチュリーにカスタムの需要があるのかどうなのか、そのあたりは不明なのだが、変な話、黒いノーマルのセンチュリーに乗っている人はVIP同士で「クルマかぶり」が発生してしまうかもしれないので(別に発生しても全く問題ないのだが)、思い切ってカスタムしてみるというのも面白いかもしれない。
アレスではセンチュリー以外にもセダンを中心に多くのドレスアップカーを取り扱っている。センチュリーを見てカスタムのテイストが気に入ったなら、別のクルマ(セダン)でも似たようなカスタムが可能かもしれないので、アレスに相談してみるといいだろう。