近年の東京都内は地価が上昇していますが、神奈川県も同じ傾向が見られます。神奈川の中でも特に高い地価上昇率を記録しているのは、どのエリアなのでしょうか? 今回は国土交通省が2024年に発表した地価公示の情報を基に、神奈川県・住宅地の地価上昇率ランキングのトップ20を紹介します。

  • 写真はJR東海道線の辻堂駅

■神奈川県・住宅地の地価上昇率ランキングトップ20(2024年版)

神奈川県の住宅地において、2024年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「西谷」(横浜市保土ケ谷区西谷3丁目1127番26)でした。2位は「辻堂」、3位は「鎌倉高校前」です。

※鉤括弧内は住所地から筆者が判断し最寄り駅を記載

■東急線・相鉄線の相互直通運転も地価上昇につながった

トップ20全体を見ると、横浜市西区と港北区・茅ヶ崎市・藤沢市・大和市が多くランクインしています。2023年の相鉄・東急の相互直通運転の開始により、横浜や東京都心へさらにアクセスしやすくなったことで需要が拡大した地域も見られます。

ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。

なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。

西谷

首位の西谷(横浜市保土ケ谷区)の地価上昇率は13%を記録しました。鑑定評価書には「近隣地域は、住宅、共同住宅、店舗兼住宅が混在する住宅地域で、駅至近のため希少性が高い。」とあります。

相鉄と東急の相互運転の開始によって、沿線外からの転入も見られます。

辻堂

2位にランクインした辻堂(茅ヶ崎市)の地価上昇率は12.9%です。JR東海道線の辻堂駅から徒歩圏内で、主な需要者は東京方面への通勤利便性を重視する会社員です。

鑑定評価書には「一般戸建住宅を中心に、共同住宅も見られる住宅地域として成熟しており、今後もほぼ現状を維持して行くものと予測される。」とあります。

鎌倉高校前

3位の鎌倉高校前(鎌倉市)は、駅の踏切がアニメ「スラムダンク」に登場することでも有名な地域です。地価上昇率は10%を記録しました。

鑑定評価書には「需要者の中心は鎌倉市及び周辺市在住の一次取得者等であるが、都内等からの転入も見られる。」とあります。

大和

6位に入ったのは大和(大和市)で、地価上昇率は10%です。鑑定評価書には「東横・相鉄直通線の開通後需要が急拡大。地価水準は強含みをベースに、経済情勢等に左右されながら推移するものと見込まれる。」と表記されています。

需要者は大和市や隣接地域の居住者が中心ですが、相鉄本線大和駅も利用できることから、都内や横浜への通勤者の需要も見込まれています。

湘南台

7位の湘南台(藤沢市)の地価上昇率は9,5%です。鑑定評価書には「需要の中心は市内居住者であるが、タ ーミナル駅としての交通利便性を好む周辺地域からの転入者も多い。」とあります。

区画整然とした住宅地域で購入需要は高く、相鉄・東急の乗り入れ後は都心への利便性も向上していることから、地価も上昇すると予測されています。