「人がやらないことをやる」が恋愛成就の王道です

「あなたはそのままでいい。自分らしく生きていればいつか運命の男性が現れるよ」。こんな甘い恋愛アドバイスに真っ向から反論する男がいます。その名は、"ギターを教えなくても稼げるギター講師"こと清水邦浩くん。「恋のお師匠・ジュテーム清水」の変名も持つ彼は断言します。

「恋愛は楽器演奏と同じ。正しい方法論にのっとって努力(練習)を重ねることで必ずうまくなります。自己流のやり方で彼氏ができないのであれば、僕の方法を試してみてください。運命なんて今すぐ変えられますよ」

ギター教室の生徒たちの恋愛相談を受け続けて10年。清水くんはついに「恋愛力を高める方程式」にたどりつきました。音楽とビジネスの理論を組み合わせて編み出したその方法論を惜しみなく公開します。

男性客ばかりの居酒屋での「逆ナン」は競合ゼロ!

婚活応援ライターの大宮です。全10回にわたってお届けしてきた本連載も最終回。「恋のお師匠・ジュテーム清水」こと清水くん(36歳)が提唱する恋愛方程式(忘れてしまった人は第1回から復習してください)を実践すれば、本当に1カ月以内に彼氏ができるのでしょうか。モニターになってくれたユリさん(仮名、32歳)と一緒に検証しています。

恋愛方程式で最も重要なのは「好きな人リスト」を作成すること。ゼロだと話にならないし、1人だけを追いかけていたら重い恋愛になってしまいます。少なくとも3人、できれば5人の好きな人候補を挙げ、同時進行で連絡を取ることで、心に余裕を持って行動できるのです。

ユリさんのリストには、2年間も会い続けているのに恋人であることすら認めてくれないケンジさん(仮名、35歳)のほか、会社の同僚で少しだけ気になる独身男性2人の名前があります。これでは人数が足りないと判断した清水くんは、大企業勤めの男性会社員が集うという愛知県の刈谷駅前の居酒屋で「逆ナン」をすることをユリさんに指示しました。

勇気を振り絞ったユリさんが、消防士の鈴木さん(仮名)との連絡先交換に成功したくだりは前回ご報告しましたね。正直言って、僕にとってもこの数年で一番興奮&感動した瞬間でした。そこで、帰りの電車の中でユリさんに聞いてみました。なぜ土壇場であれほどの勇気が出せたのか、と。

「覚悟を決めることだと思います。清水先生と大宮さんに送り出してもらって、トイレの中に入ったときに覚悟しました。『このまま席には戻れない! やるしかない!! 』って」とユリさん。

実践して結果を出した人の言葉には説得力がありますよね。清水くんはユリさんを褒めたたえつつ、冷静な分析も加えます。「ユリさんの『取りあえずやってみよう精神』が成果を生みましたね。たいていの人はどんなに勧めても刈谷駅前にすら行きませんから。実際にやってみれば、男性客ばかりの居酒屋での逆ナンは競合ゼロだとわかるでしょう。街コンなどとは比べ物にならないぐらい女性に有利ですよ。ビジネスでも恋愛でも、『人がやらないことをやる』が基本です」。

相手の男性になめられないことが大切! マウントポジションを取れ!!

ユリさんが鈴木さんとの連絡先交換に成功した「刈谷の奇跡」から2週間後、清水くんが経営するコーヒーショップ「喫茶スロース」で経過報告会を開きました。ユリさんは鈴木さんと、LINEで20往復ぐらいのやり取りができているそうです。

刈谷の居酒屋で見かけたとき、控えめながらも顔をクシャクシャにして笑う鈴木さんを気に入ったユリさん。LINEでのあいまいさのない明確な返信からも男らしさと爽やかさを感じているようです。好きな人リストでは、ケンジさんをとっくに抜き去り、鈴木さんが序列1位を爆走中とのこと。いい調子ですね!

「居酒屋でもらった野球観戦チケットは、鈴木さんの出勤日と重なってしまいました。その代わり、今週末に飲みに行く約束を取り付けましたよ。向こうが『僕の同僚も何人か連れて行きます』と言うので、『大人数は苦手なので2人で飲みませんか? 』と返したら、『2人では緊張するので4人で飲みましょう』ということになりました。いきなり友だちノリはよくないので、丁寧な文章を心がけて女子を香らせるようにしています」

積極的だけれど丁寧で常識的。まさに大人の女性ですね! 「女子を香らせる」なんて表現もセクシーです。ユリさん、刈谷で修羅場をくぐったことで一皮むけましたね。2週間前よりもキレイになった気がします。清水くん、いかがですか?

「すべてが正しいですね。2人で飲みませんか、という攻めの姿勢が特にいい。踏み込まなければ恋愛は始まりませんから。あと、いきなり友だちノリでなれなれしいとダメになる、という認識も正しい。男性にはとにかくなめられないことが大切。マウントポジションを取っていきましょう」

そして清水くんは、今週末の飲み会でも「鈴木さんのことをよく観察しよう」と珍しく受動的な対応を提案しました。「彼と付き合わなければいけないわけじゃありません。彼女がいるのかもちゃんと聞きましょう。脈がないようであれば、彼から他の男性を紹介してもらってください。じっくり観察して、やはり鈴木さんを気に入ったのであれば、飲み会を平常心で楽しんだ後に『もう1回会ってほしい』とストレートに伝えましょう」

清水くんが一貫して主張するのは「攻めの姿勢を保ちながらも執着はするな。自然体になれ」ですね。執着を断ち切り、あきらめに似た心理状況になったとき、自由自在に動き回ることができるのでしょう。

ケンジさんを好きな人リストから外し、また刈谷に行きましょう

清水くんの恋愛講座はいかがでしたでしょうか。残念ながら、モニターのユリさんは1カ月で彼氏を作るまでには至りませんでした(週末の飲み会で何が起こるかはわかりませんけどね! )。しかし、この短期間に好きな人リスト1位の男性と新たに出会えて、飲み会の約束まで取り付けたのです。「大成功」と言っていいと僕は感じています。

一方の清水くんは「これからが勝負どころ」とユリさんの背中を押しました。鈴木さんとの関係を自然かつ良好にするためにも、ケンジさんを活用することは必須なのだと主張します。

「『元気? 』程度ではLINEの返信がないのであれば、『彼女ができたの?』ぐらいの文章を送ってみましょう。それが嫌ならば、ケンジさんは好きな人リストから外してください。そして、また刈谷に行きましょう。3回ぐらい刈谷で逆ナンをすれば、好きな人リストは確実に埋まり、その頃には彼氏ができているはずです」

"刈谷行き"を毎月1回ペースと考えると、3カ月後には彼氏ができるという計算ですね。無理のないスケジュールだと思います。ジュテーム清水の売り文句も「1カ月で彼氏ができる」から「1カ月で好きな人ができて、3カ月で彼氏ができる」に修正しましょうね。

現実を冷静に見つめ、過去は踏み台にし、明るい未来を自らつかみとる――。それが清水くんの信条なのです。ユリさんのように覚悟を決めた人は、清水くんの恋愛講座を受けに来てくださいね!

<著者プロフィール>
大宮冬洋(おおみや・とうよう)
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。読者イベント「スナック大宮」を東京と愛知で不定期開催。食生活ブログをほぼ毎日更新中。

<協力者プロフィール>
清水邦浩(しみず・くにひろ)
ギター講師。愛知県岡崎市・蒲郡市で清水邦浩ギター・ウクレレ教室を経営。