学生街・高田馬場。昔、友達が住んでいたこともあって、筆者も大学時代には何度か足を運んだ。それもあってか、この30代も折り返すこの年になっても、この街に来ると懐かしさを感じ、同時に過ぎ去った青春を寂しくも思う。そんな高田馬場は一人飯が豊富だ。

「とろろ昆布そば+味付玉子」(400+70円・税込)

高田馬場には、安くて、うまくて、ボリューム満点の店がたくさんある。もちろん、立ち食いそばも例外ではない。今回紹介する店は高田馬場駅徒歩15秒、西武新宿線の高架下にある「幸寿司」だ。その名の通りこの店は寿司屋なのだが、昼間は立ち食いそば屋に変身するという一風変わった店だ。

「大盛り無料」は学生の街によく似合う

開け放たれた茶色い戸と、紺色の「立喰そばうどん」の暖簾が、何ともレトロ。小さく「大盛り無料」と下がっていたり、真上には派手な学生ローンの看板があるのも、この街らしくていい。中に入ると、昼間はほとんど寿司屋の名残を感じさせない。

L字のカウンターは立ち食い用のみで、6人くらい並ぶといっぱいか。壁にはメニューがはられており、女性の店員がまわしていた。ランチ時だが相客はひとり。オフィス街と違って、時間割通りには混まない。「とろろ昆布そば+味付玉子」(400+70円・税込)を口頭で注文。大盛りはやめておいた。お代は、代金引換式。

関東らしい黒いツユに固ゆでの味付け玉子

あらかじめ注がれた水がカウンターに並んでいるのでそれをひとつ取り、1分ほど待って完成。これぞ関東、と言わんばかりの黒いツユが印象的だ。ダシもよく利いていて、それにとろろ昆布が加わりまろやかな酸味を引き出している。麺はゆで置きで柔らかめのやや細麺タイプ。追加トッピングで頼んだ味付け玉子は固ゆでで、食べ応えがあった。

「幸寿司」へは、高田馬場駅徒歩15秒

帰ってから気になって少し調べてみたら、夜も本格的な江戸前寿司が1,000円とか2,000円のリーズナブルな価格で食べられるらしい。何でもない日に2,000円の寿司を食べられるくらいには年をとった。近い内にまた訪れたい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。