アルテアエンジニアリング(アルテア)は9月16日、CAEソフトウェアプラットフォーム「HyperWorks」シリーズの最新版「HyperWorks 13.0」をリリースした。

「HyperWorks 13.0」は、耐久性と効率性に優れた製品の開発を可能にするツールとして、「性能の最適化」「軽量設計」「リードタイムの短縮」「新しい技術」へのアクセスという4つの領域で開発の生産性向上が図られている。

性能の最適化

「性能の最適化」という観点では、「OptiStruct」の機能が強化され、大変形解析やゴムなどの超弾性材料のシミュレーションが可能になり、非線形ソルバーとして活用できるようになった。また、強化された最適化機能では、新しい応答タイプやマルチモデル最適化(MMO)の導入により、別々の構造体の共通の部品をひとつの解析で効率的に解析することができるという。

「AcuSolve」では、「MotionSolve」との連成が可能になり、構造部品が動いているときの流体解析の精度が向上。さらに、「RADIOSS」では、亀裂進展のモデリングで扱える物理特性が追加され、拡張有限要素法(XFEM)によって結果の精度が改善したほか、エアバッグ展開機能も強化された。

また、「HyperStudy」と「OptiStruct」にExcelとの連携機能が追加され、トレードオフスタディをExcelファイルにエクスポートして「HyperStudy」とは別個にポストプロセッシングを行ったり、「OptiStruct」で最適化を実行する際にExcelでの計算結果を応答タイプとして含めたりすることも可能となった。

軽量設計

プリプロセッシングおよびポストプロセッシングの両方の工程で複合材シミュレーションを可視化する機能も追加された。この機能では、材料、要素、各層の配向角を可視化したり、それを応力と重ねて表示したりすることができる。さらに、積層複合材とポリマーの新しい材料則および破壊基準も加わっている。

また、サンドイッチ構造や複層構造の複合材成形にも「HyperForm」の機能を応用できるようになったほか、「HyperMesh」のドレープ予測機能では、ドレープによって生じる厚さや配向角のばらつき計算を実現した。なお、これらのソフトウェアは、「HyperWorks」のすべてのユーザーが使用できるとのこと。

リードタイムの短縮

リードタイムを短縮するための改善点としては、CADと有限要素モデルの任意の組み合わせを比較して、モデル間の差異をハイライト表示することができるようになったことや、「HyperMesh」の改善されたダイレクトモデリング機能で、CADシステムに戻ることなく、補強リブなどの形状を迅速に生成することが挙げられる。

さらに、「HyperWorks Desktop」とPowerPoint間でのデータのやり取りも可能で、結果がキャッシュされるため、大規模なモデルを解析した場合に、結果セットを素早く切り替えることができるという。

ほかにも「HyperMesh」、「HyperView」、および「HyperGraph」の各ソフトウェアに追加された共通の「Entity Editor」を使用して、モデルのすべてのパラメータやポストプロセッシングセッションのエンティティを編集できるなど、「リードタイムの短縮」が随所で図られている。

新しい技術へのアクセス

「solidThinking Inspire」は、専門家でない人でも有限要素解析を行えるように設計されており、「OptiStruct」で20年超にわたって同社が培った最適化技術が組み込まれている。新しく解析と形状簡略化の機能が追加され、シミュレーション技術へも新しくアクセス可能となった。また、「HyperWorks」のユーザーは、同社のパートナーアライアンスを通じて、追加料金なしで50以上のサードパーティの専門ソリューションを利用することができるため、ユーザーのニーズに応じていつでも新しい技術を取り入れることができる。

同社は今回の新バージョン発売にあたり、「私たちの画期的なトークンベースのユーザーモデルは進化を続けており、顧客にさらなる価値を提供するとともに、シミュレーション主導の設計プロセスの実現を可能にしていく」とコメントしている。