決勝戦で敗れはしたものの、主将として日本を引っ張った宮間あや選手

サッカーの女子ワールドカップカナダ大会の決勝戦が日本時間7月6日、バンクーバーのBCプレイス・スタジアムで行われた。FIFAランキング4位の日本は、前大会決勝戦の相手でもある同2位の米国に2-5で敗れ、大会2連覇はならなかった。

なでしこジャパンにとっては、目をふさぎたくなるような現実が決勝のピッチに待ち受けていた。前回2011年のドイツ大会、2012年のロンドン五輪、そして今大会と世界大会の決勝戦では3大会連続での顔合わせとなるライバル・米国。対戦成績は日本の1勝6分23敗(PK戦は引き分け扱い)と、なでしこジャパンの前に立ちはだかる「最強の壁」とも言える存在だ。

そんな米国が、試合開始からエンジン全開で攻め立てた。この試合初めてのコーナーキックとなる前半3分。グラウンダーの速いクロスを、トップスピードでペナルティーエリア内にあがってきたカルリ・ロイド選手が左足で合わせ、早くも米国が先制。

そのわずか2分後。同じように右サイドのフリーキックから低いクロスをあげられ、ゴール前の混戦からまたしてもロイド選手が決める。平均身長が169センチ台と、日本よりも約6センチ高い米国の「高さ」を意識せざるを得ないところに、速く低いパスが送られる。その展開に戸惑ったのか、わずか5分でなでしこジャパンは2点のビハインドとなってしまった。

早く追いつきたいという焦りが、さらなる失点を招く。前半14分には、岩清水梓選手のクリアミスから空高く浮いたボールに対し、ローレン・ホリデー選手がダイレクトで右足で振りぬき、0-3に。そして前半16分。ロイド選手がセンターサークル付近から、中途半端に前に出ていた海堀あゆみ選手の頭を越す超ロングシュートを決め、あっという間に4点を奪い取った。

スタジアムの大半が米国サポーターというほぼアウェーの中、いきなりの4失点。日本にとって非常に苦しい状況下においても、なでしこたちは決してあきらめなかった。前半27分、宮間あや選手がエリア中央から右サイドの川澄奈穂美選手へとロングパスを送り、その川澄選手が中へと切れ込みながらゴールエリア内に待つ大儀見優季選手へつなぐ。最後は大儀見選手が落ち着いて左足で決めて1点を返す。中-外-中で米国の屈強なディフェンス陣を揺さぶり、流れの中でしっかりと決めきった。

続く前半30分頃にも米国ゴールを脅かす攻めを見せるも2点目はならず。このまま追加点を奪いたい日本は、前半33分に澤穂希選手が岩清水選手に代わり投入される。澤選手がボランチに、阪口夢穂選手がセンターバックに入る。さらに前半39分に2枚目のカードを切り、川澄選手と菅澤優衣香選手を交代させる。ゲームはそのまま膠着し、1-4で前半を終える。

迎えた後半。前半同様、開始直後は米国の時間帯が続く。何とかその攻撃をしのぐなでしこジャパン。猛攻を耐えしのいでつかんだ後半7分のフリーキック。宮間選手の精度の高いボールが米国ゴール前へと送られると、澤選手と競り合った選手によるオウンゴールが生まれる。これで2点差に迫り、一気に詰め寄るかと思われた矢先、トービン・ヒース選手に5点目を奪われてまたしても3点差へと突き放されてしまう。

迎えた後半15分。大野忍選手に代えて岩渕真奈選手が投入され、そのまま右サイドハーフを務める。このあたりの時間帯になると一進一退の攻防が続き、どちらのチームもゴールを積極的に狙っていく。残り時間が刻一刻と無くなっていく中、なでしこジャパンは主将の宮間選手を中心に全員で最後までゴールを奪いにいった。

しかし、無情にもそのまま試合終了のホイッスルが、まだ日差しの残るBCプレイス・スタジアムに鳴り響いた。歓喜にわく米国イレブンの一方で、悲しみの涙にくれながらもお互いを励ましあい、決して下を向かなかった日本イレブン。

岩渕選手が「悔しさしか残っていないです」と言えば、澤選手は「取られちゃいけない時間帯に3失点ぐらいしてしまったのは、ちょっと痛かったかなと思います」と悔やんだ。

ただ、最後まであきらめず、粘り強く戦ったその姿に、Twitter上には

「(五輪がある)リオデジャネイロで嬉し涙を流してください」

「最後の最後までゴール狙ってたもん なでしこの強さはここにあり」

「日本の誇りです!! 日本を変える輝く女性達です」

「強い精神力と諦めない気持ち。日本女性の底力を世界に広めてくれてありがとう」 など、感謝と称賛の声が続々とあがっている(コメントは原文)。