複数OSの同時稼働や3D立体視などを視野に

米Texas Instruments (TI)が7日 (米国時間)に、次世代のモバイルアプリケーションプラットフォーム「OMAP 5」を発表した。モバイルデバイスの消費電力の枠内でPCのようなパフォーマンスを発揮するモバイルデバイス、複数のOSの同時稼働など、「"モバイル"の概念を変えるプラットフォーム」になるという。今日のPCの役割も視野に入れているという点では、Microsoftが1月に開発を表明したARM版Windowsともリンクするモバイルプラットフォームといえる。

OMAP 5プロセッサは、最先端のARMアーキテクチャである「Cortex-A15 MPCore」を2つ搭載する。同コアは同じ動作クロックで、Cortex-A9を50%上回るパフォーマンスを引き出す。28nmルールで製造され、動作クロックは最大2GHz。最大8GBのダイナミックメモリー・アクセスとハードウエアベースの仮想化をサポートする。加えてOMAP 5アーキテクチャは、ビデオ、イメージング、ビジョン、DSP、3Dグラフィックス、2Dグラフィックス、ディスプレイ、セキュリティなどの専用エンジンを搭載。さらにCortex-M14プロセッサを2つ備える。これはリアルタイム処理からCortex-A15を開放し、デバイスのレスポンスを向上させる。OMAP 4プラットフォームとの比較で、OMAP 5は平均消費電力を60%近く引き下げながら、処理性能で最大3倍、3Dグラフィックス性能で最大5倍の向上が見込めるという。

ナチュラルユーザーインターフェイス (NUI)を幅広くサポートするのもOMAP 5の特徴だ。最大4台のカメラで1080p品質のS3Dビデオの録画および再生が可能。近距離・遠距離、フルボディまたはマルチボディのインタラクティブジェスチャーの処理にプロセッサが対応する。またDLP Picoプロジェクタとカメラを用いて、投影したイメージをタッチ&ドラッグできる双方向プロジェクションを実現する。

OMAP 5搭載デバイスのコンセプトビデオでは、ハンドヘルド1台で今日のモバイルとデスクトップコンピューティングをこなせる未来が語られている。外出先ではモバイルデバイス、オフィスや自宅でドックに設置すればPCのように機能し、状況に応じて適切なOSに切り替わる。Xbox 360のKinectのように身振り手振りのジェスチャーでも操作でき、またワイアレスディスプレイ技術やPicoプロジェクタを用いて様々な方法でコンテンツを表示できる。

OMAP 5は2011年後半にサンプリング、2012年後半に搭載デバイスが登場する見通しだ。米PC Magazineに対して、TIのBrian Carlson氏とRemi El-Ouazzane氏は、同社のターゲットがAndroid、Chrome OS、Windowsであると語っている。