NHKは5月22日、特殊なメガネをかけなくても自然な立体映像を楽しめる電子ホログラフィによる立体テレビの実現に向け、電子的な干渉縞を生成する「空間変調器(SLM:Spatial Light Modulator)」の素子をトランジスタで駆動させるアクティブ・マトリクス方式による2次元スピンSLMの試作に成功したと発表した。

これまでにもNHKでは、電子スピンを用いた1次元配列のスピンSLMを開発し、その基本動作の確認を行っていたが、立体の動画表示を実現するためには、多くの光変調素子を2次元に並べて駆動させる必要があった。

今回の技術は、駆動電流の低減を図った光変調素子を採用したほか、素子ごとにトランジスタを配置することで、正確かつ高速に各素子の駆動を可能としたアクティブ・マトリクス方式とすることで実現したという。

なおNHKでは、今回の技術的な成功により、将来の立体像の動画表示を可能とする超多素子SLMの実現に向けて前進できたとしており、今後もホログラフィー用立体表示デバイスの実現を目指して、スピンSLMの研究開発を推進していくとコメントしている。

SLMによるホログラフィ立体表示の基本原理

アクティブ・マトリクス駆動方式スピンSLMの素子構造