グリム童話『白雪姫』に大胆なアレンジを加えて映画化した『スノーホワイト』(12年)の続編『スノーホワイト/氷の王国』(5月27日公開)で、前作に続きハンター(ハンツマン)のエリック役を演じた俳優クリス・ヘムズワースがこのほど、作品への思いを語った。

エリック役のクリス・ヘムズワース

なじみ深い要素を盛り込みながら、剣を手にした白雪姫・スノーホワイトを、邪悪な女王・ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)を倒す"戦うヒロイン"として描き、累計興収約400億円を記録した前作から3年、本作ではラヴェンナの妹・フレイヤ(エミリー・ブラント)が登場。舞台は前作から、さらに過去にさかのぼる。悲しい事件をきっかけに心を閉ざしたフレイヤは、氷の魔法を操る力を手にして「氷の王国」を築き、後にスノーホワイトと共闘するエリックも擁した軍を育て始める。本作の物語は、そのような前作の過去とラヴェンナとの戦闘後の世界の因果を映す。

クリスは、前作を「最高の作品」と称した上で、「とても重くシリアスでダークなストーリー」と分析。本作はそこから抜け出して「より明るく笑えるものになっている」と説明し、「台本だけでなく、映像も、そのカラーや美しさの表現方法も明るいものになっている」と進化を明かす。この続編は、前作の制作中に作品プロデューサーのジョー・ロスとセットに立っていた際、クリスが冗談っぽく「ハンツマンはラプンツェルやシンデレラも救えたかも」と漏らしたことが、その始まり。前作で、エリックが教会にて過去や妻について話すシーンに評価が集まったことから、「もっとあのシーンを理解できたらよかった」という思いに至り、皆で続編を考えるきっかけになったという。

また、前作の最後の編集段階で、エリックのシーンが大きく削られたこともクリスの想像を巡らせた一因。それゆえに、「もう一度演じるなら観客にもっと伝わるものに」「こんなチャンスは続編が出なければなかなか無い」と感じたと振り返る。そんな思いもあり、スタッフらとの打ち合わせで前作の焼き直しを嫌ったクリスは、「僕たちが同じ視点を持っていることを確認したい」と強調。これは、「批判するつもりは毛頭無く、毎回新鮮なものにしたい」という気持ちも手伝った。

演じるエリックについては、「ちょっと希望のないロマンチスト」と表現し、「特に、一度彼が自分の妻が生きているかもしれないと気づいてからはね」と補足。「一作目では、彼は悲劇の道を歩んでいて落ち込んでいる、今の彼はそういったことをこえて、人生や死について、ちょっと皮肉なユーモアを持つようになっている。そして、自分の妻に対して持っている愛に向かっていく」と変貌を明かす。愛に全てを打破する力があると信じるエリックは、「ちょっと正気とは思えないやり方」でぶつかっていくと言い、「そういったことが、彼にいろいろとクレージーなことをさせるんだ」と明かしている。

本作には、シャリーズやエミリーに加え、エリックの幼なじみで恋人の弓の名手・サラを演じるジェシカ・チャステインらが出演している。これをクリスは、「3人のとても強い女性の主役がいる」とし、「そういったムーブメントに参加するのは、多分エキサイティングだよね。なぜなら、今そういった変化が起きている」と歓喜。「人々はそういったことによるメリットを目にすることになる」と胸を張る。3人は、役者として全く別々のタイプで異なる姿勢を持っているとし、「それは最高」と断言。続投が知らされた際に、続編制作に対する不安が収まったほどで、「素晴らしい! 自分はこういった才能に囲まれている」「僕らは正しい方向に進んでいるに違いない」と確信したという。

そんなクリスは、自身の成功を「どこか常軌を逸した意味で」と笑う。「子供の頃は『僕はハリウッドに行くぞ! それで決まりだ!』って感じで、『ノー』という答えはなかったが、僕のもう50%の脳は『あなたは絶対に成功しない。あなたは失敗する』といったものだった」と不安もあったと言い、「常にその2種類の声が戦っていた」と振り返る。そして、「その両方が少しずつあるのは健康的。なぜなら、その統計値は、宝くじに当たるようなものだから」とそれは当然のことだと分析した上で、「そういったことを無視して、僕はそれが大好きだ。誰かが『僕にはそれができない』と言うまで僕は続けるぞ、となるんだ」と強い信念を語った。

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