背後の映像を正面の映像と同時に見ることができる技術

続いては、背後の映像を正面の映像と同時に見られるという「Spider Vision」(画像27)。人間、前にしか目がついてないのは、「未来を見るためだ」なんて迷っている青少年を励ます言葉として、マンガの中などで語られたりすることがあるわけだが、でも実際のところは、後ろが見えた方が危険を回避できる可能性があるのも事実。なぜ、人間は後ろに目がないんだろうと思ったことは、誰でもあるのではないだろうか(何でも、映像処理は脳にとって非常に負荷が大きいので、目を実際に背後に生じさせるというような、視覚器官をこれ以上増やすのは得策ではないとされている)。この装置は、前方の映像と背後の映像をブレンドさせて表示させるという仕組みだ(画像28)。正直、ちょっとわかりにくかったりするので、前方と後方を同時に見るというのは、なかなかヒトにとっては難しいようである。

なお、このブースには、かけるだけで「超動体視力」を得られるという「STOP MOTION GOGGLE」もあった(画像29)。高速でシャッターを切ることで、高速回転するボールの回転方向が見えるというもので、デモではコマに書かれている文字を回転している状態で読み取ることができた。

画像27(左):Spider Visionの外観。画像28(中):Spider Visionによる映像。正面の映像と背面の映像がブレンドされている。画像29(右):STOP MOTION GOGGLE。横のKMDとシールが貼られたコマが高速回転していても、ちゃんとKMDの文字が読み取れるようになる

続いては、裸眼で見られる3D映像を投影する技術の「RePro3D」(動画7)。クッキリした3D映像を偏光ゴーグルなど特殊なデバイスを用いずに裸眼で見られるのは、誰もが多かれ少なかれ興味を持つところで、近年のカードゲームを題材にしたマンガやアニメでは、カードに描かれたモンスターなどが空中に迫力ある3D映像としてプレイヤーのすぐそばに投影されていたりするわけで、カードゲーム好きな子どもたちは、実際にそんな風に遊べたらと思っていることだろう。

SF映画「アバター」以降、映画などでは3D映像は普通になったし(それ以前からiMAXなどもあるが)、テレビも3D映像タイプが発売されているが、ホログラフィのように目の前に物体が実際にあるかのようにどの角度から裸眼で見ても立体に見えるシステムは、まだまだ研究段階の域を出ていない。

しかも、こうした実用化されている3D投影技術は、カメラやビデオで撮影するとレンズが1つしかないから、ヒトの目で見るようにはいかず、立体感が失われてただの2Dの映像になってしまうものだが、RePro3Dはそれがきちんと3Dで見えるところがすごいのではないかと思う。実際、動画で撮影してみたので見ていただきたいが、まだ先程述べたカードゲームのアニメの3DCGのようなクッキリとまではいかないとしても、結構立体感があって、いい具合ではないだろうか。ぜひ、カードゲーム業界と手を組んで、大会用の特別機材として、実用化してみてはいかがだろうか。

動画
動画7。RePro3Dで投影されるフィギアスケーターの3Dアニメの様子。ビデオカメラで撮影しても立体感がある程度わかる