コロナ禍でヘッドセットの需要が高まるなか、「音」のよさにこだわったゲーミングヘッドセットも、リモートワークに役立つ製品として一定の評価が集まっている。今回、ロジクールがプロeスポーツ選手と開発した、プロ向けワイヤレスゲーミングヘッドセット「ロジクールG PRO X WIRELESS LIGHTSPEEDゲーミングヘッドセット」を試してみたところ、「ゲーム配信者(ストリーマー)にも向くと思うけど、在宅ワーカーにもヒットするかも?」という感想となったのでご紹介する。
無線で使えるプロ向けゲーミングヘッドセット
マウスやキーボード、ヘッドセットなど周辺機器でのリーディングカンパニーと言えばロジクールだろう。そのロジクールがゲーマー向けに「ロジクールG」というサブブランドを日本で立ち上げたのは2013年4月18日のこと。
ロジクールGは様々なゲーマー向け周辺機器を販売してきたが、近年はさらに「プロゲーマーの声を聞いた」というPROシリーズも展開している。2017年3月に発表された「ロジクール PRO テンキーレス メカニカル ゲーミング キーボード:G-PKB-001」が最初の製品(同時にFPS向け軽量マウスも発表)だ。
ヘッドセットは2018年8月にリリースされたが「ゲーミングヘッドセットなのにあまり光らない」のが特徴。マイク音質にこだわった「ロジクールG PRO X ゲーミングヘッドセット」(2019年8月発表)を経て、2020年8月27日に発売されたのが、PROシリーズ初のワイヤレスヘッドセット「ロジクールG PRO X WIRELESS LIGHTSPEEDゲーミングヘッドセット」(以下PRO X WIRELESSと略記)となる。
ロジクールGにもワイヤレスヘッドセットのラインナップが存在するが、従来製品には低遅延をうたう独自ワイヤレス接続技術「LIGHTSPEED」を名乗った製品がない。今回のPRO X WIRELESSは「ロジクールGの全部入りヘッドセット(ライティングを除く)」という位置づけになる。
ちなみに、「PRO」シリーズでない通常の「G」シリーズ製品「ロジクールG733 LIGHTSPEEDワイヤレスRGBゲーミングヘッドセット」が2020年8月26日に発表されており、一般向け製品にもLIGHTSPEED技術が使われるようだ。
光らなくて音もマイクも良好。しかもワイヤレス
コロナ禍の現在、筆者は「ロジクールG633S 7.1 LIGHTSYNCゲーミング ヘッドセット」(以下G633sと略記)というヘッドセットをアナログ有線環境で使用している。
これには3つの明確な理由「人の声がよく聞こえる」、「普通に音楽を聞いてもそれなりに音質がいい」+「各種オンライン発表会の録音のため(パソコンのアナログ出力にICレコーダーを接続している)」があるためだ。
このG633sはPro-G 50mmドライバを採用しており、従来の40mmのPro-Gドライバよりも(私の耳でもわかるぐらい)音質が良くなっている。普段利用でも音質面では問題ない上に今回はマイクが大幅に向上している。PRO X WIRELESSも同じPro-G 50mmドライバを使っており、普段使いの音質面では不満はない。
ロジクール製品は最近、メッシュ素材を使ったイヤーパッドから、密閉性に優れたレザー調のイヤーパッドに変更されている。PRO X WIRELESSにもレザー調のイヤーパッドが装着されているが、布素材のイヤーパッドも同梱しており、好みによって変更できる(ただし、従来ゲーミングヘッドホンに使っていたスポーツメッシュ素材と異なり、一般ヘッドホンの布素材に近い)。
一般的なヘッドホンではレザー調が普通で、好みで変更できるのはうれしい。レザー調の方が密閉度が高く、低音の響きが良い感じだ。筆者的にはスポーツメッシュ素材が好みだが、音質を重視したのだろう。クッションが低反発で密着度も高い。
プロゲーマーを相手にしている製品ゆえに、それこそ一日中装着しても問題ないというのは重要なポイントだ。G633s、PRO X WIRELESS共に丸一日つけっぱなしで作業をすることもあるが、特に重くて気になるという事もない。ワイヤレスゆえにケーブルで引っ張られる感覚もない。
フル充電で約20時間のロングバッテリー
PRO X WIRELESSの充電コネクタはUSB-C。フル充電すれば20時間利用できるので一般的には8時間労働後に2時間音楽を聞いても2日持つ計算だ。以前のワイヤレスモデル(2019年2月26日発売のG933s)はmicroUSB接続・ライトなしで12時間なので、大きく改善されている。
ワイヤレスで問題になりそうな遅延に関しては、実使用感としてアナログ入力と比較しても遅くなった感はなく、「ワイヤレスだから遅延がある」という常識からかけ離れている。この辺りはロジクールのワイヤレスゲーミング製品の強みだろう。無線の飛びに関しては割といい。どちらも公称屋内15mということだが、中2階にある自室から2Fのトイレに行っても音は途切れなかった。
なおPRO X WIRELESSにはLIGHTSPEEDの名を付けているので混信がない事を期待したが、ロジクールいわく「100台使っても大丈夫とは(試していないので)断言できない」との事。一方「(プロチームに提供して)ゲーミングハウスで複数人が使っても問題ない」というコメントを広報からいただいた。
マイクに関しては、確かにG633sと全然違う。PRO X WIRELESSはフレキシブルアームになっているのでマイク角度の自由度が高いが、ロジクールのマイク技術「BLUE VO!CE」を有効化しなくても音に深みがあるので、マイクそのものも違うようだ。
マイク性能に関して、ゲームプレイという点では声が明確に伝わるだけでよいが、配信となると配信者の声がどれだけキレイに聞こえるかが勝負になる。ちなみにPRO X WIRELESSには左エンクロージャーにMUTEスイッチが用意されているほか、必要がなければマイクを引き抜けば単なるヘッドホンとして利用できる。一方、G633sはエンクロージャーにマイクブームが収納でき、マイクを上げると自動ミュートになるメリットがある。