エコポイントが4月以降年内いっぱいまで延長されることはすでにご存知だと思う。しかし、対象の地デジ対応テレビ機種が大幅に減ることはご存知だろうか。対象機種でなくなるテレビは、今月末までは大幅値下げされている。意外と今度の週末は大物が買い時かもしれない。

エコポイントのサイト。具体的にどの機種がエコポイントの対象になっているかの一覧表がダウンロードできる。3月までの分と、4月からの分の両方がダウンロードできる。また、エコポイントの申請もこのサイトからできる

エコポイントの効果は絶大だ。JEITA(社団法人電子情報産業技術協会)の統計でも、エコポイントが導入されて地デジ対応テレビの売り上げは急上昇。前年同月比の120%ほどになっていた。しかし、エコポイントの存続がどうなるかニュースになり始めた10月ごろから、前年同月比は150%越え、今年1月の最新の統計ではなんと前年同月比176.3%を記録した。もちろん、エコポイントだけの効果ではなくて、メーカーも価格をぎりぎりまで下げ、販売店も独自ポイントを大幅に乗せるなどの工夫をしているとはいうものの、エコポイントの効果は絶大だ。ただし、現在の地デジ普及率は7割前後で、目標からはやや下回っている。エコポイントが地デジ普及に貢献せず、2台目、3台目のテレビの購入に利用されていることは想像に難くない。

とはいえ、これだけエコポイントの効果があるとなると、怖いのはエコポイントの終了。終了した途端にテレビが売れなくなるという事態も想定される。個人的には、年末になってもエコポイント制度を終了することができず、新たに地デジチューナーなども対象製品にしたエコポイント制度、あるいは名前を変えて、地上デジタルポイント制度などとしてアナログ停波を迎えることになるのではないかと想像している。

しかし、財政難のおり、いつまでも「テレビ全機種」を対象にしているわけにはいかず、今回の対象製品の絞り込みは、エコポイント制度を円滑に終了させる意味合いもあるのかもしれない。ただし、建前上はエコポイント制度よりも、省エネ基準が改定されたためということになっている。省エネ基準は、トップランナー制度といって、その時点で最高の省エネ能力をもっている機種を基準に、それよりもどの程度上回る新製品なのかという評価をしていく。そのため、数年経つと、数年前の最高省エネ機種が基準となるので、ほぼすべての機種が高省エネ機器のようなことになってしまう。今回の改定は、この基準となるトップランナーを改定したため、しばらくは「厳しい基準」となってしまうわけだ。そのため、省エネ性能があまり優秀でない機種が、今回エコポイントの対象製品から外れてしまったという形だ。

しかし、今回エコポイント対象製品から外れるのは、決して「省エネでない機種」というわけではない。省エネでないというよりも、省エネよりも機能を優先した設計になっているモデルが多いのだ。たとえば、アンテナを内蔵したビエラ TH-L17F1などは、小型テレビとしては面白い発想の商品だが、面白いことをやるためには省エネが多少犠牲にならざるをえない。それで今回外れてしまう結果となった。

また、各社とも50型以上のフラッグシップモデルがのきなみ対象製品から外れる結果となっている。画質やデザイン、機能を優先するフラッグシップモデルでは、どうしても省エネ性能が、シンプルな機種に比べると不利にならざるをえないからだ。中には、シャープのアクオス LEDモデルLC-65XS1、LC-65GX5なども含まれている。エコポイント制度の本来の目的が、ブラウン管テレビを薄型テレビに買い替えてもらうため、地デジ普及率をあげるためであることを考えると、このようないわゆる「高級機」が対象から外れるのはしかたのないことかもしれない。

JEITA発表の地デジ対応テレビの販売台数をグラフ化したもの。エコポイント効果は確かにあった。特にエコポイント存続が議論され始めた昨年年末からは、前年同月比150%越えが連続している

ということで、今月の販売店は活気がでてきている。4月から対象外となる高級機の大幅値引きが始まっているからだ。もし、高級機を買おうと考える人がいたら、今度の週末が大チャンスだ。在庫がなくて、納入が4月以降になってしまう場合はエコポイントがもらえなくなるが、販売店はエコポイント分値引きをしても売りたいと考えている。というのは、4月から対象外になってしまうと、いかにいい製品でも売れ残ってしまう危険性があるからだ。「テレビはシンプルなもので、機能とか画質にはこだわらない」という人はあわてる必要はまったくないが、「ある程度のサイズと機能、画質にこだわりたい」という人は、今週末は販売店に出かけて、価格をチェック。4月からの新製品の価格がどうなる見込みなのかという情報を店員から仕入れて、場合によってはその場で買ってしまった方がいいかもしれない。いずれにせよ、地デジテレビの販売は、今年4月から、状況が大きく変わっていくことになる。

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