葛西臨海水族園はこのほど、公式Webページにて「ジェリーフィッシュライダーの餌事情」を公開した。

左・アサリを食べるフィロゾーマ、右・変態直後のニスト

ウチワエビのフィロゾーマ(幼生)にアサリを与える

同園では、2015年3月12日からウチワエビのフィロゾーマ(幼生)を展示。フィロゾーマは、クラゲに乗り、そのクラゲを食べながら生活することから、ジェリーフィッシュライダー(クラゲに乗る者)と呼ばれている。餌として形が崩れてしまったクラゲを与えているが、フィロゾマが順調に成長し、クラゲの消耗が早くなった。そこで、クラゲの代わりになるほかの餌をバックヤードで試してみることにしたという。

文献や過去の飼育事例を調べたところ、過去の研究では、アサリで飼育に成功していた。そこで、アサリを与えてみたが、近づけると勢いよくつかむものの、しばらくすると離して落としてしまった。よく観察すると、弾力があって少し硬い部分は食べにくいようだったので、柔らかい部分をちぎって少しずつ与えたところ、アサリが口から消化管に入っていくところも確認でき、数日後にはよく食べるようになった。

成体となったウチワエビ(展示しているフィロゾーマとニストの親)

アサリを餌として与えられたフィロゾーマは成長を続け、ついに次の形態である透明なエビの姿をした「ニスト」に変態した。同園では現在、フィロゾーマと親(成体)を展示中となる(ニストは見られない)。現在展示中のフィロゾーマがニストに変態すると、ウチワエビの生活史展示は終了するため、同園では早めの観覧を推奨している。