まとめと考察

ということで毎度長々とベンチマーク結果をお届けした。対GeForce GTX 780比という意味では、Shaderの総数があんまり変わらない(2816基 vs 2304基)割にはよく健闘したというべきか、それともShader総数やROP数がより多く、メモリ帯域もずっと多いのにあんまり性能の上乗せが無いというべきか、微妙なところではある。

なんか、もう少し頑張ってもいい気はするが、これはShaderの構成がNVIDIAと異なるためで、致し方ないのだろう。

取りあえず別格のGeForce GTX TITANは別にすると、このR9 290Xが予想価格549米ドルというのはなかなかに刺激的だと思う(日本での店頭価格が跳ね上がるのはまた別の問題である)。

NVIDAもこれが分かっているから、10月18日に突如としてGeForce GTX 780 Tiのアナウンスをしたのだろう。NVIDIAとしては500平方mmを超えるダイを持つ製品を549米ドルで販売するのは利益率低下につながるわけで、それを嫌って価格を649米ドルに維持するために、性能の底上げをしたのがGeForce GTX 780 Tiと見られる。

まぁその分従来のGeForce GTX 780が流通在庫に関しては値下げが期待できそうだが、新規でR9 290Xと同じ価格帯で製品を投入してくるかは微妙なところ。このあたりはダイサイズの差が露骨に効いて来る部分であり、NVIDIAとしては当面GeForce GTX 780 Tiで牽制しつつ、20nmプロセス世代の製品を急ぐという形の戦略をとるのではないかと筆者は想像している。

R9 290X自身をどう評価するか? といえば、バランスも取れているし、HD 7970世代の弱点が大分解決した気がする。なにより明確に性能の底上げが実感できており、割と良い製品に仕上がっている、というのが現時点での評価である。

懸念事項は性能とは「別の問題」、つまり日本での店頭価格である。549米ドルが店頭価格7万とかになってしまうと、せっかくのバランスが台無しである。このあたりはなんとか流通やショップさんに頑張ってほしいところだ。