ソニーは8月30日、4K HDR対応液晶テレビの新たな最上位モデル「BRAVIA Z9D」を発表した。新開発のLEDバックライト技術「Backlight Master Drive」を搭載している。価格はオープンで10月29日の発売を予定している。
推定市場価格は、75型の「KJ-75Z9D」が1,000,000円前後、65型の「KJ-65Z9D」が700,000円前後 (以下すべて税別)。そのほか、100型の「KJ-100Z9D」が希望小売価格7,000,000円の受注生産モデルとして用意される。KJ-100Z9Dの受注開始は11月下旬以降となる見込みだ。
BRAVIA Z9Dが搭載するBacklight Master Driveは、CES 2016で公開されたソニー最新のLEDバックライト技術。これまでの直下型LEDバックライトではLEDをいくつかのゾーンにまとめて構成・制御されていたが、Backlight Master DriveではLEDが1つ1つ独立して緻密に制御される。LEDの実装数は非公開ではあるが、「ものすごい数」(ソニー開発者談) を搭載しているという (CESにおける取材情報では1,000以上という話もある)。
Backlight Master Driveの解説図。ものすごい数のLEDが1つ1つ独立駆動する |
X1 Extremeの解説図。Backlight Master Driveの制御やHDRリマスターなどを担う |
映像エンジンには「X1 Extreme」を搭載。従来のX1に比べ、処理能力を1.4倍に高めており、Backlight Master Driveの制御もこのプロセッサーが担う。X1 ExtremeのHDRリマスター機能では、映像に現れるオブジェクトごとにコントラストを最適化。SDR映像もHDR相当にアップコンバートして表示することが可能だ。
またX1 Extremeでは、ノイズ除去と超解像を映像の部分部分に応じて、同時に最適処理できるデュアル・データベース解析を実現 (これまではどちらか一つしか適用できなった)。HDR映像を表示する際に、色のグラデーションにスジのようなものが出る「バンディング」現象も回避できるようになった。
9月にはスカパー!プレミアムサービスにてHDR放送が開始される予定だが、同サービスにもアップデートで対応する。
以下、筆者の主観となるが、実機の映像を見たところ、色とテクスチャの再現性が段違いに高まったという印象を受けた。最大輝度を単純に上げるのではなく、解析精度を向上し、より細かく緻密にバックライトを制御することで、HDR映像が本来持つ立体感も高まっている。意外なことに「真っ黒」の表現も極めて秀逸であり。シーンによっては有機EL製品をしのぐ場合もありそうだ。
画面サイズを除く、BRAVIA Z9Dの主な使用は以下の通り。
- チューナー : 地上デジタル×2、BS/110度CSデジタル×2、スカパー!プレミアムサービス×1
- 画素数 : 3,840×2,160ピクセル
- 倍速機能 : モーションフロー XR480
- スピーカー出力 : 10W+10W
- 高音質化機能 : DSEE
- 通信機能 : 有線LAN (10/100BASE)、無線LAN (IEEE802.11ac/n/a/b/g/)
- 映像端子 : HDMI×3 (4K/60P対応)、コンポーネント、ビデオ×2
- サイズ (スタンド含む) : 【KJ-100Z9D】W225.8×H139.3×D50.4cm、【KJ-75Z9D】W168.4×H104.7×D27.8cm、【KJ-65Z9D】W146.2×H92.0×D26.8cm
- 消費電力 : KJ-100Z9D 782W
- 年間消費電力量 : 【KJ-100Z9D】年555kWh、【KJ-75Z9D】年367kWh、【KJ-100Z9D】年298kWh、