給与明細に再発行義務はある?従業員が紛失したときの対応方法を解説

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従業員が給与明細を紛失したという理由で再発行を求めてきた場合、企業側としてどのように対応するのが正しいのでしょうか。この記事では、再発行の義務があるのかどうかを含め、給与明細の管理義務に関するアクシデントへの対応策と、電子化の必要性について解説します。

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企業側に給与明細の再発行義務はない

従業員から給与明細を「再発行してほしい」といわれた場合、企業に再発行の義務はあるのでしょうか。結論からいえば、再発行する義務はありません。 法律では、給与支払い日までに給与明細を交付するよう定められています。また、給与計算に必要な出勤簿や扶養、保険配偶者控除などの書類に関しては、一定期間は保管しておかなければなりません。

しかし、一度給与明細を発行した後は、給与明細を保管する必要性はないとされています。つまり、従業員からの申し出に対し、どのように対応するかは企業の方針に委ねられているのです。実際には給与明細の再発行に関して規定を設けている企業は少ないため、担当者がその時々で判断しているケースが多いようです。

義務ではないものの、できれば対応すべき

義務ではないものの、従業員から依頼を受ければ、給与明細を再発行する企業が大半です。給与明細そのものを保管していなくても、労働基準法で保管が義務付けられている給与台帳の記録を参照すれば、通常の給与明細と形式は違っても、同じ内容のものを代わりに発行することはできます。

法律的な観点のみならず、従業員の満足度向上のためにも、企業としてなるべく従業員の要望に応えられる仕組みを整えておくことが大切です。過去の給与明細の再発行を求められた際、紙ベースで管理していると、探すのに時間と手間がかかってしまいます。給与明細などのデータはシステムで管理するのがもっとも効率的で、人的ミスも減らせるメリットもあります。

従業員の勤務に関するデータは基本的に「5年分」保管すべき

給与明細の再発行には、従業員の過去の勤務データが必要です。賃金関係に加え、始業や就業の時刻を記録したタイムカードも保存しなければなりません。労働時間を記録した書類やデータの保管期間は、労働基準法において3年間と定められていましたが、2020年4月に行われた法改正により、現在では5年間に延長されています。

また、法改正前は曖昧だった起算日が「タイムカードを最後に記入した日」と明確化されたことにより、今まで以上にタイムカードを紛失しないための管理方法が重要です。書類を紙で保管している企業は、期間延長によって保管の手間や物理的なスペースもさらに必要です。これを機に、勤怠管理を紙のタイムカードから勤怠管理システムに移行することも検討すべきでしょう。

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給与明細の再発行を求められるシチュエーション例

給与明細の再発行を依頼されるシチュエーションは、従業員が紛失した場合だけではありません。よくある例をご紹介します。

給与明細書の紛失

従業員が「誤って捨ててしまった」などの管理不足によって給与明細を紛失したケースです。対応できることが望ましいものの、必ず対応しなければならないという責任はないため、切迫した事情がない場合は再発行を断る会社もあります。また、出勤簿の保管期間を超えている場合は無理に発行しなくても問題ありません。

住宅ローン・医療費控除などの手続

住宅ローン契約や医療費控除など、収入を証明するための添付書類として、複数の給与明細が必要になるケースもあります。また住宅ローン以外にも、車のローン契約や不動産購入、何らかの融資を受ける際にも必要です。従業員の生活に直結する問題なので、なるべく優先的に対応すべきです。収入証明としては源泉徴収票を提出するケースの方が一般的です。パートタイムやアルバイトで働いている方の場合は、より入手しやすい給与明細を利用する場合が大半です。

退職後の収入証明

退職者の場合、ハローワークでの職業訓練や雇用保険、再就職手当の支給などを受ける際の収入証明として給与明細を利用することがあります。ただし、退職証明書・離職票・源泉徴収票などで代用できることもあるため、どうしても給与明細でなければならないのか確認を取ってから、再発行の是非を決定するとよいでしょう。他にも、厚生年金の加入・未納期間に間違いがないかどうか確認が生じた場合でも、給与明細の厚生年金保険料控除額で簡単に確認できます。

家族からの依頼

よくあるのは従業員の配偶者が離婚を考えているケースです。養育費や財産分与、慰謝料といったお金の問題が生じている場合、本人が収入開示に応じないと、配偶者が給与明細の再発行を会社に要求してくることがあります。しかし、雇用契約は会社と本人の間で取り交わすものであり、たとえ家族であっても第三者への再発行義務はありません。基本的にはお断りし、相手方が弁護士を通じて給与明細の開示要求をしてきた場合は、法務コンサルタントなどに相談してください。

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給与明細の再発行は紙ベースの環境だと難しい?電子化の重要性

給与明細の管理方法は会社によってさまざまです。従来は紙ベースで期間ごとにまとめるアナログな方法が一般的でしたが、過去の給与明細をさかのぼって探さなければならないなど再発行にかかる工数が多く、非効率的です。そこで近年では、紙の給与明細をスキャンしてPDFファイルにしたり、Web給与明細を利用したりなど、データで管理する会社も増えてきました。

紙ベース管理の問題点

給与明細を紙ベースで管理している企業は依然として少なくありません。こうした企業の多くは、勤怠管理にタイムカードを利用しています。過去のタイムカードを年月や従業員ごとにまとめて管理しなければならず、経理や総務担当者に相当な負担がかかります。年々保管量も増えていくため、保管スペースの確保も大変です。

また、給与明細を発行するためには印刷用紙やインク代、各事業所への郵送コストも必要です。社員数が増えるほど作成・発行にかかる手間と時間は増えていくでしょう。さらに、保存が義務付けられている各種収入・雇用関係文書も紙媒体で管理するのは非効率的です。従業員が紛失するリスクもあり、再発行するとなると古いタイムカードの記録を探さなければなりません。このように、紙ベースでの給与明細管理はコスト的にも業務効率的にも多くの課題を抱えているのが実情です。

電子データ管理で経理業務を効率化

2007年の法改正以降、給与明細の電子配布が法律で認められるようになりました。給与明細を電子データで管理するというと、PDFファイルで保管するケースもありますが、近年はWeb給与明細システムの導入が進んでいます。Web給与明細システムとは、インターネット経由で給与明細を発行するシステムのことです。リモートワークを取り入れる企業も多い中、Web給与明細システムであればペーパーレス化によって業務コストを削減できます。電子媒体を利用すれば発行、検索工数を大幅に削減できるため、人件費の削減も期待できます。

従業員はスマホがあればいつでもどこでも給与明細を確認できるため、わざわざ給与明細だけ受け取りに出社する必要がなく、紛失することもないため再発行依頼が必要ありません。既存の給与計算ソフトとの連動も可能なため、社内の業務フローを変更することなく、経理業務を一層効率化できるでしょう。

まとめ

従業員が給与明細を紛失した場合、企業として再発行する義務はないものの、住宅ローンや雇用保険を申請する際の収入証明として必要になるケースもあるため、可能な限り対応する方が望ましいといえます。ただ、出勤簿等を紙ベースで管理していると、給与明細の再発行に多くの手間と時間を要します。

業務効率化のためにも、Web給与明細システムなどを導入し、給与明細の管理を電子化することを検討してみるとよいでしょう。導入するにあたっては複数の製品を比較検討するのがおすすめです。Web給与明細システムの各製品について詳しく知りたい場合は下記の記事も参考にしていただき、ぜひ資料請求してみてはいかがでしょうか。

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