抵当権付き不動産は売買可能?売却する条件や抵当権抹消の流れも紹介

住宅ローン

抵当権付きの不動産は売買できるのか、可能だとしたら、その条件についても知りたい方は多いのではないでしょうか。実際に、住宅ローンを払えなくなった際の担保である、抵当権付きの不動産を売却することはできます。しかしリスクが高いため、抵当権を抹消してからの売却が理想です。

この記事では、抵当権付き不動産を売却する条件や、抵当権抹消の流れも紹介します。相続した家に抵当権がついていた場合の注意点も取り上げましょう。抵当権付き不動産からの引っ越しを検討している方や、そもそも抵当権についてわからない方もぜひ参考にしてください。

そもそも抵当権とは?

抵当権は家を担保にする権利のことです。ここでは、抵当権とは何かを詳細にまとめました。

住宅ローンを払えなくなった際の担保

抵当権は住宅の購入でローンを組む際に、お金を貸した側が借金の担保として、不動産を確保しておく権利です。貸したお金を、優先的に返済してもらえるようにするためには登記が必要です。金融機関で住宅ローンを組む場合などには、抵当権設定の登記があります。

また、ローンの返済ができなくなったり返済が滞ったりした場合は、不動産を差し押さえされる可能性もあります。

行使されるとどうなるのか

住宅ローンを滞納して抵当権が行使された場合は、抵当権の付いた不動産が競売にかけられます。競売とは、裁判所の決定を元に物件の売却手続きが進むもので、強制的に自宅が売られてしまう制度です。

市場価格よりも30〜50%程度、物件価格が安くなる傾向にあり、ローンの残債も一括で支払う必要があります。抵当権が行使された場合は、住んでいた家から出て行く必要があることを認識しておきましょう。

根抵当権との違い

根抵当権は通常の抵当権とは違い、極度額の範囲内であれば、借入れと返済を何度でも繰り返すことが可能です。抵当権が設定された不動産の場合は、債務がなくなると抵当権もなくなります。一方、根抵当権であれば返済しても抹消しないで次の融資に使え、抵当権抹消の費用を抑えられます。

住宅ローンに根抵当権は不要?

根抵当権は登記の手間がかからず、経営者や会社が持っている不動産に設定されることが多い権利です。住宅ローンでは抵当権を設定することのほうが多く、根抵当権は住宅購入とはあまり関係ないと把握しておきましょう。

個人の不動産で根抵当権が設定されるのは、リバースモーゲージ利用時です。リバースモーゲージとは、住んでいる家を担保に融資を受けて、契約者が亡くなったら住宅を売却して返済する制度です。しかし基本的に、個人宅の場合は根抵当権を意識する必要はありません。

抵当権付きの不動産は売買可能なの?

抵当権付きの不動産は売買可能で、任意売却といったものや賃貸も実現できます。しかし、それほど購入希望者は多いとはいえません。ここでは、抵当権付きの不動産は売買できるのかについて、詳しく解説します。

抵当権付きでも売買可能

抵当権付きの不動産であっても自由に売買できます。「売ってはいけない」という決まりはないため、売買すること自体に問題はありません。しかし、基本的には抵当権を抹消してから売却します。

抵当権を抹消してからの売却が理想

抵当権付きの不動産の購入はリスクが大きく、抵当権を抹消してからの売却が理想です。なぜなら、売却した額が債務より少なかった場合は、いつ競売にかけられるかわからない物件となるため、購入されにくいからです。

そのためスムーズに不動産を売買したい場合は、次の章で紹介する抵当権抹消登記について、理解を深めておきましょう。

任意売却も可能

任意売却という方法を用いることで、抵当権付きの不動産を売却できます。任意売却とは金融機関と話し合い、抵当権を抹消してもらって第三者に売却できるものです。任意売却の必要要件やスケジュール、準備する書類は次の通りです。

必要要件
  • 金融機関の合意
  • 不動産が差し押さえられていない
  • 売却活動のための時間がある
  • 当該物件に市場価値がある など
スケジュール
  1. 債権者から督促
  2. 不動産会社へ相談
  3. 不動産の査定
  4. 任意売却の申請
  5. 売却活動スタート
  6. 購入者と売買契約締結
  7. 決済・引き渡し
準備する書類
  • 身分証明書
  • 印鑑
  • 権利証あるいは登記識別情報
  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 建築確認申請書
  • 固定資産税評価証明書 など
必要費用
  • 仲介手数料
  • 売買契約書の印紙代
  • 抵当権抹消登記費用
  • 引っ越し代

任意売却では、仲介売買と変わらない売却が可能で、競売よりも高く売れる可能性があり、引き渡しに必要な費用の融通がきくなどのメリットがあります。一方、売却が成立しないケースがあったり、ブラックリストに載るおそれがあったりすることはデメリットです。また債権者が任意売却を認めてくれない可能性も、否定できないでしょう。

こうした任意売却についての基礎知識は、こちらの記事を参考にしてください。

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賃貸も可能

任意売却できるだけではなく、賃貸物件にすることもできます。ほとんどの賃貸物件が抵当権付きであり、賃貸にすることは決して珍しいことではありません。一戸建てを賃貸物件にすることのメリットとデメリットは次の通りです。

メリット
  • 競合相手が多くない
  • 管理の手間が少ない
  • 立地に左右されにくい
  • 将来売却できる可能性あり
  • 初期費用が抑えられる など
デメリット
  • 空室リスクあり
  • リフォーム費用が高額になる可能性もある など

一戸建ての賃貸の場合は、マンションなどと比較すると投資効率がよくないため、最初にしっかりと収支計画を立てましょう。賃貸経営を成功させるコツは、できる限り初期費用を抑えて、相場以上の家賃収入をキープすることです。もっと詳しく一戸建ての賃貸について知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

一戸建ての賃貸経営のメリットとデメリット|成功のポイントも解説!
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抵当権抹消登記についての知識

不動産の売却を有利に進めるためには、抵当権抹消登記が必要です。この章では抵当権抹消登記の流れや、費用などについて詳しく紹介します。

抵当権抹消登記の流れ

抵当権抹消登記は、次の手順で行いましょう。

  1. 必要な書類を集める
  2. 管轄の法務局を調べて連絡する
  3. 抵当権抹消登記申請書類を用意する
  4. 管轄の法務局に書類を提出して完了

各項目の詳細を解説します。

必要書類を集める

抵当権抹消登記に必要な書類は次の通りです。

  • 住宅ローン完済を証明できる「弁済証書」
  • 法務局から発行される「登記済証もしくは登記識別情報」
  • 登記内容を証明できる「登記事項証明書」
  • 登記を委任するために必要な「委任状」

こうした書類は金融機関から交付されます。「委任状」や「弁済証書」は紛失しても再発行可能ですが、その他の書類に関しては再発行できないため、しっかりと保管しておきましょう。再発行はできないものの、本人確認情報の作成や事前通知制度によって手続きできますが、費用や時間を取られてしまうため、紛失しないことが大切です。

管轄の法務局を調べて連絡

抵当権抹消の手続きは、対象不動産が所在するエリアを管轄法務局で行います。どこの法務局でも手続き可能なわけではないため、事前に管轄の法務局を調べておきましょう。

法務局公式サイトから、住所や管轄エリアをすぐに見つけることができますが、北海道を除いて県ごとに法務局が1つあります。また、手続きの詳細が法務局ごとに異なるため、事前に抵当権抹消の手続きしたいことを、相談しておくことをおすすめします。

抵当権抹消登記申請書類を用意

続いて、法務局の抵当権抹消登記申請書類の記載例を参考にしながら、書類を作成します。記載する項目は、以下の通りです。

  • 登記の目的:「抵当権抹消登記」と書く
  • 原因:完済した日付
  • 抹消する登記:登記した日付と番号
  • 権利者情報:自分の情報
  • 金融機関の代表者情報:本店がある住所と金融機関名も必要
  • 添付書類:書類一覧を記載
  • 申請日:法務局にあてた申請日
  • 申請人の情報:委任状に記載した申請人情報
  • 登録免許税:支払う金額
  • 登記する不動産情報:別紙に不動産情報をまとめることも可能

抵当権抹消登記には委任状が必要ですが、下記の記事で詳しくその内容について触れています。

抵当権抹消登記には委任状が必要!書き方から注意点まで徹底解説
抵当権抹消登記の手続きには委任状が必要となりますが、その理由をご存知の方は少ないのではないでしょうか。本記事では委任状がなぜ必要なのか、またその書き方や入手方法などを分かりやすく解説します。手続きをスムーズに進める手引きにお役立てください!

管轄の法務局に書類を提出して完了

必要な書類を作成し終えたら、管轄の法務局に提出します。提出する方法は、窓口だけではなく郵送も可能です。ただし窓口へ提出すれば担当が確認してくれるため、不備をなくしやすいでしょう。

また印鑑を捺印する部分があるため、窓口に申請しに行く場合は印鑑を忘れないようにしてください。書類提出後に、法務局で書類の審査が行われ、登録完了証を受け取り手続きは完了です。

手続きは自分で行ってもプロに依頼しても可能

抵当権抹消の手続きは自分で行えるものですが、初めての作業で不安を覚えている場合は、司法書士に依頼しましょう。登記のプロフェッショナルである司法書士への依頼費用は、10,000~20,000円程度ですが、時間や手間を考えれば高い金額ではありません。

この費用を抑えたい場合は自身で対応しましょう。抵当権抹消登記を自分で行う方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

抵当権抹消は自分でできる?書類を揃えて法務局に申請しよう
この記事では、抵当権の抹消を専門家に依頼せずに自分で行う方法を紹介していきます。また、抵当権抹消で追加書類が必要になる場合や売却希望の物件が遺産である場合の手続きの進め方も解説するので、合わせて内容を確認しておきましょう。

抵当権は自動的には抹消されない

「住宅ローンを完済すれば勝手に抵当権は抹消される」と思いがちですが、決してそんなことはありません。自身や依頼した司法書士が手続きしなければ、抵当権は残り続けます。金融機関も手続きをしてくれるわけではないので、時間を見つけて手続きを進めておきましょう。

抵当権抹消には費用がかかるので注意

抵当権抹消の手続きは無料ではなく、以下のような費用がかかります。

  • 登録免許税:不動産1つで1,000円
  • 事前調査費用:不動産1つで355円
  • 登記簿謄本取得費用:不動産1つで約600円

そのほかにも郵送で提出する際の費用や、法務局へ出向く場合の交通費などが別途必要です。司法書士へ依頼した場合は、さらに10,000~20,000円程度上乗せされると認識しておきましょう。

相続した家に抵当権がついていた場合の注意点

相続した家に、抵当権がついていた場合の注意ポイントは以下の通りです。

  • 債務は法定相続人全員で等分負担
  • 抵当権付き不動産も相続税がかかる
  • 相続した不動産に抵当権が付いているか確認する
  • 相続放棄でも対処可能

こうした注意点を把握して、間違えないように対応しましょう。

債務は法定相続人全員で等分負担

抵当権付きの不動産を相続して債務が残っていた場合は、法定相続人全員で等分負担して返済することが一般的です。実際に相続しない相続人にも返済の義務がありますが、話し合いによって相続した人のみ、債務の返済義務を負わせることも可能です。

相続した家に抵当権がついていた場合は、誰が返済義務を負うのかについて、事前にしっかりと話し合っておきましょう。

抵当権付き不動産も相続税がかかる

抵当権付きの不動産は、借金や未払いの税金などと同じように、消極財産とみなされます。マイナスの財産である消極財産も相続税の課税対象で、他の不動産と同じ評価方法によって不動産評価額を算出します。

建物・土地それぞれの評価額を算出し、他の財産と合算することで相続税の計算が可能です。建物の相続税評価額は固定資産税評価額になるため、固定資産税納税通知書をチェックするだけです。土地に関しては、路線価方式と倍率方式、いずれかの方法によって計算します。

また相続税の支払いは、法定相続人の人数によって基礎控除が異なり、その計算式は以下の通りです。

基礎控除=3,000万円 +(法定相続人の数×600万円)
上記のように、法定相続人の人数が増えるほど基礎控除額は大きくなります。

相続した不動産に抵当権が付いているか確認を

相続した不動産に、抵当権が付いているか確認するためには、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して、乙区の欄をチェックしましょう。乙区欄は、所有権以外の権利について記載されている部分のため、抵当権の有無はここを確認するだけでわかります。その他の部分である表題部には不動産の状況、甲区欄には所有権の権利に関して記載されています。

登記簿謄本は、法務局に行って窓口や端末で取得できるほか「登記・供託オンライン申請システム」に登録すれば、オンラインでの申請も可能です。法務局の窓口で申請を行うよりも、オンラインのほうが発行手数料を安く抑えられます。法務省から無償提供されている「申請用総合ソフト」をダウンロードすれば、登記事項証明書の取得だけでなく、さまざまな登記にも対応できます。

さらにオンラインでの受付時間は、月~金曜日の8:30~21:00となっており、夜に申請することも可能です。即日で証明書を受け取りたい方は、管轄の登記所か最寄りの登記所に行ってください。また法務局に通わずに、郵送での請求にも対応しているので、自分のやりやすい方法で登記簿謄本を取得し、抵当権の有無をチェックしておきましょう。

相続放棄でも対処可能

抵当権付き不動産の債務により、相続資産がマイナスになる場合は、相続放棄することをおすすめします。相続放棄は、始めから相続人ではなかったことになり、すべての財産・債務を承継しない制度です。抵当権のついた不動産と、ローンだけを相続放棄できるわけではありませんが、将来的な負担が大きい場合は有効な方法といえるでしょう。

相続放棄に必要な手続きは以下の通りです。

  1. 相続放棄申請書の作成
  2. 必要書類を集める
  3. 家庭裁判所へ相続放棄の申し立て
  4. 送付される照会書へ記入して返信
  5. 相続放棄申述受理通知書が届く

なお相続放棄を行う前に財産を処分したり、タイムリミットを過ぎてしまったりした場合は、相続放棄が認められなくなる可能性もあるので注意しましょう。

まとめ

抵当権は住宅ローンを払えなくなった際の担保で、行使された場合は不動産が競売にかけられます。そのため、抵当権付きの不動産は売買可能なものの、リスクが大きいため、抵当権を抹消してからの売却が理想です。抵当権付きの不動産を何とかしたい場合は、金融機関と話し合って抵当権を抹消してもらい、第三者に売却できる「任意売却」などの手法も検討しておきましょう。

不動産の売却を有利に進めるためには、抵当権抹消登記が必要です。抵当権は自動的には抹消されず、金融機関も対応してくれません。その手続きは自身で行えますが、司法書士に依頼することも可能です。その際には費用が度かかりますが、忙しい人や初めての登記で不安を覚えている人は、すべて頼んでしまいましょう。抵当権付き物件の売買の際は、プロの知識を借りてスムーズに取引することをおすすめします。

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