米Mozillaは3月7日(現地時間)、Webブラウザ「Firefox」安定版のバージョン52をリリースした。Webアプリの飛躍につながると期待されている新標準規格「WebAssembly」のサポートが追加された。

WebAssemblyはWebブラウザでの実行を想定したバイナリフォーマットで、Webアプリの高速化を進める上でasm.jsの次のステップになる。asm.jsの制約を克服し、ゲーム、画像・音声・映像の処理、VRやARといった用途において、ネイティブコードに近い処理速度を引き出せるようになると期待されている。2月末に、Chrome、Microsoft Edge、Firefox、WebKitなど、主要な4つのブラウザを代表するWebAssembly CGメンバーが揃って、WebAssembly APIのイニシャルデザインとバイナリ形式で合意に達した。それによってWebAssemblyのMVPが完了し、初期バージョンを組み込んだブラウザの提供に移れるようになった。Chromeも開発版でWebAssemblyをサポートし始めている。

Firefox 52では新機能として、Firefox Syncを使って開いているタブのURLを別のデバイスに送って開く機能が加わった。ほかにも、ダウンロードが失敗した時にツールバーに通知を表示したり、キャンセルと再開により大きなボタンを採用するなど、ダウンロードのユーザー体験が改善されている。

セキュリティ面では、HTTPSを使用していないページでユーザー名やパスワードの入力欄を選択した際に「この接続は安全ではありません」というメッセージが表示されるようになった。また、安全ではないHTTPサイトによる「secure」属性付きCookieの設定を禁止するStrict Secure Cookies仕様が実装されている。

なお、2017年3月から安定版でのWindows XPとWindows Vistaのサポートが終了し、Windows XP/Vistaのユーザーは自動的に延長サポート版 (ESR)へと移行される。また安定版でのFlashを除くNPAPI (Netscape Plugin API)プラグインのサポートも終了となった。法人向けの延長サポート版 (ESR)では 2018年中頃までサポートが継続する。