宇宙、それは神秘で未知な世界です。しかし、一方で何年も先の日食が秒単位で予測できたり、人間の一生を遙かに超える天体の寿命を推定できたりします。

ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介する恒例の「宇宙どうでしょう」。2022年1~2月の分をば。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ネットやアプリも年々便利になっています。一方、紙の本もまだ捨てがたい一覧性と情報量があり、ここでは書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいから月替わりのカレンダータイプ、そしてDVD・ソフトつきムックで3000円くらいまでですね。それぞれの特徴は、この記事の最後にまとめておきましたので、参考にしてくださいませー。

あと、今回、星空の作図はアストロアーツ社のステラナビゲータというWindowsPC用ソフトを使っています。天文ファンなどの定番ソフトで1万円チョイするのですが、私の仕事にもかかせません。ちなみに最近は5000円切りのLite版も出ています。ここで使うレベルなら十分です。まあ、試用版もあるので「どんなんかなー」と思う方はお試しあれ。

元旦は夕空に「惑星トレイン」

えー、元旦はみなさんいかがするのでしょうか? 夕方5時30分すぎ、西の地平線まで見えるところに行くと、下の図のような「惑星トレイン」を見ることができます。あ、海王星は暗くて肉眼では見えないのでおまけね。

  • 惑星トレイン

ポイントは「水星が見える」ということでして、これはなかなか珍しい。

ちな、これが1月7日になるとこうです。金星が見えなくなりましたが、月がいますな。

  • 惑星トレイン

で、こんな風に並ぶのは、そんなに珍しいことではございません。太陽系の惑星がだいたい同じ平面の上をまわっているからそうなるのです。地球が巡る平面に斜め上から切り込んだりしないのですな。で、平面を横から見たら線ということで、地球も平面の上にいるので、惑星は線の上をいったりきたりするのでございます。それを空全体の世界地図みたいにすると、こうなります。

まあ、見事に線の上に乗っかっているわけです。そして今は、妙に太陽に近いところに惑星が集まっているのもわかりますなー。

ちな、この線(黄道)の通るところには12の星座が配置されていて、それが誕生日の星座なのでございます。

1−2月 冬の空は明るい星が多く、すごく見応えします

毎年書いていますが、実際そうなんだからしょうがないですな。冬の星については、前に書いたものがずっと通用します。オリオン座を中心に1等星が集中しているんですな。これは毎年同じなのです。冬は星がきれい。テッパンでございますなー。

今年の冬は昨年の冬とちがい、このあたりに惑星がありません。純粋に冬の星だけ楽しめます。なお、1月に久々の帰省で田舎に行くという方は、オリオン座のはたにある冬の天の川が見えるかどうか? チェックしてみてくださいませ。

1月3日 夜9時の空。南東から垂直にオリオン座の脇を通って天の川が見える。都心から100㎞ほど離れていればなんとかという感じです。

1月4日早朝には、しぶんぎ座流星群 月がなくて絶好!

流れ星が集中して見られる流星群。その中で見応えがある「三大流星群」の1つがこの、しぶんぎ座流星群です。

今回は月がなくて絶好です。しぶんぎ座という星座はもともと北極星の近所にあった星座です。そのあたり、北の低空から流星が四方八方に流れます。4日の夜明け直前がピークとされています。こちらの佐藤さんのホームページに都心ならどれくらい? という情報がのっています。大都会でも1時間に数個、郊外なら10~20個くらいが期待されるということですな。冷えますので1時間あったかーくして空をみてください。どこを見てもよいのですが、北東方向を注目するとよいかもー。

なお「三大流星群」のあとの2つは8月中旬のペルセウス座流星群と、12月中旬のふたご座流星群でございます。

ロケット&宇宙機関係

一方、宇宙開発関係はどんなもんでしょうか。ここでは宇宙や地球の研究に関係しそうなものをSPACE FLIGHT NOWからひろってみます。

2月12日ごろ? 月に向かうアルテミス計画のテスト

本当にやるのかな、アメリカのトランプ前大統領がぶち上げた「はじめての女性の月着陸を目指す」アルテミス計画のデモフライトが行われます。

大型ロケット「スペースローンチシステム」を使い、ボーイングの開発したオリオン宇宙船を無人で月周回をさせるというものです。

しかし、本気かな。トランプさん肝いりだったからバイデンさんどうするのかね? という感じではありますな。

あ、あとこれにのっかる形で、岸田総理が日本人を2020年代中に月面に降りさせると言ったというニュースが出ました。

人類の初月面着陸は1969年にアメリカがアポロ11号でアームストロングとオルドリンの2人なのですが、米大統領ケネディが1961年5月25日に特別議会演説を行って「1960年代が終わる前に宇宙飛行士を月面に送り彼らを無事に帰還させる」と言っています。まあ、これはこのチョイ前の1961年4月12日に旧ソ連がガガーリンによる有人宇宙飛行を成功させて、後れを取ったというタイミングでアポロ計画をぶち上げたのです。で、実現したという話でした。ちょっとだけそれを想起させますね。

あ、デカい宇宙船といえば、スペースX社の「空飛ぶイカ飯(私が勝手に名付けた)」こと、スターシップも初の地球周回軌道テストをこの辺で予定しています。いままではとびあがって降りるというのやっていたのでいよいよ宇宙へですな。これも月周回や、火星への有人飛行を目指しています。その辺、鳥嶋さんの解説がさすがでございます。

2月21日 スペースXのクルードラゴンによる国際宇宙ステーションの観光旅行

先日、前澤さんたちがロシアのソユーズで国際宇宙ステーションへの観光旅行をして話題になりましたが、アメリカのスペースX社のクルードラゴンでも6回目の打ち上げで早くも商業旅行です。AXIOM社主催の観光旅行で、同社の副社長で元NASA宇宙飛行士で宇宙遊泳を10回もやったレジェンド、マイケル・ロペス=アレグリアさんが搭乗し、お客さん3人は投資家で、米国人のLarry Connor氏、カナダ人のMark Pathy氏、そして、イスラエル人のEytan Stibbe氏、でございます。まだまだ庶民には無理ですが、宇宙が近づいてきているのは確かなようですな。

3月1日 気象衛星GOES-T打ち上げ

3月最初ですのでいれちゃいます。

日本のひまわりにあたる、米国の気象衛星GOES-Tが打ち上げられます。赤道上空の静止軌道からアメリカを中心とする地域を見守ります。日本の現行のひまわりは、気象衛星というか地球観測衛星として大幅なスペックアップをしたのですが。GOES-Tも第三世代の気象担当静止衛星で、

ということで、来年も宇宙を楽しんでいきましょー。

以下は天文情報に特化した、年鑑類でございます(書名、特徴、2021年12月時点の価格)。

  • 天文手帳 手のひらサイズの手帳に、小さな字で毎日の月の出入り時刻や見所など星空情報がぎっしり。ミニ星座早見もついています (1040円+税)
  • 天文年鑑 2022年版 天文年鑑のスタンダード。星空情報のほか、各種のデータが豊富。天体観測を趣味とする人向けの編集。ハンディサイズ。電子書籍も出ています (1320円(税込))
  • 星空ガイド2022 毎月の星空情報を中心に、観測のしかたなども紹介。ハンディサイズ (1100円(税込))
  • ASTROGUIDE星空年鑑 DVDに動画とPC&マック用ソフト付き(ダウンロード権もあり)のムック、大判かつカラー版 (2948円(税込))
  • 天体観測手帳2022 基本は手帳で、それに天体観測のためのデータとガイドが載っている。カラー図をたくさんという体裁。小型望遠鏡までで見やすい現象、トピックが紹介されている (1280円+税)
  • 太陽・月・星のこよみ 大判の月めくりのカレンダー。毎日の月の形や、天体現象などが記載。大手書店のカレンダーコーナーや科学博物館のショップなどにもあることあり (1500円+税)