いま、コンビニエンスストアのおでんがスゴイ。エリアごとにつゆやおでんだねを変え、地域色を打ち出した内容となっている。ここではセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスの4社のおでんを比較。おでん研究家が試食をし、それぞれの特徴を紹介していく。

試食するおでん研究家

ライター&フォトグラファー 新井由己

自分が知りたいことではなく、相手が話したいことを引き出す聞書人(キキガキスト)でもあり、同じものを広範囲に食べ歩き、その違いから地域の文化を考察する比較食文化研究家でもある。1996年から日本の「おでん」を研究し、地域限定の「ハンバーガー」(地バーガーと命名)を食べ歩いて10年目を迎えた。2003年からはフィールドを海外へ広げ、インドの「カレー」も食べ歩いている。

食べ比べするおでんはがんも、ちくわ、厚揚げ、白滝、玉子、大根、牛すじ、つみれ、餅巾着、こんにゃくの10種。食べ比べに入る前に、まずはおでんの味を決めるつゆについて紹介しておこう。

※おでんだねやつゆは、すべて関東地域で用いられているものを試食した。

おでんつゆ

セブン-イレブン
つゆの色は澄んでいて、追いかつおにより鰹節だしの風味がとても生きている。さっぱりしているので、ゴクゴク飲める。これならお弁当やおにぎりと合わせる「吸い物」代わりにもなるのでは? と思うほど。

ローソン
地域によって焼津産の鰹節、日高産昆布、アゴだしなどをベースにしているが、関東地域のおでんつゆに使う鰹節は、一度炙るといったひと手間を加えており、香り高く仕上がっている。少し醤油色がかった色で、程よい甘みを感じさせる。

ファミリーマート
「つゆだくおでん」が売りであるファミリーマートのおでんつゆは、ちょっと濃いめの醤油色。鰹節だしをしっかりとって、薄口醤油で味付けしている。牛すじなどのおでん種から風味が出ているのか、かすかに肉系の風味が漂う。

サークルKサンクス
鰹節・昆布・煮干しのだしを組み合わせ、だしの風味を引き立てているのが特徴。関東エリアは鰹節の旨みをきかせたつゆとなっている。他社に比べて塩味が効いているので、学校帰りの若者たちや酒のつまみに最適。

次ページからはいよいよ、おでんだねの紹介に入る。