運用管理ツールは、社内に多くのITシステムを導入する企業にとって、欠かせないものになりつつあります。運用管理ツールを使うことで、各システムを集中管理し、問題の早期解決が可能です。本稿では、数多い運用管理ツールの中でもおすすめの製品の特徴を比較しながら紹介します。
統合運用管理ツールとは
統合運用管理ツールとは、社内のIT環境(ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・セキュリティなど)を集中管理するためのITシステムの一種です。
運用管理ツールの基本機能はジョブ管理です。ジョブ管理では、各システムのアプリケーション基盤やネットワーク機器などを監視。ジョブの実行や障害などの状況をイベントとしてキャッチし、指定されたアクションを自動実行します。IT資産管理やセキュリティ管理なども、運用管理ツールに含まれることがあります。
統合運用管理ツール・サービスのおすすめ12製品徹底比較!
「SmartStageサービスデスク」
株式会社クレオ
- 参考価格:【初期費用】100,000円〜【月額料金】100,000円〜
- 提供形態:クラウド/オンプレミス
- 無料トライアル:あり
「SmartStageサービスデスクは、独立系ITベンダーであるクレオが開発したITサービス管理ツールです。日本ならではのITシステム運用管理業務に即座にフィットさせることができ、ITILという常に変化するフレームワークも柔軟に取り入れ、ビジネスを成功に導くソリューションとして評価されています。
「インシデント管理」「問題管理」「変更管理」「リリース管理」といった管理プロセスはもちろん、「ナレッジ管理」「構成管理」「IT資産管理」などのデータベース機能も充実しています。
最大の特徴は、パッケージ製品のような導入のし易さと、カスタマイズ製品のような柔軟性を併せ持ち、管理・設定画面を利用したフルカスタマイズが可能な点。短期間で独自で自社の業務にフィットした管理プロセスやデータベースを構築することができます。
「arGuss」
株式会社イーネットソリューションズ
- 参考価格:【初期費用】0円〜【月額料金】9,500円~
- 提供形態:クラウド
- 無料トライアル:なし
「arGuss」は、検知から予防へ一歩進んだ運用監視サービスです。機能別の多彩なメニューを用意しており、顧客ごとの個別運用にも柔軟に対応します。ファイアーウォールなど機器レンタルも含めたトータルな運用が可能です。自社のIT資産を総合的に把握でき、サーバー停止等によりリスクを抑えることができます。
同社はデータセンターサービスにおいて21年以上の運用実績があり、これまで1200社を超える企業で利用されています。様々な企業の課題解決で得た運用ノウハウを活かした対応力も強みです。
料金はライトプラン・スタンダードプラン・プレミアプランの3つのプランを用意。オプション機能も豊富に用意されています。
「Workato(ワーカート)」
リックソフト株式会社
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:クラウド
- 無料トライアル:あり
「Workato(ワーカート)」は、オンプレミス環境、クラウド環境を含んだ400を超える連携アプリケーションをプログラミングすることなく統合できるiPaaSツールです。
オンプレミス環境、クラウド環境、IoTにおけるセンサーや測定器のアプリケーションを含めた350種類以上のアプリケーションを接続させ、条件分岐やエラー処理、アクションを定義することでビジネスプロセスの自動化と統合を実現します。プログラミングのスキルが不要なので誰でも簡単に統合と自動化を行えるのが強みです。
また、SalesforceSAP、Jira Software、Slack、Microsoft Teamsなど400種類以上のアプリケーションと接続するコネクタと22万以上のレシピが存在。業務に合わせたカスタマイズが可能です。
「MCore」
住友電工情報システム株式会社
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:オンプレミス
- 無料トライアル:-
「MCore(R)」は、ITに関する資産管理からセキュリティ管理までをトータルでサポートするシステムです。
「IT資産の棚卸」「不正利用対策」「情報漏洩対策」「内部統制」など、IT担当者の抱える課題は尽きません。本製品は、あらゆる資産を素早く「見える化」。最適なIT統制環境を実現するベストな管理ソリューションを提供します。
特徴は、住友電工グループの業務PC約85,000台を管理するために、その全てを自社内で開発した製品であること。言い替えるなら『ユーザ自ら使うために作った』システムです。「現場の人間が使う気になれること」「運用がスムーズにまわること」にこだわって開発されています。また、外部システムとの連携に利用可能なデータ連携ツール(手動/自動)を標準で用意。導入後アフターケアももちろん、業務運用を重視したシームレスな管理システムを構築できます。
「OSS 障害解析・サポートサービス: VAQuest」
VA Linux Systems Japan株式会社
- 参考価格:【初期費用】なし【月額料金】500,000円~
- 提供形態:サービス/その他
- 無料トライアル:-
- 対応機能:OSSの障害解析に特化(障害の原因究明・性能チューニングなど)
「VAQuest」は、Linuxカーネルや制御系OS、IaaS基盤、コンテナ技術を中心に、OSSを活用したシステムに発生する障害をソースコードやメモリダンプの解析によって原因を特定し、根本からの解決方法を提案するOSS障害解析サポートサービスです。
ミッションクリティカルなシステムが抱える課題について、適切な運用とサポートがあれば OSS のメリットを最大限に享受できます。本サービスの最大の強みは、OSS に対する高度な知識と技術力を備えている点。システムに何らかの障害が発生した場合には、OSS のソースコードから解析して迅速に原因を特定・修正することが可能です。
※本サービスでは、必ず有効な回答や解決策が得られることを保証するものではありません。
「JP1」
株式会社 日立製作所
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:パッケージソフト、オンプレミス、クラウド、SaaS
- 無料トライアル:あり
「JP1」は、複雑化したシステムを人に依存せず運用するための統合運用管理ツール群です。自社に必要な機能を持つ製品を組み合わせて使うため、 自社に最適な構成を選べます。
システムの監視・自動でのジョブ管理やバックアップ管理など、IT運用自動化に必要な機能を網羅。 さまざまなプラットフォームや環境などに対応しています。
「日立サポート360」の契約により、同一バージョンで最低10年間の保証を受けられる 点もおすすめポイントです。
「Senju/EN」
株式会社野村総合研究所
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:パッケージソフト、SaaS
- 無料トライアル:別途問い合わせ
「Senju/EN」は、3種類のエンジンにより、既存のシステム管理ツールを変更せず、メッセージを統合管理 するツールです。すでにシステム管理ツールを多数導入しているが統合管理できていないケースには、本製品が適しています。
Hubエンジンにより各システム管理ツールのメッセージを収集。Ruleエンジンで必要な情報のみをフィルタリング。Viewエンジンにより、必要な情報を分かりやすく表示します。
「InfoBarrier」
富士通株式会社
- 参考価格:サーバー1ライセンス380,000円、Plusクライアント1ライセンス16,800 円~
- 提供形態:オンプレミス
- 無料トライアル:あり(アンケートの後に使用可能)
「InfoBarrier」は、IT資産管理とセキュリティ強化機能に特化 した運用管理ツールです。IT資産管理では、ハード・ソフトだけでなくWindows更新パッチ適用状況やライセンスの状況、各種セキュリティ設定などを管理します。
セキュリティ強化機能としては、情報漏洩につながる危険な操作を制限し、操作ログを取得 するなどの機能を提供しています。例えば特定アプリケーションの起動制限やメニュー禁止(印刷など)、ファイルのコピー制限、ドライブの使用制限、データの暗号化などが可能です。
「統合運用管理ソリューション」
ベニックソリューション株式会社
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:クラウド、オンプレミス、SaaS
- 無料トライアル:別途問い合わせ
「統合運用管理ソリューション」は、 プラットフォームが混在した大規模な環境でも問題なくシステムの統合運用管理を実現するソリューションです。
監視システム導入サービスでは、IBM社の「Tivoli」シリーズを導入して可用性管理を実施。ジョブ管理システム導入サービスでは、「IBM Workload Scheduler」を導入してジョブ管理を行います。
セキュリティ管理機能は、統合認証・ID管理基盤導入・認証/シングルサインオン基盤導入・特権アクセス管理の4サービスを提供。特に 認証周りのセキュリティを強化できます。
「X-MON」
株式会社エクストランス
- 参考価格:ソフトウェア版 10ノード版 98,000円~
- 提供形態:クラウド、パッケージソフト、SaaS、アプライアンス
- 無料トライアル:あり
「X-MON」は、サーバーやネットワーク機器を監視し、障害検知の通知や復旧が可能 な統合運用管理ツールです。提供形態にバリエーションがあり、アプライアンス機器でも導入できる点が大きな特徴です。
ジョブを直接管理せず、ITシステムの構成要素であるサーバーやネットワーク機器などハードウェアの可用性管理・構成管理を行います。 ジョブ管理を行う運用管理ツールと併用することで、より多角的な運用管理が可能です。
「ロボシュタイン」
株式会社コムスクエア
- 参考価格:初期費用600,000円、基本料金 50,000円/月、他にノードの実行回数×単価が必要
- 提供形態:SaaS、クラウド
- 無料トライアル:別途問い合わせ
「ロボシュタイン」は、IT運用を自動化できる ツールで、主にジョブ実行を管理できます。本製品ではジョブのことを「ノード」と表現し、 月額料金以外に、ノードの実行回数により従量制で課金される点が大きな特徴です。
フローエディターで実行するノードの順番などを設計し、フロー管理画面でノードの設定状況と稼働履歴を確認。ダッシュボードでは、 自動化による効率を可視化します。クラウドでの提供ですが、オンプレミス側ノードの自動化も可能です。
「SAMS」
アイビーシー株式会社
- 参考価格:別途問い合わせ
- 提供形態:サービス、クラウド
- 無料トライアル:別途問い合わせ
「SAMS」は、24時間365日の監視体制により障害を迅速に検知し、障害復旧支援 を行うソリューションサービスです。自社では実現が難しい、手厚い監視体制と障害復旧サポートが受けられ、自社ITシステムの安定稼働を実現できます。
障害発生時は、1次対応・2次対応まで行われるため、安心して根本的な対応に取り組めます。 性能監視および性能レポートも作成するため、性能劣化の兆候を事前に検知し、トラブルを回避することも可能です。
「運用管理・監視サービス for Cloud」
株式会社エクストランス
- 参考価格:基本サービス月額費用30,000円など
- 提供形態:クラウド
- 無料トライアル:別途問い合わせ
「運用管理・監視サービス for Cloud」は、OSやネットワーク、ミドルウェアの運用監視を代行 するソリューションサービスです。セキュリティパッチの適用・オプションでサーバーのセキュリティ対策や、データ・ログのバックアップなどの保守運用作業を依頼できます。
運用監視は24時間365日体制 で、一定の資格を持つエンジニアが対応。質の高い運用監視サービスを提供します。
統合運用管理ツールの基本的な6機能
統合運用管理ツールが提供する機能のうち、基本的な6機能を紹介します。製品によって提供機能には大きな違いがあるため、自社の導入目的に合った機能を確認し、その機能を提供している製品を選びましょう。
1、ジョブ管理
ジョブ管理の「ジョブ」とは、ITシステム稼働中に動作するオンライン処理や、オンライン処理とは別に動作するバッチ処理などの「処理そのもの」です。ジョブ管理は、これらのジョブが正常に動作しているかの進捗確認や作業ログを確認し、ジョブの処理状態を管理します。
定型処理を自動化・スケジューリングできるジョブ管理機能なら、ジョブの実行順序を制御できます。例えば「データ移行ジョブ終了後、データに削除フラグを立てるジョブを実行する」「毎晩23時からデータのバックアップジョブを起動」などの制御も可能です。
ジョブが異常終了した場合は管理者に通知をして何らかの対応を求める、という仕組みにより、管理者は異常をより早く検知し、対応できます。
2、可用性管理
可用性管理とは、ITシステムを監視して、停止せず一定の水準で稼働し続けられるように管理する機能です。一般的には、SLA(サービス提供元から利用者に提示されるサービス品質)に定義されたサービス品質の維持を目標とします。
3、パフォーマンス(性能)管理
監視対象のITシステムの基本性能が一定水準を保っているかを監視・管理する機能です。システム導入時は十分な性能が出ていても、運用を続けていくうちに性能劣化を起こすケースがあります。性能劣化を起こしていることを検知することで、いち早い性能対策を実施できます。
4、構成管理
ITシステムは、ソフトウェアだけではなく、サーバーマシン・ネットワーク機器・電源などのハードウェアなどで構成されています。ITシステムに使われているソフトウェアは、ライセンス管理が必要です。
構成管理は、ITシステムを構成するハード・ソフトなどの構成要素のライフサイクルを管理する機能です。ハードウェアの故障やライセンスの期限切れなどを事前に予測して対応し、システムが滞りなく動作するようサポートします。
5、セキュリティ管理
PCの操作ログ監視やアクセス制限、ネットワーク制限など、ITシステム全体のセキュリティを管理する機能です。製品によって、どのようなセキュリティ管理を行うかは違いがあります。
6、IT資産管理
ITシステムに関連するIT資産(ハードウェア・ソフトウェア)を一元管理する機能です。ソフトウェアのライセンス管理や更新プログラム配布などができ、IT資産を最適化できます。
統合運用管理ツールを導入する5つのメリット
統合運用管理ツールを利用するメリットは以下の5点です。
1、ITシステム運用の一元化
統合運用管理ツールは、自社で運用しているITシステムの構成を可視化します。トラブルが発生した場合も、発生元システムの影響を受ける連携先がひと目で分かり、影響範囲を把握して、スムーズな対策が可能です。
2、運用管理の自動化
ITシステムの運用管理を人手で行っていると、導入システムが増大して複雑化するにつれ管理しきれなくなります。統合運用管理ツールは、運用管理の多くを自動化するため、業務効率を大幅に上げ、人的ミスも排除できます。
3、システムを365日監視可能
統合運用管理ツールは、システムを年中無休で監視可能です。問題が発生すると自動的に管理者へ連絡し、ある程度はツールが自動で対処することもできます。ツールで監視を行うことで、深夜に監視員を置く必要がなくなり、人件費を節約できます。
4、アプリケーションのパフォーマンス向上
統合運用管理ツールでシステム全体の稼働状況をチェックすることで、全体のボトルネックとなっている部分が把握しやすくなります。結果として効果的なサーバー・ネットワーク機器の再配置や増設を行い、アプリケーションのパフォーマンスを最適な形で向上することも可能です。
5、IT資産も一元管理可能
従業員数が増え、パソコンやモバイルデバイスなど管理対象のIT資産が増えると、資産管理も大変です。IT資産管理機能を持つ統合運用管理ツールなら、自動でIT資産情報を収集し、一元管理できるようになります。
統合運用管理ツールを選ぶ3つのポイント
統合運用管理ツールの比較検討時に確認したいポイントを3点紹介します。
1、自社に必要な機能が揃っているか
ツールの基本機能の中で、自社に必要な機能が揃っているかどうかを確認しましょう。セキュリティ管理やIT資産管理は、すでに導入しているシステムと機能的に重なる場合もあるので、事前に既存システムの精査も必要です。
2、提供形態はオンプレミス型かクラウド型か
統合運用管理ツールは、オンプレミス型とクラウド型どちらでも提供されています。低コストで、契約すればすぐに利用できるクラウド型は中小企業向きです。またマルチデバイスにも対応しやすい点は、クラウド型のメリットです。
オンプレミス型は高額ですが、必要な機能をカスタマイズしやすく、規模の大きな企業なら導入メリットも大きいでしょう。
3、管理対象システムのパッチ適用をしやすいか
管理対象システムのバージョンアップやセキュリティ問題発生時は、パッチ適用が必要です。IT資産管理機能の中で、自動的にセキュリティパッチの適用を進められる機能がある製品を選べると、情報システム部門の作業負荷を軽減できます。
例えば「JP1」では、資産・配布管理機能の中で、ネットワークへの負荷を軽減しつつ自動でパッチを配布・インストールする機能が提供されています。
まとめ
統合運用管理ツールやソリューションサービスを導入することで、自社のITシステム・インフラを安定稼働し、安心して企業活動を進められます。導入したシステムが増えてきて自社管理が難しくなってきたら、ぜひ導入を検討してみてください。
ご紹介した製品やサービスで気になるものがあれば、資料を入手してみましょう。