OKIデータは17日、プロフェッショナルクリエイター向けのカラーページプリンタ「MICROLINE Pro 930PSシリーズ」および「MICROLINE 910PSシリーズ」を8月上旬より出荷すると発表した。これらは「MICROLINE Pro 9800PSシリーズ」「MICROLINE 9600PS」の後継となるモデルで、価格はEFIのFieryを搭載した「MICROLINE Pro 930PS-X」が104万7,900円、「MICROLINE Pro 930PS-S」が78万5,400円、OKIデータ自社開発のRIPを搭載した「MICROLINE 910PS-D」が43万8,900円、「MICROLINE 910PS」が41万7,900円となっている。

新しい「MICROLINEシリーズ」を紹介する杉本晴重社長。新製品がDTP業界を中心としたクリエイティブ関係者に向けたものであることを強調。プロモーションのビジュアルを依頼した武田双雲氏の目指す方向とOKIデータは同じだと述べた

若手ながら人気が高い書道家の武田双雲氏からのクリエイターへのメッセージビデオを会場で披露。氏は、「普段の生活の中にクリエイティビティが潜んでいる。中から沸き起こってくるエネルギーを信じてぶつけていって欲しい」と語った

新製品の外観は4機種ともほぼ従来機と同じだが、トナーの製法を重合法から粉砕法に変えた「マイクロファインHDトナー」に変更。理由は、現時点で粉砕法トナーが重合法トナーよりも環境安定性に優れており、汚れやかぶりが発生しにくいからだとしている。また、色材も変更しているため、従来機よりも色再現性が向上したという。トナーの材料変更による価格変更はないが、イメージドラムの寿命および価格は、従来の3万枚/3万3,600円(各色)から、2万枚/2万2,050円に変更された。従来機は、同時に4つのドラムを交換すると13万4,400円の出費となったが、その負担が少なくなるように4つで8万8,200円に変更したという。

また今回は、より安定した出力結果を得るために、あえて標準設定の印刷スピードを従来機のカラー36ppmから31ppmへ、モノクロ40ppmから36pmmに変更。55~57kgの普通紙を使用して手動で指定すれば従来機と同じカラー36ppm / モノクロ40ppmで動作するが、徹底的に高画質を追求した結果、この設定を標準に決めたという。

Fiery搭載の「MICROLINE Pro 930PS-X」。外観は操作パネルのカラーリング以外は従来機「MICROLINE Pro 9800PS-X」とほぼ同じ。下位機種「930PS-S」との違いは、両面印刷ユニット(3万1,500円)の標準装備以外に、Fiery Graphic Arts Packageとして、ハーフトーンスクリーン機能、Hot Folders機能などになる。930PS-Xと930PS-Sの差額は26万円ほどになるが、コミックのスクリーントーンや軽オフセット印刷の版下作成においてアプリケーション定義の網点が利用できるハーフトーンスクリーン機能、製版の現場では必須のPDFやTIFFをDrag&Dropで出力できるHot Foldersなど、ハイエンドユーザに有効な機能が搭載されている

OKIデータ自社開発のRIPを搭載した「MICROLINE 910PS-D」。下位機種の910PSとの違いは両面印刷ユニット(3万円)標準装備の有無。910PS-Dと910PSの差額は2万1,000円なので、1万円お得な設定になっている。なお、今回発表の機種の両面印刷ユニットは、従来機「MICROLINE Pro 9800PSシリーズ」と同様となっている

「MICROLINE Pro 930PSシリーズ」「MICROLINE 910PSシリーズ」用のイメージドラム。今回の機種から2万枚(A4ヨコ送り片面、一度に3枚ずつ印刷時)のライフサイクルで価格は2万2,050円に変更された。オフィスなどで決裁がしやすいように配慮した結果、ドラムを4本同時に交換しても10万円を超えない設定にしている

「MICROLINE Pro 930PS-X」のインタフェース部。ギガビットEthernet、USB 2.0を搭載。モニタ用のDVI-Iも見られるが、これはサポート用であり、ユーザは使用できないとのこと

コントローラ周りは大きくスペックアップしており、Fiery搭載の「MICROLINE Pro 930PSシリーズ」のCPUは従来のTM5800 1GHz(相当)からIntel Celeron M 1GHz(相当)へ、メモリは2機種とも1GBを搭載(従来機は下位の9800PS-SとPS-Eは256MBで1GBはオプション)。ハードディスクは20GBから40GBへ容量アップし、Ethernetは従来の100BASE-TXから1000BASE-Tへとスペックアップした。また、ハードウェア以外にソフトウェアも進化しており、PostScript 3のコアバージョンは3015.102から3017.102へ、FieryのシステムはFiery System5からFiery System8eへバージョンアップしている。これら改良により、実行スループットは従来機の1.5倍ほど高速化されているという。なお、OKIデータ自社開発のRIPを搭載した「MICROLINE 910PSシリーズ」は、CPUがPPC750FX 720MHzから800MHzへのクロックアップにとどめているが、1000BASE-Tが搭載されている。

今回、「MICROLINE Pro 930PSシリーズ」に添付されているMac OS 9用のソフトは、プリンタドライバとFiery Downloaderだけとなった。従来機で使用できた「ColorWise Pro Tools」、ジョブ管理の「Fiery Spooler」はMac OS 9で使用することができない。その代わり「ColorWise Pro Tools」のMac OS X版とジョブ管理ツールの「Command WorkStation Macintosh Edition」が新たに搭載された。従来機は「Command WorkStation LE」であり、Mac OS X版はWindows版に比べて機能がかなり限定されていたが改善されている。

「MICROLINE Pro 930PSシリーズ」のプリンタドライバ。従来機のMac OS Xドライバと異なり、エキスパートカラー設定によってカラー設定がわりやすくなっている

Mac OS X版の「ColorWise Pro Tools」。キャリブレーション(別途測色計が必要)、ICCプロファイルの編集や登録、スポットカラーの編集などが行える

また、「MICROLINE Pro 9800PS-X」にはMac OS X版のHot Foldersが付属する(Windows版Hot FoldersはMicrosoft Officeアプリケーションのドキュメントを直接処理できるフィルタプラグインも搭載される)。いずれもUniversalアプリケーションのためIntel Macでの軽快な動作が期待できる。なお、Fieryのシステムが新しくなったことで、Mac OS X版のプリンタドライバが使いやすくなっており、分版合成(色分解の組合せ)を使わずともオーバープリントが再現できる「コンポジットオーバープリント機能」、K100%のデータをC50%を混ぜて出力する「リッチブラック」などの新しい機能が搭載されている。