現在、運送業界は深刻な人手不足に見舞われており、ヤマト運輸が27年ぶりに宅急便の基本運賃を引き上げたことも記憶に新しい。今年3月には、高齢者の事故防止、運送業界の人手不足解消を狙い、道路交通法が改正されるなど、迅速な対策が求められている。

そんな中、ソフトバンクが総務省の「高速移動時において1ms(1,000分の1秒)の低遅延通信を可能とする第5世代移動通信システム(以下5G)の技術的条件等に関する調査検討の請負」に選定されたと発表した。ソフトバンクが主体となり、グループ会社のSBドライブや、自動運転技術を開発する先進モビリティなどと、トラックの隊列走行および車両の遠隔監視・操作に5Gを適用した実証実験を行う。

「トラックの隊列走行」による幹線輸送は、物流事業者が抱える、深刻な人手不足という課題を解決すると期待されている。これは、先頭車両が有人運転し、後続車両が自動運転で追従するものだ。

同社は、この隊列走行の実用化を目指し、5Gが持つ「低遅延」「高信頼」の能力を生かし、走行時の車両間および車両と運航管制センター間での、通信の実証実験を行う予定だという。

実験に参加するSBドライブは、ソフトバンクと、自動運転技術を研究・開発する先進モビリティ社の合弁会社として設立。今年の3月には、自動運転分野への本格参入を狙うYahoo! JAPANの資本参加も受けた。同社は今年、大型トラックの隊列走行による幹線輸送などの社会実証・実用化に対し、2018年度後半に公道での完全自動運転による実証実験を計画していると発表していた。

近年特に運送業界の危機に対しては、世の中の動きが活発になってきた印象がある。新たなチャンスと取り組む企業が増えており、解決の日は近いかもしれない。