【レポート】

蒼の歌姫たちの競演がもたらしたもの - 『アイドルマスター ミリオンライブ!』4thライブ日本武道館2日目公演

『アイドルマスター ミリオンライブ!』の4thライブ「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」が、2017年3月10日~12日、東京・日本武道館にて開催。今回は2日目の「DAY2 BlueMoon Theater」公演を紹介しよう。

2日目の発表内容は、初日と同じ内容。ステージセットや演出、ライブの構成についても初日レポートに詳述したので、そちらもあわせてチェックしてほしい。

ボーカルに特化した個性が集う特別なライブ

4thライブ2日目には、日本武道館に向けて結成されたチーム「BlueMoon Harmony」の田所あずさ(最上静香役)、愛美(ジュリア役)、阿部里果(真壁瑞希役)、伊藤美来(七尾百合子役)、小岩井ことり(天空橋朋花役)、駒形友梨(高山紗代子役)、近藤唯(篠宮可憐役)、斉藤佑圭(永吉昴役)、戸田めぐみ(舞浜歩役)、野村香菜子(二階堂千鶴役)、平山笑美(北上麗花役)、藤井ゆきよ(所恵美役)が出演。さらに劇場映画をコンセプトにしたCD「THEATER ACTIVITY 03」に出演した木戸衣吹(矢吹可奈役)、大関英里(佐竹美奈子役)、ユニット「クレシェンドブルー」メンバーより麻倉もも(箱崎星梨花役)、小笠原早紀(野々原茜役)、雨宮天(北沢志保役)がサプライズ出演した。

前説映像の高木社長は2日目のメンバーを「月のように美しい歌声が日本武道館を包みこんでくれるだろう」と表現した。その表現の通り、高いボーカル力を持ったメンバーが多い"蒼い"顔ぶれで、壮大な響きのoverture(ライブ前奏曲)にあわせた舞うような美しい動きが、ぴったりとイメージにハマる。衣装は「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER FORWARD 02 BlueMoon Harmony」のジャケットのイメージを残しながらも、かなり大胆にアレンジ。青色を基調にした格調高い衣装で、装飾用のアシンメトリーなスカートの流れがいい。

個人的にはサイドにまとめて流したプリンセス然とした髪と衣装のデザインのバランスがぴったりの平山や、ノーショルダー(ジャケットイラストで言えばジュリアたちアクアリウスの衣装に近い)の肩の上で三日月型のイヤリングがきらりと目立つ伊藤にフォトジェニック賞を贈りたい。月を象ったイヤリングと髪留めはメンバー共通で、それぞれの髪型にあわせたつけ方をしていた。驚いたのは愛美で、ばっさりとカットした髪の毛にはジュリアに近い赤いカラーが入っていた。左頬の星もあいまって、左側から見た感じや後ろ姿はジュリアその人に見紛うほどだ。

月を意匠にしたステンドグラス(の映像)を背景に勢揃いした12人は、田所の「BlueMoon Harmony、いっくよ~!」の叫びとともに、歌詞に武道館を刻んだ約束の歌「Thank You!」でライブスタート。"てづくりのぶどーかん"のフレーズでは、ステージ全員がこの時ばかりはちょっと羽目を外して、めいっぱいの元気を込めて「ぶどーかーん!」を叫んだ。「brave HARMONY」はまさにBlueMoon Harmonyの個性を象徴するような楽曲で、12人バージョンは全体の美しい調和と響き合いが印象的。リリイベ時の6人構成のふたつのユニットの個性がダイレクトにせめぎあう感じとはかなり雰囲気が違って、それぞれに違う良さがあった。

ボーカルにこだわったクールでストイックな少女が多い"蒼"系のアイドルを演じるキャストにとって、ライブでどれぐらい演者自身の感情や技術を前に出すか、自分らしさとアイドルらしさとでどうバランスをとるか、といった葛藤はつきもののようだ。この日の田所は今までと表現を変えて、武道館に立つことができて嬉しくてたまらない静香の感情を素直に出そうとしたと話していていたが、歌いながら彼女が笑っている時はもちろん、それ以外の時も田所から静香の気配を感じることが今までよりずっと多かったように思う。

今日の演者を見回すと、一言で言えば誰もがすごくいい表情をしていて、キャラクターと演者の距離がさらに近づいたように感じた。変化のしかたは、3rdツアーではまだ濃かった緊張の色が薄れたり、キャラクターとの関係性が少し変わったように思える人もいたりと様々だ。最初のブロックの野村、近藤は少し肩の力が抜けたことで本来の実力と魅力を発揮し始めた好例。小岩井は仲間たちとの心の距離がさらに近づいたことがパフォーマンスにもポジティブな影響を与えているのではないだろうか。伊藤や駒形がこの日見せた笑顔はキラキラ感が眩しいほどで、ほんのちょっとのニュアンスでここまで印象が変わるのかと驚いたほどだ。

面白かったのは平山の「FIND YOUR WIND!」で、平山の圧倒的なボーカル力をかなり丸めて、「北上麗花」というアイドルのイメージにぴったりと落としこんだような表現。わかりやすい"巧さ"を抑えた結果、北上麗花らしさをより強く感じたのは、役を演じて歌う声優のライブならではの体験だった。

壮大な"蒼"系の曲は、通常ライブでもクライマックスに歌われることが多い。それだけに、2日目のライブ中盤以降は切り札クラスの楽曲が乱舞する、ある意味恐ろしいセットリストになった。サビで心の高鳴りのままに笑顔を見せるという新たな表現を手に入れた田所の「Precious Grain」は、パフォーマンス自体も過去最高クラスの仕上がり。その余韻が覚めやらぬ客席に、かつて藤井が「ボーカルモンスターを集めた」と形容した愛美、平山、駒形のユニット「アクアリウス」の決戦兵器「待ちぼうけのLacrima」が襲いかかる。

技術的には完成の域にあると思っていた戸田の「Get My Shinin'」や駒形の「vivid color」が、豊かな感情表現の彩りを加えることで別物のように進化する。かと思えば愛美の「流星群」のように、メンタルの問題ではなく、本人演奏のギターがさらに圧倒的にうまくなっていたりの物理的な変化もあった。愛美はMCで「ライブハウス武道館へようこそ」と冗談めかして言っていたが、彼女が曲中ほんの少し口元をパクパクっとさせると、1万人が意を汲んで大合唱の声を揃える。会場の誰もが彼女の一挙手一投足に魅せられていないければあれだけスムーズなレスポンスは引き出せない。間違いなく彼女が歌声とギター一本で日本武道館を魅了した瞬間だった。

そして、ボーカル力の高い蒼系楽曲を集めるという、アイマス全体でもあまり例のないセット構成をした結果、ちょっと意外な効果も現れた。たとえばユニット・ヴィルゴが「プリムラ」で見せたような、斉藤と田所……というよりは永吉昴や最上静香のとびっきりキュートな女の子としての一面が、より強く印象に残るのである。一面の青空の中だと、他の色が目立つということだろうか。斉藤が昴の衣装がスカートなのに驚いていたが、「Day After "Yesterday"」を歌う斉藤と昴にはむしろその衣装が一番ぴったり来ると思った。

特定の色が強くなれば、同時に他の色の印象も強くなる。それは、サプライズで登場した青を冠したユニット「クレシェンドブルー」も同様だった。初披露曲「Flooding」で、田所や平山、雨宮天たち歌姫たちの存在が輝けば輝くほど、小笠原早紀や麻倉ももの明るく元気でキュートな歌声がくっきりと浮かび上がってくる。これだけ疾走感があるクールな楽曲なら歌い方も曲に寄せたくなるところだが、麻倉が頑ななまでに「箱崎星梨花」の声と歌い方をきちんとキープしていたのは、コミック版『ミリオンライブ!』から生まれた物語を背負った曲だからかもしれない。この曲、実は蒼というよりは、色とりどりの原色の個性が同じ方向を向いて、洪水のように押し寄せる楽曲なんじゃないだろうか、たまたま蒼っぽい子が多くいただけで。と、曲に対する認識までちょっと変わってしまったステージだった。

それにちょっと近いものを感じたのが「Raise the FLAG」を歌った藤井、戸田、阿部のユニット・サジタリアスだ。ハードでパワフルな歌唱をさせれば随一の藤井と戸田が並んでこの曲を歌えば、ユニットのイメージはそちらに強く引っ張られると思いがち。だが実際にセンターでキラリと光るのは、超ハイトーンで瑞希のキャラクター性をキープしたまま、ハードな歌唱にも対応できる阿部里果というスペシャルな個性なのだった。

さて、つい習い性で蒼蒼と連呼してしまったが、2日目でもうひとつ感じた流れがあった。それは、様々なユニットの集結の夢が次々に叶い、日本武道館に36人が集う幸福な今だからこそ生まれたのかもしれない、小さな夢のかけらだ。

今回「星屑のシンフォニア」のステージには、原曲ユニット・ミルキーウェイのメンバー、星井美希、高山紗代子、天空橋朋花、永吉昴、二階堂千鶴のうち、美希を除いた全員のキャストが揃った。そんな4人が曲中に叫んだのは「"星"みたいな輝きが」「"い"つも私たちを照らしてくれる」「"美"しい夜空を彩って」「"希"望を明日に届けるために!」「つなげよう、ミルキーウェイ!」のフレーズだった。抑揚を強調した頭文字を見れば、星をつなげるために足りないもうひとつのピースが何であるかは、言うまでもない。戸田は「Beat the World!!!」を歌ったあと、こぼれる涙と共に、原曲のパートナーである(765プロ・菊地真役の)平田宏美と一緒に歌いたい想いを吐露した。

奇しくも今年の4月22日・23日には台湾の地で、『ミリオンライブ!』の名を関するフルライブでは初めて、「765PRO ALLSTARS」(天海春香たち、元祖765プロに端を発するアイドルたち)と「765THEATER ALLSTARS」(春日未来たち、『ミリオンライブ!』から生まれたアイドルたち)のキャストが同じステージに立つ場が実現する(「THE IDOLM@STER 765 MILLIONSTARS First Time」)。そして、海外でアイマスライブをやりたいという夢を最初に口にしたのは忘れもしない、平田宏美その人だった。いつか海外でアイマスのライブをやりたい、夢は口にしていれば叶うから、と。

だから、いつか大切な曲を大切な仲間と一緒に歌いたいという、彼女たちの当たり前の小さな夢と祈りがこの場所にあったことを、記録に残しておきたい。

「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」2日目セットリスト

M-01 : Thank You! / BlueMoon Harmony全員
M-02 : brave HARMONY / BlueMoon Harmony全員
M-03 : 恋の音色ライン / 野村
M-04 : 夕風のメロディー / 近藤
M-05 : Maria Trap / 小岩井
M-06 : Raise the FLAG / サジタリアス[阿部、戸田、藤井]
M-07 : Day After "Yesterday" / 斉藤
M-08 : 透明なプロローグ / 伊藤
M-09 : Precious Grain / 田所
M-10 : 待ちぼうけのLacrima / アクアリウス[平山、愛美、駒形]
M-11 : フローズン・ワード / 藤井
M-12 : Get My Shinin' / 戸田
M-13 : POKER POKER / 阿部
M-14 : P.S I Love You / ピスケス[近藤、小岩井、野村]
M-15 : 流星群 / 愛美
M-16 : vivid color / 駒形
M-17 : FIND YOUR WIND! / 平山
M-18 : プリムラ / ヴィルゴ[斉藤、伊藤、田所]
M-19 : 赤い世界が消える頃 / 木戸、大関、近藤、阿部、平山
M-20 : Beat the World!!! / 戸田、藤井
M-21 : Marionetteは眠らない / 平山、愛美
M-22 : Blue Symphony / 田所、阿部、近藤、伊藤
M-23 : 星屑のシンフォニア / ミルキーウェイ[野村、駒形、小岩井、斉藤]
M-24 : Flooding / クレシェンドブルー[田所、平山、雨宮、小笠原、麻倉]
M-25 : DIAMOND DAYS / BlueMoon Harmony全員
【Encore】
EC-01 : Dreaming! / BlueMoon Harmony全員
EC-02 : Thank You! / 全員

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