シマンテックは2007年に買収したAltiris(アルティリス)のライフサイクルマネジメントを行う新たな製品群を6月30日に提供開始すると発表した。すでに提供されている製品を含め、今後は既存のシマンテック製品との連携も強める方向での事業強化を行う。

国内のAltiris事業を強化

シマンテックは21日、企業向けの構成管理データベース(CMDB)である「Altiris CMDB Solution」等の新サービスの提供を6月30日から開始し、それに伴って、国内のAltiris事業を強化する意向を表明した。

シマンテック テクノロジー統括本部 執行役員 統括本部長 足立修氏

Altirisは2007年7月にシマンテックが買収する形で合併しており、2008年4月からは日本でも両者を統合してのビジネス展開が行われてきた。シマンテック内におけるAltirisの位置づけについて、テクノロジー統括本部 執行役員 統括本部長である足立修氏は「シマンテックは大きく分けて6つのポートフォリオを持っている。アンチウィルスを代表とするエンドポイントセキュリティ、データプロテクションソリューション、ストレージ&サーバソリューション、ゲートウェイソリューション、ITのコンプライアンスソリューション、情報漏えいのソリューションの6つだ。Altirisはこのうち、エンドポイントセキュリティに含まれるものであり、ライフサイクルマネジメントという概念を初めてシマンテックから提供できるようになったソリューション」と語っている。

ITのライフサイクルマネジメントを提供

Altirisが提供するライフサイクルマネジメントとは「PCやサーバを購入してから廃棄するまでの間に発生する各種イベントを管理すること」だ。購入やライセンスの管理、利用開始時の設定、誰がどんなソフトやハードを使っているのかといったことを一元管理する。

ITライフサイクルマネジメント

Altirisの3つの概要

シマンテック Altiris ビジネスユニット 営業部 部長 諸橋隆也氏

「Altirisはコンプライアンスの遵守とセキュリティ対策の強化を実現する。また、PCやサーバの電源をリモート管理する機能もあり、グリーンITの実現にも貢献する。今日のIT面における経営課題の一部の解決に貢献できるもの」とAltiris ビジネスユニット 営業部 部長である諸橋隆也氏は語る。

Altirisは3つのソリューション群で構成される。クライアントPCの管理を行うクライアントマネジメントスイート、サーバを管理するサーバマネジメントスイート、IT資産の管理を行いインシデントの管理を行うサービス&資産管理スイートだ。これらはスイートとしての提供だけでなく、ソリューション個別での提供も行われる。

同社では各スイートの内容について、対象とするユーザー層を資産管理の成熟度で3つに分けている。資産管理について最初に取り組もうとするユーザーに向けられているのがレベル1であり、発展するにしたがってレベル2、3と上がっていく。

クライアントマネジメントスイート

サーバマネージメントスイート

サービス&資産管理スイート

このうち、クライアントマネジメントスイートのレベル3、サーバマネジメントスイートのレベル2、サービス&資産管理スイートのレベル1および2が、今回新たに提供されるものとなる。

Intel vProやシマンテック製品との連携

リモートでの電源管理は、PC、サーバ、ディスプレイに対して行うことができる。一定時間使われていないものをシャットダウンするという設定や、電源のON/OFFをスケジュール管理することで消費電力を削減し、グリーンITを実現する。また、Intel vProテクノロジーとの親和性が高く、リモートでの電源管理に加えてBIOSの変更も行うことができる。

電力削減に役立つAltiris製品

Intel vProとの連携

また、シマンテックの別製品との連携としては「Symantec Endpoint Protection」との連携機能が提供される。クライアントへのインストールと他の対策ソフトからの移行を実施したり、クライアントへのインストール状況をレポートするなどの機能が提供される。Altiris管理プラットフォームへの統合に関しては、無償で提供されるツール「SEPIC」で行うことができるという。諸橋氏は「今後は他の分野でもAltiris CMDB Solutionを中核とした既存のシマンテック製品との連携を行う予定」としている。資産管理製品としてはAltirisは後発だが、こうした連携を強みとして今後の展開を行いたいという。

ソフトウェア仮想化を実現する「Software Virtualization Solution」

シマンテック Altiris ビジネスユニット システムエンジニア 有賀友三氏

新たに追加されるサービスのほかに、すでに提供されているサービスの中で強化されたものもある。ソフトウェアを仮想化する「Software Virtualization Solution」がそれだ。「管理者側からの仮想アプリケーションの配布が可能で、他アプリケーションとの競合が回避できるのがアプリケーション仮想化のメリット。同一アプリケーションの複数バージョンの同時起動もできる。インストール/アンインストール時に再起動がいらないためユーザーにとってのダウンタイムもなく、インストール時の状態に瞬時に修復できる機能はヘルプデスクにもメリットがある」と、Altiris ビジネスユニット システムエンジニアである有賀友三氏は語る。

アプリケーションの仮想化はスタンドアロンでも利用することができ、アプリケーションのインストール/アンインストールは管理画面で指定するだけで瞬時に実行される。今回はWindows Vistaへの対応が行われた。