企業広報責任者を経て、2015年に独立した志賀祥子さん。働く女性を応援する広報ブランディング・女性活躍支援企業「MaVie」を創業し、誰もが諦めることなく"らしさ"を追求・確立できる社会を目指してチャレンジしています。

本連載は、マイナビニュース女性会員から持ち寄った"ワークライフバランスの悩み"について、起業家兼子育てワーカー志賀祥子さんと一緒に考えていくお悩み解決企画。

  • 20代 既婚女性「育休からの復帰前にやっておくべきこととは?

Q.4月に育休から復帰予定ですが、やっていけるのか不安です。今からやっておくべきことはありますか? (20代・既婚)

育休復帰が近づき、ワクワクとともに不安を抱えるママも多い時期ですよね。実は、育休中にキャリアプランについて考えている方や、今後のキャリアチェンジについて悩まれている方はとても多いんです。

私は働く女性向けにキャリアデザインの講演をすることも多いのですが、参加者の中で子どもを産んだ女性の約99%が、産後に「キャリア」という壁にぶつかっています。遅かれ早かれの問題で、今の日本社会で子どもを産む以上ここにぶつからない人はいないのではないでしょうか。

私自身の場合は、たまたま周囲の先輩たちを見ながら先を見据えることができたので、結婚後に産後を見据えたキャリアを計画的に構築することができました。

女性の産後のキャリアについては、男女ともに「子どもを持ったら仕事はセーブするもの」、「第一線で働けなくなるもの」と思っている方も少なくありません。実際に私も、結婚当初はそんなことを思っていました。しかし、自分が当事者になってみて感じたのは、産後のキャリアが始まるということは、キャリアがストップしたりスローダウンしたりするのではなく、新しいキャリアのスタートを切るときなのだということです。

セカンドキャリアという言葉を聞いたことがあるでしょうか。もしかすれば、「現役から引退すること」や「シニアの第二の人生」というようなイメージがあるかもしれません。しかし先ほど書いたように、私は「女性のセカンドキャリアは、産後始まっている」と思うのです。

産後の復帰はセカンドキャリアのスタート

セカンドキャリアのスタートというのは、現役引退という意味ではありません。「子育てと仕事の両輪」で自分のキャリアを柔軟に作っていくための、新たなスタートなのです。

子どものいる生活というのは、家事に育児に仕事に……と日々マルチタスクをこなす必要がありますよね。常に先回りをしてタスクを終えて、スケジュールや家庭運営を管理する母親のスキルは、ビジネスにも活かせることが多いです。ですので、不安になったりすることもあると思いますが、むしろプラスに捉えて育休復帰をスムーズに迎えてほしいなと思います。

もちろんその人の価値観によって、子どもを産んだら家庭優先、仕事はのんびりペースに切り替える方もいらっしゃると思います。ですが、個人的には産後始まる「女性のセカンドキャリア」にワクワクする! という女性を増やしたいと思っています。

そこで、産後のキャリアへの不安を払拭し、セカンドキャリアを楽しむために育休復帰中に行ってほしい3つのステップをご紹介します。

【1】目先の「復帰後」だけでなく、子どもの成長とともにどんなキャリア・働き方、またどんな家庭を築いていきたいのかを考える
【2】そのために今できるベストを考え、復帰後の生活スタイルを想定してみる
【3】可視化した【1】と【2】を夫婦で共有して、夫婦でどんな家庭にしていくのか、復帰後の日々はどう連携するのかを話し合う

こちらは、私が運営するコーチングサービス「allez!」の「プレママ・育休復帰コース」で必ず取り入れる3ステップとなっています。

復帰後に何が課題になるのか思い浮かず、具体的な生活がイメージできないなど、難しいこともあるかと思います。私自身も実際に出産するまで想像できなかったことばかりでした。

身の回りや会社に先輩ママがいれば話を聞いてみるのも良いですし、もし話せる人がいない場合は、働くママたちが集まるコミュニティに参加してナレッジシェアをしてもらうのも良いでしょう。さらに今流行りのClubhouseでも、ママたちのトークルームが数多く開催されています。きっと同じ悩みを抱えている方、経験した方は必ずいます。

私の運営するコミュニティでは、プレママが先輩ママに「今やっておくべきこと」を質問をして、働くママたちのナレッジシェアが活発に行われています。 前述の3ステップを考える上で、特に大切なことは「1人で悩まないこと」です。自分自身がどんな課題に向き合うことになるのか、夫婦として、どんなふうに話し合いをしていけばいいのか、わからないことは1人で考えすぎず、どんどん先輩ママたちの知恵を借りてしまいましょう。

コロナ禍の育休は、孤独を感じやすく不安も多いと思います。そんなときこそオンラインで繫がれるコミュニティやプロのサービスを利用するのもひとつ。不安をなるべく払拭して、復帰に向けてワクワクした日々を過ごすことができるよう願っています。