「掟破り」だったマイクロソフトへの転職
――中島さまのキャリアをたどってみると、NTTから当時無名のマイクロソフトに転職するなど、多くの人が目をつけていないタイミングで伸びる企業を見出されているように思います。中島さまのキャリア観と投資の考え方に共通点はありますか?
NTTには民営化後の一期生として入社しましたが、入ってみたらソフトウェア開発は下請けに依頼していることがわかりました。当時は「ものづくりができない会社にいても楽しくない」と考えて、ソフトウェアづくりを通して、エンジニアとしての力が発揮できるマイクロソフトへの転職を決めました。
なぜマイクロソフトだったかというと、当時、日系の同業他社への転職はしづらい雰囲気があった中、外資であるマイクロソフトは「来てほしい」と言ってくれたからです。大学教授の推薦で入ったNTTをやめて外資のベンチャー企業に行くなんて、当時としては掟破りでした。マイクロソフトが伸びると思って入ったわけではありませんが、結果的にはメタトレンドに乗ったと言えるかもしれません。
――「掟破り」というのがキーワードかもしれません。常識や周囲の価値観に左右されず、ご自身の価値観に沿って、好きなこと・やりたいことを軸に判断・行動されてきたという点で、中島さまのキャリアと投資手法には共通点があるように思います。エンジニア、起業、会社の売却、ソフトウェアの開発、メルマガの執筆などさまざまな活動をされてきていますが、働く場所や仕事の内容を変えるときは、どのようなことを大切にしてこられましたか?
私たちが生きられる時間には限りがあります。だからこそ、どこかの会社に自分の貴重な数年間を提供するなら、ただ給与をもらうだけでは足りないんです。人生の時間を費やして働くなら、単に労働に対する報酬を得るだけではなく、社会に対してインパクトを与えたいと強く思ってきました。
「社会にインパクトを与えたい」「世の中に自分がいた形跡を残したい」という思いはいまも変わっていません。ブログがきっかけではじまったメルマガ執筆にしても、読者が新たな行動を起こすきっかけになるなど、読者の役に立てることが、私にとっていちばんのリターンです。
注目の業界はAIとロボット
――中島さまがいま感じていらっしゃる"時代の巨大なうねり"とは? 注目している業界や企業があれば教えてください。
大きなトレンドのひとつが、よく話題になるAIです。NVIDIAはすでに大化けしていますし、OpenAIは未上場ですが、上場したら株を買いたくなるでしょうね。もうひとつ注目しているのはロボットです。人型・動物型のロボットにAIを組み合わせることで、いままでのロボットよりもはるかに優秀で、人間にかわるような仕事ができるロボットが生まれていくと思います。
現状ではニッチから抜け出せていませんが、いずれはVR・ARの時代も来ると考えています。メタトレンド投資をするなら、10年は先を見たほうがいいでしょう。大風呂敷を広げる経営者の会社は株価の上下が激しいので、短期で成果を出そうとすると大やけどをする可能性がありますが、5年、10年株を持ち続けていれば、ノイズとして消えてしまいます。
――最後に、キャリアとプライベートの両面における今後の展望をお聞かせください。
近年は、メルマガの執筆に加えて、エンジニア、起業家、社会起業家をサポートする非営利のコミュニティ「シンギュラリティソサエティ」の運営も行っています。日本にも優秀なエンジニアはたくさんいるので、ハッカソンを主催して彼らに刺激を与えたり、起業を支援したりと、ユニークなエンジニアサポートの仕組みを確立したいです。
いろんな活動をしていますが、コードを書かない「評論家」にはなりたくありません。軸足はエンジニアに置いておきたいので、常に最先端のテクノロジーに接するためにも、シンギュラリティソサエティのエンジニアとともに、ものづくりを続けていきたいですね。
『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(1,870円/中島聡 著/徳間書店 刊)
堀江貴文さん激推し!!! 「株は情報が命。中島さんがいちばん信頼できる。黙ってこの本を読もう」Apple株90倍! NVIDIA株30倍! なぜ中島聡は2004年にApple株を買えたのか? 各界著名人から熱視線を送られる著者による、待望の投資指南書、ついに刊行! 次のNVIDIAは? 第2のTeslaは? 10倍株、100倍株はどうすれば見つかる? 伝説のプログラマーにして、いま最注目の投資家が明かす、負けない投資術! 〈テクニカル分析〉〈ファンダメンタルズ分析〉に次ぐ、新たな手法〈メタトレンド分析〉とは? 人気メルマガ「週刊 Life is beautiful」、まぐまぐ大賞2024・総合大賞1位獲得!