近年の東京都内は地価が上昇していますが、近郊の千葉県も同じ傾向が見られます。 千葉県の中でも特に高い地価上昇率を記録しているのは、人口増加で有名な流山市などです。

今回は国土交通省が2024年に発表した地価公示の情報から、千葉県・住宅地の地価上昇率を駅別に分析。地価上昇の背景についても解説します。

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千葉県・住宅地の地価上昇率ランキングトップ20(2024年版)

千葉県の住宅地において、2024年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「流山おおたかの森」(流山市おおたかの森南1丁目9番16)です。

2位と3位には「平和台」、5位と6位には「流山」、7位には「南行徳」がランクインしました。

※鉤括弧内は住所地から筆者が判断し最寄り駅を記載

流山市が上位を占める

2024年の地価上昇率トップ20で、1位~6位を占めているのが流山市です。流山市は人口増加率が2016年から6年連続で全国トップとなり、合計特殊出生率も全国平均より高くなっています。人が集まることで土地・住宅の需要が増え、地価上昇に繋がっていることが伺えます。

流山市の人口が増加している背景として、以下が挙げられます。

  • 2005年につくばエクスプレスが開通して周辺の宅地開発も進んだ
  • 自治体が子育て支援策の充実を図った
  • 地価の高い東京から比較的安い千葉県の北西部や西部へ人口が流入している

ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。

なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。

流山おおたかの森

首位の流山おおたかの森の地価上昇率は17.2%で、千葉県内でトップを記録しました。鑑定評価によると、需要者は、つくばエクスプレス「流山おおたかの森」駅勢圏にて各種の利便性や住環境の良好な土地等を求める購入層であり、流山市及び周辺市の賃貸居住者が中心であるが、都心への接近性等から広域的な需要も見込める。」とあります。

駅から徒歩圏内の住宅地で、多様な大型商業施設の進出や知名度の向上もあり、地価の上昇が継続しています。

平和台

2位の平和台は、16.3%の地価上昇率を記録しました。鑑定評価書には「同一需給圏は、流山市内の流鉄流山線及びつくばエクスプレス線沿線に所在する低層住宅を中心とする住宅地域の存する圏域である。需要者の中心は、流山市内及び隣接市等からの転入者で、30~40才代の一次取得層が中心である。」と表記されています。

中規模の戸建住宅が並ぶ既存の住宅地であり、底堅い宅地需要が認められることから、今後も地価は堅調に推移するものと予測されています。

南行徳

7位以下で多くランクインしているのが市川市で、こちらの南行徳(市川市欠真間1-9-20)もその1つです。東西線の南行徳駅や行徳駅から徒歩圏内のエリアで、東京都心部に勤務する高額所得者層が物件の一次取得者や二次取得者になると想定されています。

鑑定評価書には「既成の住宅地域として成熟しており、長期的には土地の細分化が進むものと予測される。物価上昇及び金利の行方等の不透明感はあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響が薄れ、地価水準は上昇傾向にある。」と表記されています。