マクラーレンのハイブリッドスーパーカー「アルトゥーラ」にオープンカーバージョンの「スパイダー」が登場した。屋根を開けるとどんな見た目? クーペとスパイダーの違いは? 値段はいくら? 日本で売れてる? 実物を見にオープン間近の「マクラーレン横浜」(横浜市西区)に行ってきた。
スーパーカーと電動化は食い合わせが悪い?
イギリスのスーパーカーメーカーであるマクラーレンの「アルトゥーラ スパイダー」が日本に上陸した。
「アルトゥーラ」は外部からの給電が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)のスーパーカーだ。3.0LのV型6気筒エンジンを搭載しているが、バッテリーに貯めた電気でモーターを回して走ることも可能なので、こんな見た目なのに(ほぼ)無音で移動することもできる。
アルトゥーラ スパイダーの発表会に登壇したマクラーレン日本支社代表の正木嘉宏さんによれば、マクラーレンは「スーパーカーにとってハイブリッドとはどうあるべきか」を長きにわたって考え続けてきたメーカーであるとのこと。パフォーマンスを重視するスーパーカーと重い部品(バッテリーとモーター)を積むハイブリッド車は一見すると相反する存在だが、マクラーレンでは強靭で軽い「カーボンファイバーモノコック」を開発することで両者の共存を成し遂げたとのことだ。
こちらが「アルトゥーラ」のクーペタイプ。撮影場所は4月13日オープン予定の「マクラーレン横浜」。お店は「Kアリーナ横浜」のすぐそばにある。これで正規販売拠点は7店舗目。クオリファイド販売拠点3店舗と合わせてマクラーレンの販売ネットワークは計10カ所となる
屋根は開くけど性能は落ちていない?
先にクーペが発売となっていたアルトゥーラに今回、スイッチひとつで屋根を開け閉めできるオープンカーのスパイダーが追加となった。電動の「リトラクタブル・ハードトップ」は、50km/hまでであれば走行中でも開閉可能。開け閉めに要する時間はわずか11秒とのことなので、急な雨でも安心だ。
屋根を収納するスペースがエンジンの上にあるため、どうしても冷却性能に不利な影響が出がちなスパイダーなのだが、その弱点を克服するため、「アルトゥーラ スパイダー」では空気の出入り口(エアインテーク、エアアウトレット)を設けてある
スパイダーは単純にクーペの屋根が開くようにしただけではなく、「すべてを見直して」作ったクルマだと正木さんは説明する。例えば動力性能ではエンジンの馬力が向上していて、モーターを含めたシステム総合出力はクーペの680PSから700PSにアップしている。
-
「アルトゥーラ スパイダー」のゼロヒャク加速(停止状態から100km/hまで加速するのに要する時間)は3.0秒でクーペタイプとほぼ変わらない。トランスミッションの改良(クラッチの油圧をあらかじめ高めておく技術を導入)によりシフトスピードも上がっていて、正木さんによると「電光石火のシフトチェンジ」を実現しているそうだ
屋根が開くので、クルマが発する音が直に耳に届くのもスパイダーの特徴。正木さんによればエンジンの排気音(エキゾーストノート)にも手を入れているそうで、エンジンの回転数が高まるにつれて高まる「ドラマティック」な音が楽しめるという。
アルトゥーラ スパイダーの価格は3,650万円。ちなみにクーペは3,300万円だ。スパイダーの日本での受注はすでに始まっており、すでに「多くの」(正木さん)注文が入っている。納車は2024年後半に始まる予定だ。
ちなみに、マクラーレンにはクーペとスパイダーをラインアップするクルマがほかにもあるが、日本での販売比率としてはスパイダーの方が若干、比率が高いそうだ。クーペに比べてスパイダーは、走り中心というよりも、普通にオンロードでも乗る「ライフスタイルニーズ」を持つユーザーが多いというのが正木さんの見立てだ。