考察

ということ駆け足ながらアプリケーション性能を中心に評価をしてみた。とりあえずAMDの言う、10%以上の性能改善は確かに成し遂げられたと言って良いと思う。消費電力に関しても、Piledriver世代ではResonant Clock Meshを採用して省電力化を実現した(この話も後編で)とするが、これが数字の形で明確に示されたと思う。またコア以外の部分でも性能改善の取り組みがなされている兆候は幾つかのテストで明確になっており、このあたりは後編で確認してみたいと思う。

さて、一般にCPUが10%以上の性能改善がなされれば、これは十分に大きな進歩だと言って差し支えないのだが、問題は元々のBulldozerことAMD FX-8150の性能がちょっと低すぎることだ。ここから10%上乗せしても、Core i5-3570Kには遠いというのが筆者の率直な感想である。元々FX-8150の時も、競合製品がCore i5-2500Kという話があり、結果を見るとCore i5-2500Kには遠く及ばないという結論になった訳だが、今回もこの結論を繰り返す、ということになるだろう。

勿論AMDもこれは判っていて、だからこそ$195なんて値段で投入してきた訳だというのは容易に想像できる。Intelの場合$195に相当するのはCore i5-3450で、これよりもピーク性能は確実に上回れるから、というあたりが価格の基準であろうことは、これも理解は容易い。

なので問題は、性能をとるか、消費電力を取るかというあたりになるだろう。正直言えば、既存のAMD 9シリーズのプラットフォームを既に所有しているユーザーには、FX-8350はそう悪くないReplace製品だと思うが、CPUのみをReplaceするのと、もう少しだしてCPUとマザーボードを全部Core iシリーズに切り替えてしまうのと、どちらが満足度が高いかと言われると結構悩まざるを得ない。努力は認めるが、もう少し頑張ってほしかったというのが率直な感想である。

ということで、次回の後編では、CPUの内部構造などにも踏み込んだ詳細なテスト結果をご紹介したい。