JR東日本八王子支社は23日、E353系量産先行車の報道公開を同支社管内の2カ所で実施した。特急「スーパーあずさ」で活躍するE351系の置換えを目的に、性能評価や技術検証を行う車両として製造され、各種試験を行い、量産車へ反映させていく予定だ。

甲府駅構内電留線にて公開されたE353系量産先行車

E353系量産先行車は7月に計12両(基本編成9両・付属編成3両)が落成。8月2日、松本車両センターで報道公開された。今回、23日午前に東京都内の豊田車両センター、同日午後に山梨県内の甲府駅構内電留線で同車両の基本編成9両を公開。都内への乗入れが実現したほか、日中に中央本線を走行するシーンも見られたという。

甲府駅構内電留線で行われた報道公開では、E353系量産先行車の外観と普通車(8号車)・グリーン車(9号車)の内装、松本方先頭車(12号車)の運転台が公開された。同車両はJR東日本の在来線特急形電車で初めて「空気ばね式車体傾斜装置」を採用しながら、最高速度はE351系(車体傾斜装置にコロ式制御付振り子を採用)と同等の時速130km。高速走行時の視界や安全性を考慮し、運転台は高床構造となっている。

E353系量産先行車の運転台。高床構造のため見晴らしが良い

デザインを担当したのは、奥山清行氏が代表を務める「KEN OKUYAMA DESIGN」。E351系の外観色でもあるバイオレットを継承しつつ、新時代のダイナミズムを表現した大胆なデザインに。車体前面の縦に5灯ずつ並んだヘッドライト、その上部のテールライトが精悍なイメージを演出している。

内装に関して、普通車は「南アルプスと梓川のきよらかさ」、グリーン車は「機能性と高揚感、クラス感」をコンセプトにデザインされた。各座席にコンセントを設置(最前列・最後列の座席は肘掛けの下、その他の座席は前席の下部)し、パソコンを置ける大型テーブルでビジネスユースにも対応。室内照明にLED間接照明を採用し、空気清浄機の設置、静粛性を向上させた床構造などにより、快適な車内空間も提供する。

走行中の振動を低減するフルアクティブ動揺防止装置を1・4・9・12号車に搭載したことも特徴。E351系と同等の走行性能を維持しつつ、乗り心地の向上を図る。E353系量産先行車は2016年1月頃まで走行試験を行う予定とされている。