米Mozillaは、4月1日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 137」をリリースした。Firefox 137は、いつも通りFirefox 136から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 136では、2025年3月11日にマイナーバージョンアップの136.0.1が、2025年3月18日にマイナーバージョンアップの136.0.2が、2025年3月25日にマイナーバージョンアップの136.0.3が、2025年3月27日にマイナーバージョンアップの136.0.4がリリースされている。136.0.1では、以下の修正が行われた。

  • CookieStore APIの使用時に、Cookieサイズの制限により WebサイトのCookie管理に問題が発生する。この問題により、ログインやその他の状態関連の問題が発生する
  • 新しいウィンドウで[Ctrl]+[L]を押してもアドレスバーにフォーカスが移動しない問題の修正

136.0.2では、以下の修正が行われた。

  • 以前のバージョンで「履歴」や「サイト設定」がシャットダウン時にクリアされるように設定されていた状態でFirefox 136にアップデートすると、「Cookieとサイトデータ」や「一時キャッシュされたファイルとページ」が予期せず有効になってしまう問題の修正。すでにFirefox 136を使用している影響があった場合は、[プライバシーとセキュリティ]でこれらの設定を無効にすることが可能
  • 予期しない状況でプライマリパスワードプロンプトが表示される問題の修正
  • 暗い背景でのラジオボタンの視認性の問題の修正
  • 画面がロックされている、もしくは、ラップトップが閉じられているときにWindows版でCPU使用率が高くなる問題の修正

136.0.3では、以下の修正が行われた。

  • 日付フォーマットの速度の改善により、TikTokでの応答性が大幅に向上

136.0.4では、以下のセキュリティ修正が行われた。

  • 侵害された子プロセスにより、親プロセスが意図せずハンドルを返し、サンドボックスエスケープが発生する可能性

深刻度は最も高い「critical」である。そのため、緊急にアップデートが行われた。今回は、136.0.4からのアップデートとなる。

Firefox 137のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 図1 Firefox 137へのアップデート

    図1 Firefox 137へのアップデート

アップデート後のFirefox 137は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン137にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 137をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 137のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 137の新機能

続いて、新機能であるが、以下のとおりである。

  • タブグループのロールアウトがスタート。結果、関連するタブをグループ化することで、少ない労力で高い効率と整理された状態を維持できる。グループを作成する簡単な方法の1つは、タブを別のタブにドラッグし、ハイライトが表示されるまで一時停止してからドロップしてグループを作成する。グループには名前を付けたり、色分けしたりすることができ、つねに保存される。グループは閉じて後で再度開くことが可能
  • 図5 タブグループ

この新機能はプログレッシブロールアウトで、環境によっては正しく動作しないこともある。リリースノートによると、以下の機能が実装された。

  • 統合検索ボタン:アドレスバーに新しく追加された、アクセスしやすいボタンにより、検索エンジンと検索モードを簡単に切り替えることができる。この機能により、モバイルFirefoxと同様のシンプルさがデスクトップ環境でも得られる
  • 図6 統合検索ボタン

  • 検索用語の永続性:アドレスバーで検索を絞り込むと、元の用語が保持されるので、クエリを調整して探しているものをより正確に見つけやすくなる
  • セカンダリアクションボタン:一般的なFirefox機能の提供
  • コンテキスト検索モード:検索機能のあるページにいるかどうかを検出し、アドレス バーからページエンジンを使用して直接検索するオプションを提供。このオプションを少なくとも2回使用すると、検索エンジンをFirefoxに追加することを提案する
  • コンテキスト検索エンジンオプション: コンテキスト検索モードオプションを少なくとも2回使用すると、Firefoxは検索エンジンをFirefoxに追加することを提案し、つねに使用可能に
  • 直感的な検索キーワード:@bookmarks、@tabs、@history、@actionsといったキーワードを使用して、さまざまなアドレスバー検索モードにアクセス可能
  • 図7 アドレスバー検索モード

以上がタブグループに関する新機能であるが、今後の充実を期待したい。その他の新機能は以下のとおりである。

  • PDF内のすべてのリンクを識別し、ハイパーリンクに変換する
  • Linux版:HEVC再生をサポート
  • PDFに署名可能に。署名は保存して後で再利用可能
  • アドレスバーを計算機として使用可能に。数式を入力するだけで、アドレスバーのドロップダウンに結果が表示される。さらに、結果をクリックすると、クリップボードにコピーされる。
  • 図8 アドレスバーで計算機

タブグループについては、今後の操作性の向上が期待できるだろう。久々の大きな変更なので、ぜひ試してほしい。その一方で、今回のバージョンアップでもプログレッシブロールアウトとなっている新機能も多い。このあたりには、注意をしたいところだ。

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで8件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が3件、4段階で上から3番目の「Moderate」が4件、4段階で上から4番目の「Low」が1件となっている。「High」では、

  • XSLTProcessorによるるメモリ使用後解放
  • Firefox 137、Thunderbird 137、Firefox ESR 128.9、Thunderbird 128.9で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox 137、Thunderbird 137で修正されたメモリ安全性の問題

が対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。