日本のビジネスシーンに欠かせない「名刺」のデザイン、どう思いますか?

「社会人経験はあるけど、名刺交換をした経験がない」という人は、国内ではかなり珍しいのではないでしょうか。名刺を忘れたり切らした時はまずお詫びから…なんて光景が当たり前なほどに、日本のビジネスシーンでは名刺が欠かせません。

いつ渡すか、どんな用途に使うかという面では日本を含めたアジア各国は多少特殊ですが、「ビジネスカード」というツールは万国共通。そこで今回はそのデザインに注目、日本在住の外国人20名に「日本のビジネスシーンに欠かせない「名刺」のデザイン、どう思いますか?」と質問してみました。

■かっこいい。(ロシア/20代前半/女性)
■かっこいい名刺もあります。(ブラジル/20代後半/男性)
■一目瞭然でいい。(台湾/40代前半/男性)
■日本ではビジネス界において名刺が欠かせないものだと思う。(チュニジア/40代後半/男性)

名刺の起源は9世紀の中国だそう。世界的に名前など自分の情報を記載したカードを交換する慣習はあるものの、元は訪問した際や今後の連絡先を伝えるため、別れ際に渡すツールだったそうです。それが現在の日本を含む東~東南アジア地帯では、ビジネスの場で初対面の相手には、出会ってまず交換する物へと変化してきました。

会社の信用を示すツールでもあるため、長く白やベージュ地に明朝体やゴシック体などの文字、会社のロゴとオーソドックスなデザインの物が多く、その傾向はほぼどこも変わりません。逆にそれが、「一目瞭然」、「かっこいい」という印象を与えるのでしょう。

■さまざまなデザインがあって、仕事に合う名刺がつくれるのでとてもいいと思います。(トルコ/30代前半/女性)
■会社によりデザイン性がいいものがたくさんあります。(中国/20代後半/女性)
■会社によると思います。かっこいいのもあればそうでもないのもあるかと思います(マレーシア/30代前半/男性)
■フォーマルなものもあれば、もうちょっとリラックスしたデサインのもあるので面白いと思います。(タイ/30代後半/女性)
■最近は素敵なのもたくさん出てきていいと思う。(イギリス/20代前半/女性)
■いいと思います。最近は特に素敵なデザインが多いですね。(スウェーデン/40代後半/女性)

オーソドックスなデザインが大半を占める一方、実は少しずつ変化してきている部分もあります。例えば、インパクトが必要な営業職や識別のしやすさを重視する会社などの場合。名刺に写真や趣味を加えて強い印象づけを狙うといった感じです。

デザインや広告、マスコミなど制作系では、企業・フリーランス問わずデザイン性の高い名刺が多いと言えます。社風やセンスをアピールする意図によるものですが、「仕事に合う」、「会社により」という回答は、この辺りの違いを指しているのかもしれません。フリーランスの場合は、会話の糸口とすべく、あえて変わったデザインにしている人もいるそう。

また、活版印刷が流行った時は紙も分厚く柔らかな物が多くなるなど、フォントや配置のほか、加工技法や紙質までこだわることができるので、実は名刺のデザインのバリエーションってかなり幅広いんですよ。

■シンプルすぎます。(フィリピン/40代前半/女性)
■とても真面目な名刺が多いと思います。(スペイン/30代後半/男性)
■無難ですね。(韓国/40代後半/男性)
■「普通」です。印象的なのを見たことがないです。(アメリカ/20代後半/男性)
■普通だと思います。(ドイツ/40代前半/女性)
■普通です。少し地味です。(ベトナム/30代前半/女性)
■普通すぎてつまらない。(イスラエル/30代後半/女性)
■普通。(オーストラリア/40代前半/男性)

無難、シンプル、普通という回答。ご覧になったことがある名刺が一般企業中心の場合は、こうした印象になるのでしょう。また、元々名刺を交換する慣習がなかったアメリカ、出発点がパーティでの情報交換にあるヨーロッパの人たちからすれば、名刺は個人のアピールツール。企業の信頼度を表す日本・アジアの名刺デザインとは出発点が違うわけです。この感覚の違いは何気ないものですが、意外と捉え方や印象に意外と大きな影響を与えているのではないでしょうか。

■ほとんどのデザインがつまらなくて、普通すぎて、ときどき読みにくい。よくないと思う。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■センスはないと思います。(ペルー/30代前半/男性)

なかなか厳しめの回答。アルゼンチンとペルー、南アメリカ諸国の方が並んでいるのは何か関係があるんでしょうか。確かに、この地帯は日本人の感性とは大きく異なる、独特の色彩感覚に彩られたデザインが多いことで有名ですが…。

日本人の感覚では、自分の分身とも言える名刺。ネットで注文すればすぐ受け取れる仕組みが多くの会社に準備されており、普段の業務でいかに重要で身近な存在とされているかがわかります。ビジネスツールだと認識してはいるものの、「無難」「普通」と言われてしまうと、やはり少し寂しいものです。クリエイティブ系ではない一般の企業でも、名刺にバリエーションを加えるシステムはつくれないものなんでしょうかね。