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年末の足音がひたひたと近づいてくるこの季節。忘年会や新年会の連続で、ついついお酒を飲みすぎてしまうこともあるだろうが、日常的に薬を服用している人は要注意。薬とアルコールを組み合わせることによって、病気の症状が悪化するケースもある。

糖尿病や睡眠薬などとアルコールの組み合わせが危険

海外の様々な論文を紹介する「live science」にこのほど、「Holiday Drinking: How 8 Common Medications Interact with Alcohol」と題するコラムが掲載され、話題となっている。コラム内では、フィラデルフィア薬科大学で臨床薬学の助教授を務めるStacy Elder氏とブラウン大学の保健サービスリサーチに所属するDanya Qato氏のコメントなどをもとに、アルコールとの組み合わせが危険な薬を取り上げている。以下、その一部を紹介する。

抗うつ薬

抗うつ薬とアルコールは、共に思考能力や注意力に関わる神経システムの働きをにぶくさせる。2つの組み合わせは人々の眠気を誘い、判断能力を低下させることがあり、うつ症状の悪化を引き起こすこともあるという。

血圧や心臓の薬

アルコールは、心臓発作などを患った人が服用する、心臓の働きを抑えて血圧を下げる「β遮断薬」の効果を弱めると考えられている。同様に、ACE阻害薬などの血圧を下げる薬の効果も弱める機能をお酒は有しているとされているため、Stacy Elder氏は「それらの薬を服用中はお酒は避けるのがベストだ」と話しているという。

糖尿病の薬

幾つかの糖尿病用の薬は危険な作用を招くことがあるため、アルコールと組み合わせることはよくないとされている。中にはアルコールとの相互作用により、めまいや吐き気を引き起こすものもある。また、Stacy Elder氏は「アルコールは飲んだ直後から24時間ほど低血糖を引き起こすことを、糖尿病の人は認識しておくべき」と警鐘を鳴らしている。

鎮痛薬

アルコールはいくつかの鎮痛薬の効果を高めるとされており、一緒にとることは有害となる。鎮痛薬はアルコールと同じように胃を刺激し、日常的な飲酒と鎮痛薬の併用は肝臓へのダメージを引き起こすという。

睡眠薬

アルコールは、眠気やめまいを引き起こす睡眠薬の鎮静効果を増強するため、組み合わせは危険とされている。睡眠薬を服用しているときの深酒は、重度の呼吸障害を引き起こすこともあるという。そのため、Danya Qato氏は「もしお酒を飲むのであれば、睡眠薬を服用する6時間以上前までにしてください」と話している。

その他に避けるべき薬として避妊ピル、コレステロール低下薬、潰瘍(かいよう)薬を挙げている。

年齢を重ねるごとに薬とお酒の相互作用は強まる

一般的に、加齢とともにお酒と薬の組み合わせによるリスクが高まるとされている。その理由として、年齢を重ねればそれだけ薬を飲む量も多くなってくるし、アルコールの分解能力が弱くなり、アルコールが血流内に長く留(とど)まるようになるからだ。

「酒は百薬の長、されど万病の元」という言葉が示すように、適度の飲酒は体に良いのかもしれないが、度を越せば体にダメージとして跳ね返ってくる。そして、そのリスクは薬を一緒に服用することでなおさら高まる。浮き世を一瞬の間だけ忘れさせてくれるお酒。ふだんから薬を服用している人は、その性質をしっかりと把握し、お酒との賢い付き合い方を知っておくべきだろう。